不動七重の滝
不動七重の滝【奈良県 吉野郡 下北山村 前鬼】
SUMMARY
関東の滝屋にとって悲願の不動七重滝F5→F1。水量は多すぎたら論外、少なすぎても微妙でかつ晴天が必要条件。今回、同ルートのパイオニア的存在、パンダさんの導きを得て、その真髄に迫ることになる。
滝の記録
訪問日 2020年8月8日
活動の形態:キャニオニング(4人) / 車
装備:8mm×70m (2本), ミラーレス一眼(広角), 三脚, 沢タビ(フェルト)
感動度:異次元
DANGER
僕が記事化することで、ゲレンデ化して、安易に真似をした結果の、死者の急増を懸念する声も寄せられました。キャニオニングは単なる沢下降と異なります。釜があることから別次元の難易度。他パーティの残置支点をあてにして行くのは、命に関わる危険行為であり、十分なスキルを持ったメンバーがパーティ内にいることが求められます。
①しぶそば
今回、仕事終わりに家に帰る余地はなく、
スーツケースをコインロッカーから回収して、
市が尾駅へ向かう。
市が尾駅につくと、
蕎麦屋『しぶそば』に導かれる。
既に食事中のはんぺんさんとアンさんに合流し、
リーズナブルでデリシャスな蕎麦を食す。
船は動き始めた。
②2年ぶりの奈良
運転は、浜松-亀山間を担当。
伊勢自動車道はこの先、
車の横転事故で完全な通行止めになっていて、
東名阪に道路をスイッチ。
一度コンビニに寄って上北山村に到着した。
朝、パンダさんと合流。
さて、天気はどうだろうか?
初日が一番良さそうな気もするが、
はてさて。
遠望地点に向かうと、
滝の水量は平水で下降に問題なさそう。
不動七重の滝:(1度目 2013年 5月, 2度目 2017年5月)
③前鬼川と展望台
前鬼川の流れを見るのは3年ぶり。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Zenki_river_A.jpg)
小石を拾ったりしながら、
F5の展望台に向かう。
ここは意外と標高差を上がるところ。
展望台先から早速ロープを出していく。
④飛沫が嬉しい
![](../wp-content/uploads/2023/10/FudoNanae_F5_B.jpg)
虹が出る滝壺へ向かう。
![](../wp-content/uploads/2023/10/FudoNanae_F5_A.jpg)
かつて来ていたこともあったのか、
感情は落ち着いていてじんわりと感動。
![](../wp-content/uploads/2023/10/FudoNanae_F5_C.jpg)
飛沫を浴び続けるのが、
しんどくもあり、またどこか嬉しい。
⑤安息地
ロープを伸ばして、
パンダさんが反対の右岸に渡渉。
後続も移動していく。
![](../wp-content/uploads/2023/10/FudoNanae_F5_E.jpg)
ただその場に居るだけで満足。
![](../wp-content/uploads/2023/10/FudoNanae_B.jpg)
ここは飛沫が飛んでこない世界で、
全てを下降するキャニオニアも、
滝を登攀する沢屋も、あえて来ない世界。
![](../wp-content/uploads/2023/10/FudoNanae_F5_G.jpg)
晴れていることにはいるのだが、
うすーく雲がかっていて、
凄くすっきりとはいかない空模様。
珊瑚?
![](../wp-content/uploads/2023/10/FudoNanae_Sango.jpg)
ここが深い海底の地層であることがよくわかる。
滝壺
![](../wp-content/uploads/2023/10/FudoNanae_G.jpg)
下を眺める。
![](../wp-content/uploads/2023/10/FudoNanae_I.jpg)
⑥F3とF4
F4の滝壺
![](../wp-content/uploads/2023/10/FudoNanae_F4_A.jpg)
支点を構築して、F4前から下降。
![](../wp-content/uploads/2023/10/FudoNanae_F3_A.jpg)
F3の滝壺は少し泳いでF2落ち口に這い上がり、
継続で懸垂下降をすることとなる。
さらにF2は滝壺を泳ぐ。
![](../wp-content/uploads/2023/10/FudoNanae_F3_B.jpg)
F3の壺ではロープが絡まったが、
はんぺんさんが速攻でレスキュー。
F3の風景
![](../wp-content/uploads/2023/10/FudoNanae_F3_C.jpg)
僕はラストで降りる。
なかなかの高度感に痺れるF2。
しかも最後は滝壺ドボンであり、
滝壺からはなかなか岸に近づかなくて苦戦した。
F2前に到達する。
⑦美しき舞台
F2前は広々とした開放的な世界。
![](../wp-content/uploads/2023/10/FudoNanae_F.jpg)
舞台には女優も…
![](../wp-content/uploads/2023/10/FudoNanae_H.jpg)
圧倒的な美しさで持って迫ってくる。
![](../wp-content/uploads/2023/10/FudoNanae_A.jpg)
不動七重は比肩しがたい、
圧倒的な名瀑であり、異常な空間であった。
そしてその体験をどこか
客観的に眺めている自分がいた。
![](../wp-content/uploads/2023/10/FudoNanae_E.jpg)
それは大自然への畏怖であり、
緊張感あるキャニオニングのさなか、
というのもあったんだと思う。
F1の落ち口は大変滑るので注意。
ここでも支点を構築して下降に入る。
⑧F1の下降
ここは僕が70mロープ1本を既に回収して、
しまっていた事もあって、先頭となる。
F1の滝壺はデカくて、暗黒すぎて不安。
![](../wp-content/uploads/2023/10/FudoNanae_F1_A.jpg)
F1の左壁(右岸)は、
大きく2段になっていて、
一番下につくと、2名が立てるスペースがある。
しかしそこは大変狭く、
パンダさんに聞いていた
「飛び込み台」とはだいぶ印象が違った。
2番手のアンさんが来るのを待つ。
轟々と音を立てる暗黒の滝壺は、
真っ直ぐに岸に向かう流れだけではなく、
岸には近づかない
淵の方に追いやろうとする流れが存在する。
なんとも泳ぎたくない。。。
アンさんは降りてきて、早速泳ぎ出すが、
滝壺の右側に流されて行ってしまった!
僕もその後泳ぎ出すが、
途中から同様に右側へ流される。
なんとか這い上がり、
滝を眺める。
![](../wp-content/uploads/2023/10/FudoNanae_F1_B.jpg)
ここは滝壺の奥側・・・
そこから岸はまだまだ遠い。
意を決して泳いでは、
流されてしまい、滝壺の淵に這い上がる感じの連続。
4度目のスイムだっただろうか。
ついに、岸に到達!
アンさんも少しずつ近づいてきて、
残すは2名の下降とロープ回収のみとなった。
![](../wp-content/uploads/2023/10/FudoNanae_D.jpg)
みなさん合流して安堵。
F1の撮影
![](../wp-content/uploads/2023/10/FudoNanae_C.jpg)
⑨戻ってきなり
この後、岸までもう少し泳ぐ。
あとは戻るだけ。
完!!
まずは、ヤマザキで色々と食料を調達。
きなりでは温泉後、唐揚げ定食を食す。
そうめんは買ってしまったものの、
食べれる見通しが立たず、車に放置。
皆で語り合ってから眠りにつきました。
翌日は池郷川 ネジ滝です。
【今回のジオ】
![](../wp-content/uploads/2023/10/Zenkinoishi_A.jpg)
前鬼川は紫がかったチャートの岩が特徴的。
そして白くて綺麗な砂岩と、
白ベースに黒い鉱物と酸化した茶色が混ざる
花崗岩が印象的でした。
⑩まとめ
POINT
①キャニオニングはリスクが高いため、CLOSEDではないネット上で気軽にスキルのお伝えが難しい
②水量問題に加え、晴天でも滝に日が当たる時間は限られる
③日本国滝風景の真髄 (個人的三名瀑に:他はヒスイ、竜王)。
距離:3km / 累計標高差:600m