滝いろ|北遠 天竜川 ハンガレ沢 下流部の滝

活動記録

訪問日 2025年7月5日

活動の形態:1級上沢登り / 公共交通機関+Car Share / 2名

装備:フェルト足袋 / 8.0 mm × 30m + 8.0 mm × 20m

感動度:かなり

所在地:静岡県 浜松市 天竜区 龍山町 下平山 / 佐久間町 上平山

① 天竜川へ

今回は天竜川水系に狙いを定めて浜松へ向かう。

静岡県内で天竜川をある程度奥地に行くのは2015年の水窪以来。

水をしっかり浴びれるような沢を探したところハンガレ沢がhitし、下流部からの遡行を計画した。

瀬尻橋を渡った対岸近くで通行止めとなっているが、その付近を拠点とした。

② 11m滝へ

入渓してすぐに堰堤が連続するが、そこではクライムダウンや 細い道の通過などが出てくる。(もぐにとっての最大の難所だったようだ)

谷に入っていくと、

少しアスレチック的に進めると、半円状の岩が露出した非常に美しい場所に至る。

その先の美しい世界

一歩前に進み、大きな滝が見えてくる。

大きな滝の前に

巨岩が溢れ、側壁が切り立ち、場の力が高まってくる。

クラック沿いに登攀されることもあるようだ。

美しい滝だった。

③ 楽しいジオフィールド

もぐが右岸の明瞭な踏み跡を発見し、スムーズに巻いて上へ。

滝上でしばらく休憩していると、やはりこの沢はジオが通常の沢の比ではなく濃いフィールであることに気づく。

休憩中に斜面で不覚にも滑って右肘を強めにDBKしてしまった。

少し隠れた滝

屈曲

特徴的な縞模様

いっぱい体を動かしながら、楽しく遡行していく。

四足歩行

巨岩帯をいく

斜瀑

斜面登り

この沢は水量が多いという記事をよく目にしたが、この日は平水かやや少なめくらいだったのかもしれない。

④ 下流部の真ん中

3つ目の堰堤を越える

しわしわ

堰堤前のゴツゴツ

トイ状滝

隠れブン太

4つ目の堰堤を超えた。

⑤ 下流部後半の美景

ポイントになる滝に至った。

スラブから始まる

石英脈が露出している

ここの微妙な傾斜にまだもぐは苦手意識があるようだった

ここはスローで捉えたが、水も蒼くとても美しい滝だった。

そしてこの2段目は写真に記録忘れしてしまったが、左岸のスーパーガバフレークからのハイステップという面白い課題となっている。

上段

この後、狭くなるところがあって、水流も強めで少しのぼりが難しい場所があった。

そうして2つ目の大きな滝に至った。

どこかこの時間この場所は暗く、光が入ったり入らなかったりドラマチックな光景。

このタイミングでお腹が痛くなり、泳いで奥からの登攀はやめておいた。

左岸巻き

⑥ 脱出

この後ちょっとしたナメエリアがある

ナメ連瀑

ナメの上のスラブ

カエル岩

茶色岩

下流部の終了を告げる橋が見えてきて脱渓した (脱渓直前に不法投棄が多数確認され、陶器の破片など非常に危ない)

あとは林道を辿って舞い戻り、終了。

[

⑦ 不動滝へ

近くのお手軽な不動滝を目指す。

端から見えるのは不動滝の上の連瀑

下流に降りていく道がある

不動滝は2条30m級の驚きの滝で、写真では凄さが伝えにくい滝だった。

非常にカッコ良いし、雰囲気もある。

東屋も良い感じ。

この日は市内中央区の温泉「湯風景しおり」で汗を流し、市内で宿を取った。

⑧ この土地について

あまりにも普段訪れる沢よりもジオ要素が高めだったので、色々調べてみたところ、ハンガレ沢がある天竜川のこの地域は 三波川変成帯と呼ばれる低温高圧型広域変成帯に位置し、日本の地形学的にも顕著な場所にあるようだ。

プレートが沈み込んだ後、変成作用を受けたのだが、取り込まれるのはだいたい海底の玄武岩か泥、チャートが主体。海底が玄武岩なのは、海底の山でマグマが溶けると固まるのが玄武岩だからとのこと。それらの大元の「原岩」によって変成作用後に変化する「片岩」の種類が変わってくるとのこと。

  1. 白亜紀前期 約1億1,500万年前:沈み込み開始
  2. 白亜紀前期末 約1億1,000万年前:最深部(海底45km)到達
  3. 白亜紀後期〜古第三紀初 約 9,000〜6,000万年前:上昇・冷却が本格化(せん断・脈形成 あり)
  4. 始新世 約 5,600〜3,400万年前:大規模な隆起・露出開始
  5. 第四紀 260万年前以降〜現在:現在の谷が刻まれる

となっているようだ。

また、ジオ感を構成する要素の約7割は変成片理(しわしわの縞模様)であり、ところどころで石英脈が貫いていた現象は、剪断作用で地層がずれ、その間に貫入したという部分(2~3割)があって、構成されているのかもしれない。

⑩ まとめ

ハンガレ沢下流部は短い区間にとめどなく滝が続き、特に2本の滝がアクセントとなりながらも3段10m滝も大変美しく、体をいっぱい動かして遊べるフィールドになっている。水も澄んでいて綺麗だし、ジオ要素が凄い。

沢慣れしたパーティであれば、上部も合わせて通せるような場所。

我々はのんびりペースで前半のみであったが、遠方ならではの普段と違う地形を楽しめた。毎回の活動を丁寧に行うことで、パーティとしての基礎力を少しずつ磨いていきたいと思う。

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