湯檜曽川本谷の滝

スポンサードリンク


湯檜曽川 本谷の滝
【群馬県 利根郡 みなかみ町 藤原】

滝の記録

訪問日 2018年10月20~21日
活動の形態:3級下 (2人) / 車
装備:7.9mm×50m / 8mm×20m, 沢タビ, テント, 寝袋2個, 撮影機材
感動度:かなり(全体的に)

2018年にどうしても行きたかった1本。
湯檜曽本谷。

沢登りの秀渓として名高いが、
一つ一つの「滝」に注目して、
遡行されたことはあったのだろうか。

今回はんぺんさんと滝パーティを組み、
その滝々を味わいに向かった。

①揺れて戻る

予報は悪め。

土曜日はかなり雨雲が混じり、
日曜日には快晴の予報。

湯檜曽をやめて、
東北まで行くプランも出ましたが、
直前でやや好転+東北遠すぎ!ってことで、
やはり湯檜曽に決定。

寒さが見込まれる週末、
上下ダウンにテント、
シュラフは夏用を2つ用意。
1つははんぺんさんにお借りした。

夜は下牧PAで過ごし、
(寒くて震えた)
早朝に谷川岳ロープウェイ下の、
広大な駐車場へ移動。

②国道歩き

一ノ倉沢駐車場まで進めるかと思っていたので、
1時間余計に歩くことになってしまったのか?

ふんだんに装備を詰め込んで、
ぱんぱんになったザックで進む。

車道を進んでいくと、
時折、美しい紅葉が目に入ってくるし、

「町が!!」が由来の、
マチガ沢や、圧倒的な一ノ倉沢を
横目に見れて楽しい。

かなり歩いて幽ノ沢も過ぎた後、
旧道に向けて下に歩いていく。

③新道を進む

そうすると、土合駅まで4.2kmの、
看板があり、これは
遠回りしてしまったことに気づく。

(注!湯檜曽本谷へのアプローチは、
国道 車道沿いの道ではなく、新道と呼ばれる
湯檜曽川右岸沿いの道が最短です。
広い駐車場から一旦
トンネルを降りて合流します。)

その後結構歩いて、
武能沢出合に。

ここから湯檜曽川に下降すれば、
魚止め滝の前に行けるが、
その上のゴルジュ通過に
時間がかかりそうだったので今回はパス。

登山道を進んだ先のピンクテープから
ゴルジュ通過を目指すが、
踏み跡が途中でなくなり、
うろうろしながら、ゴルジュ上に出た。

④雨の中の判断

小雨は降り続いている。

本日、遡行を続けても、
せっかくの湯檜曽川の絶景が、
悪天候でちゃんとした写真にならなそう。

だったら、今日は
白樺沢出合付近をテン場とし、
明日に全て回すプランもありえる。

しかしまだ10時台。

ここから20時間動かないのは少し非現実的だ。

と、いうわけで、
初日の目的地を七ツ小屋沢出合あたりとし、
河原を進んでいく。

⑤滝と紅葉風景

そうすると、次々に現れる
湯檜曽川の絶景紅葉景色に目を奪われる。

僕は「紅葉」を目的とした滝巡りを
ほとんどしてこなかったので、
まともな紅葉体験は少なかったが、

突如として、トップクラスの
紅葉体験をしてしまった。。。

過去の紅葉体験 といえば

那須井戸沢
阿武隈川 南沢
程野の滝

なんかがありました。




滝が出てくる。

2段9m滝は左から。

ここは左をうまくへつれず、
結果として全身がびしょ濡れになってしまった。

ここでも絶景の紅葉風景

⑥ウナギとクライミング

その後沢が屈曲すると、
「ウナギの寝床」ゴルジュに。

季節柄泳ぐのはなんとしても避けたい。

右側から細かく移動して、
水没の事なきを得た。

もう少し先

そうするとその先の
屈曲部に8m滝が鎮座している。

この滝は左手から登攀ルートが見えるも、
フリーではそれなりにリスクを伴う。

今回は8mmの20m, 50mを1本ずつ
用意していたが、滝の規模感から見て、
20mを使用。

僕が先登ったが、
ランニングのハーケンがすぐに外れたり、
上部の支点のとり方や連携の方法など、
はんぺんさんにご迷惑をおかけしてしまった。

⑦湯檜曽本谷 十字峡!!

この滝を越えたら、
20m級の上部がひょんぐるナメ滝となるが、
絶景に目を奪われる。

右側からぴたぴたと越えていく。

上から見ると2方向に角度を変えるひょんぐり滝

聞きしに勝る名渓。

十字峡で正面に見える、
この滝は、登攀したひろたさんの記述によれば、
120mあるという、抱返り沢 出合の大滝。

この日は昨日の雨もあったのか、
若干増水していて、水量もよく、
紅葉風景も抜群に良かった。

本流と大倉沢が合わさることで
下の3m滝と水量がずれている。

雨は降ったり止んだりで、
落ち着いて撮影することはできない。

大滝に近づくと、右からは
大倉沢が8m滝として合流し、
左からは本流の流れを受ける。

⑧アナゴの通過

本流は、アナゴの寝床
という淵を形成しており、
ここもまた困難さを秘めている。

とりわけ、1.5mほどの狭まった小滝が
ホワイトウォーターとなる激流部は、
水線突破が難しく、

右岸を際どくへつって、
残置スリングにスリングを付け足して
乗っ越した。

しかし、はんぺんさんによれば、
ルートを見極めるともっと安全な草部分があり、
スリングも足さなくても
残置だけで到達できたとのこと。

トイ状の7m滝は左側から登って越える。

柿其渓谷でも泳ぎを含めて、
湯檜曽のこういった淵と同様の、
難易度が連続するとのことです。

⑨抱返り滝でのこと

4mナメ滝

しばらくで20mの抱返り滝。

しかしながら、この滝前で、
雨が強さを増し、
撮影不可の厳しい状況となる。

なかなかの迫力をカメラに収めたく、
30分ほど岩の横で雨を耐えたが、
止む気配はない。

はんぺんさんは寒さに強いが、
それはトレーニングによる後天的なものだという。

どんどんと滝の瀑音は、
巨大化し、水量増加の凄まじさを実感する。

撮影は諦め下段を登ると、
上段は大きな滝壺を形成。

ざっぷん、ざっぷんと、
冷たい滝飛沫を打ち付けられながら、
懸命に壁に取り付いて上に上がる。

ここから滝に向かって左側の、
リッジを伝うとあと6m弱の登りで、
抱返り滝を直接登れる場所に出るが、
これは滝登り上級者の世界。
(登攀グレード IV以上は確実)

僕らは右岸を巻いたが、
けっこう上に押し上げられ、
トラバース開始地点の見極めが難しかった。
(トラバースにおける踏み跡はほぼなし)

草木を頼りに
高度感ある斜面のトラバースを続けた。

⑩緊急ビバーク

巻き終わると、右岸には、
草の生えた緩い傾斜の斜面があり、
時間も遅くなっていることから、
ここを緊急ビバーク地とする案も浮上。

ここはもう少し進んでみようということで、
ナメが続く場面を急ぎ目に遡行。

あまりレンズを拭く余裕もなくなってくる。

6mナメ滝

長さ15mナメ滝

左岸に暴れんばかりの枝沢が
2本観れる地点にて、
また少し緩めの草地帯を発見。

斜めっていたが、時間もあれだし
木をどけたり最低限の整地をして、
ここにテントを張ることにした。

これまで受け続けた雨で、
体はひたすら不快で寒く、
過去の滝体験の中でも、
極めて苦しい時間となる。

テントの中でマットを敷くが、
そのマットに全身を伸ばしても、
下の傾斜のため、体が左足のほうへ
ずりおちていく。。。

朝起きたら川に流されませんように!

防寒着は多めに持ち込んでいたので、
寒さで苦しいという状況にはならずに済んだ。

絶景と苦しみの両極を味わった1日目が終了。

1日目 コースタイム

7;00 歩行開始
7:38 マチガ沢
8:12 一ノ倉沢(看板)
10:09 魚止めの滝ゴルジュ上
10:44 白樺沢出合
11:26 ウナギの寝床
11:50 8m滝前
13:02 十字峡
13:41 アナゴの寝床
14:08 7mトイ状滝前
14:23~15:03 抱返り滝前
15:32頃 巻き終え議論
15:57 緊急ビバーク地着
設営→潜り込み→眠り

スポンサードリンク


⑪晴れて清流

朝。

入り口をスライドさせると、
水滴がぽたぽたと落ちてきた。

雨は上がっている。

昨日暴れていた枝沢はすっかりおとなしく、
水量は10分の1くらいになってしまっただろうか。

そうして、本流の濁りは消失して、
綺麗な川が流れている。

前日遡行時に身につけていた大半は、
びしょびしょで身につける気にもなれず、
寝てる時に着ていたダウン以外を活用して、
最低限の快適さは確保!

荷物は洋服の濡れによって、
めちゃくちゃ重くなってしまった。

⑫谷川の巻き

わりとすぐに3条10m滝。

10m級になると迫力がある。

この滝の直登は通常ありえない感じ。

左岸の藪帯を
トラバースして進んで越えるが、
これも普段の僕の活動では
少なめな種類の高巻き。

谷川特有の地形から
要求される巻き方なんだろう。

きらめく落口

⑬七ツ小屋沢周辺と先

しばらく進んでいくと、
七ツ小屋沢の出合である。

本流の4m滝前は壺がとても綺麗。

すぐに左の七ツ小屋沢の、
多段40m滝が見える場所に来れるが、
これが紅葉と相まって壮観な景色だった。

しばらくは小滝と戯れたり、
少しアクロバティックに登攀したり、
楽しみながら進む。

2段4m滝

2段7m滝

2段3m滝

8m級の滝

左から簡単に巻ける。

狭まった3m滝

3m斜瀑

⑭10m幅広滝

気づけば目の前に、
大きめの美しい滝があった。

青空と虹とその美しさに、
とりあえず撮影しよう!

ってことで三脚を出し始めると、
後ろから単独遡行者がお見えになる。

「ずぶ濡れになる滝ですよね?」

という一言でこの滝が水流横断の、
核心滝の一本であることを知ります。

なんでも、昨日
白樺沢あたりで泊を取ろうとしたら、
鉄砲水になってマチガ沢まで
引き返されたとのこと。

(晴れた十字峡の写真を綺麗に取ろう!
とか言って白樺沢あたりで泊まらなくて
ヨカッタ。。)

僕らの撮影中に、
完全防寒のカッパを着込まれて、
色々お話ししたのち、
お手本の登りを見せていただいた。

完登

ガイドブックには高巻きは不可との記載。

しかし昨日、これでもかと
雨に打たれてこともあり、
これ以上びしょびしょになる体験は
今回は避けたい。

左岸巻きは不可能だが、
右岸巻きは滝横のルンゼが上の方で
溝が浅くなっていたことから、
可能だと判断。

取り付いていく。

藪にしがみつきながら上にあがるが、
傾斜は強めで一部岩場があり、
時に緊張しながら上に詰める。

滝の落ち口の高さよりももっと登り、
徐々にトラバースすると、問題のルンゼも
問題なく通過できた。

その後10m滝よりも
けっこう上流部まで上にいたが、
最後は懸垂せずにお尻で滑りながら
沢床に降り立つことができた。

⑮赤茶けた滝

4段10m滝

3段6m滝

この後、右岸から25mの美瀑が
枝沢として落ちる場所がある。

そのすぐ先には、
美しい2段20m級の滝がある。

赤茶けた滝と言われているものだ。

この滝は予想以上に良く、
全景が見える高巻き道の途中から
三脚も出しつつ撮影した。

今回は初めてNDフィルターを
2枚重ねで使ってみたが、
一部周辺がケラれてしまっていた。

ケラれてしまう条件など、
色々と調べることは多い。

左岸の踏み跡ある巻き道を辿る。

今までの巻きに比べたら問題はなかったが、
通常の滝めぐりの範疇では難しい部類だろう。

上からもまた良かった。

⑯湯檜曽本谷の大滝

大滝の前には深い釜を持つ
2段2m級の滝がある。

左から接近するが、
予想以上に深く足が置けなくて、
お腹上まで水の侵入を許したので一瞬戻る笑

再度取り付いて、
滝の真ん中に近い方に良い足場があり、
そこを使えば上に登ることができた。

そうしたら、
狭い水路のすぐ向こうに大滝。

これが、湯檜曽本谷大滝。

空気感を知りたかった1本。

明暗差はとても強かった。

⑰大滝の登攀

せっかく50mは持ってきたが、
明らかに下段は登れるし、

多くのパーティが真ん中から
ロープ出してるので、
中段で支点取れると判断。

20mロープを下で結んで、
はんぺんさんがぐいぐいと登る。

さらに水流沿いに登っていくと...

あと高さ10m分くらいのテラスにたどり着く。

ここからは上に乗れれば、
草付きトラバースの道が見えているが、
そこまでの路は リードフォロークライミングの世界。

ここは僕が登ることになったが、
スタート地点から2m上くらいの
残置ハーケン・スリングにランニングをとり、
直上するルートを選択。
(というか、他のルートは
どれも同様以上に危険に見えた。)

一箇所2mぐらいの箇所を、
足の置き換えを含める
際どい数手のムーブによって、
のっ越すことに成功。
(登攀グレード ワンムーブ IV級)

はんぺんさんのフォローにおいては、
またしても反省点が多発。

特に相手の様子が全く見えなくなるシーン、
笛の合図のお互いの認識の合わせ。。。
連携が深まりました。

草付きの巻き道は踏み跡は明瞭。

最後の方、滝の上あたりがやたら滑るので
そこは少し注意です。

⑱下山路

これに難所は終了。
というか、僕らはまもなく遡行も終了。

峠ノ沢が2mで出合って、
少し戻ったところに、ロープがあって、
すぐ上に道を確認。

そこからは踏み跡を辿って
清水峠の道に向かいました。

途中本谷の先に落ちる、
3m、10m級の滝を遠望できて、
それでもまだ谷は続いていくのだと、
感慨深い気持ちに。

はるか昔から、
越後と上州をつないでいた、
清水峠の道。

それを辿れることに物凄い歴史を感じられた。

抱返り沢を遠望できると感動。
一体化させると
何百メートルの大滝なんだろうか。
(まともな写真にはならなかった...)

さらに白樺沢とケサ丸沢、
源頭部の滝も見れたりします。

登山道が合流後しばらくで、
新道・旧道の分岐点。

旧は道の崩落もあるらしく、
明らかに早く帰れそうな新道に乗りながら
沢沿いへ下っていきます。

武能沢出合でまもなくの日没に
備えてヘッドライトを装着。

そこから芝倉沢までは異様に遠い。

しかし、幽ノ沢を過ぎて、
いくとどんどん歩きやすくなり、
一ノ倉沢・マチガ沢とどんどん
ペースをあげて、広いスペースに到達。

ぐんまちゃんが増水の恐ろしさを語る。
ギャップがシュール。

かつてはここに車でこれたようですが、
今は途中の橋あたりが、
落石で埋まっていて来れません。

車道に出たらしばらくで駐車場に。

遡行終了点から下山完了まで、
約5時間55分かかりました。

2日目 コースタイム

8:13頃 出発
8:23 3条10m滝
8:40 同落口
9:01 七ツ小屋沢の滝 遠望
9:31 8m滝
9:47 10m滝前
10:38 高巻き終了
11:23 赤茶けた滝前
11:55 落口
12:10 大滝前
12:42 中段テラス
13:05 核心部突破
13:10 トラバース終了
13:18 峠ノ沢 遡行終了
14:00 清水峠の道
14:47 鉄砲尾根
16:09 白樺沢合流点
16:19 白樺避難小屋
17:06 武能沢渡渉点
18:58 新道の広場(ぐんまちゃん看板)
19:25 駐車場着

⑲その後

8時半まで入浴受付可能な、
ふれあい交流館で、最高の入浴。

近くの奥利根ラーメンを
たらふく食べたら帰路に。

日付が変わる前に自宅に帰れました。

⑳まとめ

湯檜曽本谷の美味しいところを、
1泊2日で撮影込み、テントあり、
高巻きありの滝屋スタイルで行って来ました。

とにかく、その紅葉の美しさは絶品。

そして、その美しさは、
寒さを甘受して初めて味わえるものかもです。

10m滝の右岸巻きは可能ですが、
なかなか険しく、抱帰り滝の巻きと合わせて
難しめの箇所です。

大滝を完全フリーで登れるのは、
登攀力ある中級以上のパーティだと思います。

それにしても、
初日の雨にはメンタルがこたえ、
2日目の青空と絶景の滝々がそれを吹き飛ばし、
また最後にずん長い下山が1つの印象になる、
重厚な沢体験。

今シーズン最後の大冒険でしたが、
はんぺんさんのおかげで、
良い結果になりました。

筋トレは肩も痛くなりづらくなるので、
早速スタートし始めました。

湯檜曽本谷は名渓なので、
滝を志す皆さんにはいつか、
行ってもらいたいです。

スポンサードリンク