木曽 大洞の滝

活動記録

訪問日:2025年10月11日
活動の形態:2級下沢登り / Car share / 単独
装備:ラバー足袋(サワタビ) / 8.0 × 20m × 1
感動度:まあまあ~けっこう
所在地:長野県 木曽郡 南木曽町 読書

① 転戦

この日は元々Kと西ゼンのプランを立てていたが、Kの体調不良にてプラン変更。

木曽駒ヶ岳周辺を西側から登る絶景紅葉コースを想定して、あずさで前日に塩尻へ。

塩尻から車で木曽方面に向かうが、どうやら将棋頭山の登山指数が「C」と微妙…

これは高度を上げない形で活動をしたいなと思い、8月に樽ヶ沢で訪れた地域周辺を計画。道の駅大桑で車中泊としたが、フラットでも床が硬く辛い夜となる。

② 大洞へ

今回狙いをつけた大洞は木曽川に直接注ぐ支流で、伊勢山とそこから南西の1354m峰の中間から東に伸びる谷で、全長2.9km。過去の訪問記録は見当たらなかった。

目的の沢の橋名は「大洞橋」で橋からも沢名を確認。

右岸側に1台は停められるスペースあり。

今回は別の沢の予定で20mロープしか手元になく、常に20mロープで撤退、脱出可能な地形かを見極めながらの行動となった。

橋からも見える複雑な2段2条3m滝は良い雰囲気

③ 出だし

大洞の下部は美しい木曽の穏やかな谷風景と堰堤が交互に現れる。

ミニ堰堤

水が綺麗だ

水をしたたえる

印象的な紋様

魚影も確認した。

④ 大洞の美しどころ (標高515~582m)

この2段6m滝は非常に整った場所。

上段。この一本は大洞の価値を高めていた。

木曽の渓谷感

テトリスのような岩

集合体の流れ

うねりをなす断層

小テーブル

岩間3m斜瀑 (すぐ上に10m堰堤)

⑤ 堰堤と大ナメ

10m堰堤を越えると、2段2mの上に次なる堰堤

堰堤近くで細蛇を見た

ヤマアカガエル

アカガエルは初めてちゃんと認識。

次の5~7m堰堤

5mCS滝 (621m)

5mCS滝前は堰堤の上のいろいろ堆積した感じの中にくつろげる場所もあり、ここでも休憩をした。

斜めの傑作岩風景 (629m)

そこで立ち尽くす…

ここは滝ではないものの、絶妙な岩の角度と僅かな滑がいい感じで思い出に残った。

ボルダー的な岩を発見 (646m)

鱗状でオオナメが始まる

屈曲して

マイナーな大ナメに到達!

惜しむべきはすぐ上に堰堤があること。

いい感じだ (663m)

振り返るとナメの連なりを実感

この区間は堰堤が多いものの、マイナーな美しい風景に出会えた。

⑥ 引き締まる谷

サシバ? ハクセキレイ?

次なるボルダー岩は3m堰堤の上に

左岸から25mの段瀑を受けると、谷は少しずつ勾配を増し始める。

釜連瀑

右岸が切り立ってきた

その先の1m滝 (747m)

岩がゴツゴツし、下部と違う渓相

7m段瀑は手前に巨岩 (766m)

左壁の直登はリスクに見合わない

険しい地形の7m段瀑は左側の階段状にルートもあるが、ヌメって水も浴び、割と危険。

ここは無理せず右側から急斜面を巻いて上につなげた。

巻いているところ

振りかえる

⑦ 核心二俣からの詰め

巨岩帯を越えていく

二俣 (右岸から 25m段瀑を受ける, 825m)

中央リッジを境に本流の5m滝と右岸の支流が同時に見える場所。

ここも一つ印象的な場所になった。

ここは見た目より水流左の棚が外傾して滑っていて悪く、落ち口に出るまで慎重なムーブが必要なIII+以上の課題だった。

二俣を越える

大洞のブン太

地形図上はこの上もまだまだ油断ならない感じで、どうなることか、脱出できるのか? と警戒しながらの一歩だが、急傾斜のゴーロ状がどんどん続いていく。

3m斜瀑

上部の谷

大洞の大スラブ (970m, 良い感じの課題)

左端のルートは登れる

大スラブはおそらくほぼ誰にも登られていないだろう。

4.5m階段状 (1015m)

徐々に余裕も出てきた

右岸の三角岩 (終始右岸は立っている)

奥行きある6m滝

蛤のような横岩がいくつか (1100m)

3~4m 尖り段瀑 (1140m)

この後さらに高度を上げていくが、意外と水がなくならず、ちょろちょろと流れ続ける。

現頭部になるにつれて緩くなり歩きやすくもなるが、最後は藪に入っていく形で沢を抜けてトラバースで下山路に向かった。

⑧ 伊勢山南西1354m峰 東尾根

この高度、薮がそれなりにあり、トラバースにもかなり時間を取られる。

薮帯

ビャクシン属 ネズの木の下で休憩 (1294m)

途中ルーファイを誤り、崩壊した谷状の地形に誘われるも、脱出。そこは二俣の25m段瀑の上につながる谷だった…

かなり消耗したので、そこでチェンスパを装着したらだいぶ楽になった。

シャクナゲ? (1172m)

ホコリダケ

ヤマガラの鳴き声も確認。

尾根の本流に乗るためには、広い視野で尾根全体を見渡し、比較的大きな巨木がどの位置にあるのかの全体像を捕まえることも重要だとわかってきた。

岩場に至る

お魚岩と命名 (下から, 1016m)

お魚岩では左側からハーネスメット込みの状態で取り付いてみた。

4級ぐらいのマントル課題と思われるが、この日は突破ならず…

ケラケラと笑う鳥がこの近くで鳴いており、これはアオゲラだと認定。

スケッチ画像

ルーフ岩

マスタケ?

ベッコウダケと思われるもの、ツガサルノコシカケも見かけた。

ワンポイント崩壊地 (842m, ここは間違えやすい)

再びの岩場 (792mあたり)

標高640mあたりまで降りると尾根は明瞭な道になっていて、あとは導かれるように降りていくと613mでは開けて工事を行っていた。林道に降り、道に出たら、僅かに移動して車に帰還。

⑨ その後

まだ15:00過ぎだったので、さかさぎの滝を見に車を走らせたが、場所を間違えてしまい、二反田川奥の「のぞきど森林公園」まで行ってしまう。

戻る途中に二反田川の滝的な流れを確認。

この日はこれで滝活動を締め、せせらぎの四季へ!

温泉も最高で、豚キムチ定食も身に染みた。

また、塩尻駅近くでは ツルヤにてドライフルーツの類(りんごと芋)を調達して、帰路に。

あずさにて現像の第一段階も完了。

⑩ まとめ

大洞はところどころ木曽ならではかつ、ユニークな風景が見れました。

ただ、堰堤がかなりあるのと、下部の勾配が緩すぎて、滝的な発達に乏しいもので、上部の勾配も大滝ではなく、急斜面巨岩帯ゴーロで上げていくという形状で、予想とは異なってました。結果的にはロープも1回も出さず、20mで問題なかった形に。

仮説に基づいて現場検証を行うと、自分の中の仮説の精度が上がっていき、より視野が広がる実感もあります。木曽地域はまだまだ見所が多いので、しばしば通っていきたいと思います。