大峰 池郷川 ネジ滝 (中部ゴルジュ)

本丸

HP『紀伊半島の滝』で見た強烈な世界。

今回、パンダさんご案内の下、核心部のネジ滝ゴルジュに突入した。

滝の記録

訪問日 2020年8月9日
活動の形態:キャニオニング(4人) / 車
装備:7.3mm×40m (2本), ミラーレス一眼(広角), 三脚, 沢タビ(フェルト)
感動度:限りなく~異次元
所在地:奈良県 吉野郡 下北山村 上池原

① IKEGOへGO

本日も晴れ。
昨日の洋服はあまり乾いていない。

きなりの湯周辺から、池郷川は近い。

下山予定地に一台車をデポし、林道終点まで。
そこからしばらく林道を進み、カーブミラーの地点で踏み跡を辿る。

川に降り立つとそこは支流の大又谷。

堰堤の上で、体を冷ます

堰堤の下

② 大又谷の景色

大又谷は素晴らしい景観で僕らを迎えてくれた。

渓相

3条3m滝

大岩

可愛い岩

極端に難しいところはないが、どの風景も印象的、胸に迫る。

テトリス岩

時に泳ぐ!

ひこさんがひょいひょいと登ったと言う、クラックは登れなかった。。。

さすがひこさん!

③ 池郷の静寂

池郷川に合流!(上流を見て)

ここで小休止。

しばらくは本流を下降

やがて顕著な地形となり、飛び込む

2段2m滝

そこは、ネジ滝の上、下に人の姿が!

遡行者である。この圧倒的ゴルジュに挑む沢屋さんは、どうやら3名のよう。

④ ネジ滝の降下

交錯をしないように、滝のすぐ近くではなく、右岸側を岸向かってまっすぐ降りるルートへ。

沢屋さんは人が立てるバンドに、支点をとって、登り始めている。

ここは僕が先行したが、この面に人が立てるスペースはない。

滝壺にドボン。

そこからロープ解除して、岸に向かって泳ぎ始めたが、ロープが体に絡まってきてしまった。

足をばたつかせて、なんとか解除しようとするも全く無効で、だんだん体が沈んできた気がする。

命の危機を感じながら滝側に戻っていくと、2番手のアンさんが降りてくる。

アンさんに絡まったロープを解いてもらって、ようやく岸に向かって泳ぎ始めた。

岸につくことに成功。

アンさんが到着

はんぺんさんもこちらへ。

⑤ 交錯と回収

今回ロープ回収を考えると、特殊なロープテクニックを使うか、滝壺の直前で立てるスペースが必要だったが、パーティとしてそこの選択を曖昧にしてしまった。

2本のロープが滝壺で絡まり合っており、このままパンダさんが同ルートで懸垂したらロープの回収は不可能になる。

みんなで合図して、右に移動してもらって、3人目の沢屋さんが残るバンドに向かって、降り立っていただいた。

そこでのロープの絡まりを解く作業は、見てるこっちも心が折れそうになる程、大変な行程。

この最中、遡行者と下降者の双方が、笛を吹かせあったので、どっちの合図だか、わかりづらい状態が生じてしまった。

はんぺんさんが再度滝壺を泳いで、ロープの半分側を持って引き上げてくる。

ネジ滝での一件は、今回の僕らパーティの活動で最大の反省点となった。

全員集合

⑥ 滝の前にて

エバーグリーンの滝壺をたたえた、ネジ滝は荘厳な風景。

正面からの撮影では、ゴーストが発生して、全く対処できなかった。

日当たりの最高条件は過ぎていた。

とんでもない風景

⑦ 池郷の圧倒的ゴルジュ

そして降っていく。

泳ぎ流される

7mの滝上からは懸垂下降が必要。

この7m滝周辺のゴルジュは、あまりにも凄く、はっきり言って、屋久島の宮之浦川の僕が知る領域を凌駕していた。

支点を付け足して、降ったのち、迷路のような岩の間を通過して、岩のブリッジへ。

橋から振り返る

そこからジャンプは危険なので、CSの隙間を支点として懸垂下降。

ここは、懸垂のスタート地点に移動するのが、結構危険なエリアでした。

懸垂の距離自体は短い。

⑧ ゴルジュ出口のジャンプ

ちょい泳ぎを交えて降っていくと、岩の上に出る。

この岩が微妙な傾斜で結構滑る上に、先頭で行ったアンさんによれば、降りる場所を間違うと、下の岩にぶつかると言う。

それがかなり恐怖で、落差はそんなにないけれども、変なところで滑って、落ちて、岩に強打したくないと言う気持ちが、一歩を躊躇させる。。。

5分ぐらい情けない感じだったが、丁寧に先端付近まで近づいて、えいやとジャンプ。

無事ドボンに成功。メンタルが試される箇所でした。

⑨ 池郷が終わってしまう…

あとはひたすら美しい池郷川の一幕。

「ああ、池郷が終わってしまう。。。」

石ヤ塔

美しい

この先、沢屋さん(?)がツェルトを張っていた。

不動滝ゴルジュを突破されたんだろうか?僕らは左岸巻きに入る。

⑩ 下山の遅延

このあたりでパンダさんのペースが落ちる。
極端に遅くなり、原因はわからない。

徐々に日は落ち始めて、ヘッドライトを装着する。

パーティにも焦りが生じてきて、暗闇で渡渉できなければビバークか?と言う雰囲気にもなってくる。

しかし、モノレールのトロッコがあって、そこを辿って降りて行ったら、なんと橋があった。

これを渡ったところで、あとはモノレール沿いに上がるだけだと安堵。

大休止の中、カップ麺類を食べようかと、お湯を沸かす準備をしていたが、その作業の最初には僕も視認した、アンさんのガス缶が忽然と姿を消してしまった。これでは何も食べられず、夕食は断念。

お風呂と夕食時間はもう過ぎている。

⑪ 濃い時間

僕は最後尾。パンダさんは必ず復活するだろうし、次回も普段通りに歩けるはずだ。けれど同時に、寿命というスケールで見れば、僕らより先に限りが来る可能性は高い。

考えてみれば僕らは皆、日々少しずつ死に近づいているーその背中から伝わってくる緊張感を伴う数十分間は、人生でも指折りの濃い時間だった。

後で伺うと、加齢に伴う体温調整の乱れが大きな要因で、泳ぎで想定外の体温低下が起きていたらしい。近年のテレワークによる運動不足も一因かもしれない。

コンパスに提出した緊急連絡先への「下山できていません通知」は、深夜の24時。このラインは越えたくないところ。

そのため、パンダさんのザックを、僕がお腹側にしょってみたところ、幾分パンダさんも元気を取り戻し、ぐぐぐぐぐっと高度を上げていく。

モノレールを上り切り、22時40分にはデポの車に到着!完。

⑫SOUMEN

僕とアンさんはここでお先に着替えつつ、お二人が林道奥の車へ向かう。

合流して、スポーツ公園へ。

時間的に飯屋が完全にしまっていたのだが、なんと、昨日僕が買っていた、「そうめん」があるではないか。

そうめんとダシを買っていたので、それを茹でたり、カップ麺系や一部パンを出し合って、皆さんで餓死を防いで、疲れを癒しました。

翌日は市老谷です。

観察メモ(地質・暫定)

池郷川は白色の砂岩・泥岩の小石が綺麗。そして白に薄く青い色が混じっている紋様が多く見られます。今後ジオ知識がついたら、訂正が予想されます。