滝いろ|太平山 丸舞北又沢 篭滝沢の滝

本丸

太平山 丸舞北又沢 篭滝沢の滝

太平山 丸舞北又沢 篭滝沢の滝【秋田県 秋田市 河辺三内】

SUMMARY

秋田一人旅は、お家芸の公共交通機関アプローチ。滝の応接に好感触を覚えるも、水の厳しさを突きつけられ、一時は引退を決意。しかし最後には、爽やかな風景と歌にポジティブさを取り戻した。

滝の記録

訪問日 2020年7月23-24日

活動の形態:2級上+α(単独) / 公共交通機関

装備:8mm×20m+7.5mm×20m, ハーケン5枚, 2泊分の食料, ツェルト, 寝袋, ミラーレス一眼(広角), 三脚, 沢タビ(フェルト)

感動度:かなり (大滝)

①上野東京ライン

計画を立てていた紀伊の天気が壊滅的で、
滝仲間のはんぺんさんも怪我の影響で断念。

残された活動の余地は、
東北の秋田か青森。

当日の朝に高速バスの予約を取り、
夜にアルファ米を購入して、2泊分の準備。
圧倒的に時間が足りないも、なんとか詰め切って
鍛冶橋に向かうのであった。

上野駅の乗り換えは、
ボルト選手でも信号待ちで間に合わない、
そんな時間設定のGoogle地図案内。

異常に走ってホームに向かうと、
まだ列車が来ていない。

安堵するのも束の間、本当に来ない。

どうやら大宮駅での車両点検作業のため、
上野東京ラインが10分も遅れをきたしていた。

そのため、時間に間に合わなくなり、
路線バスなので待つことはできないらしく、
秋田行きのバスは行ってしまった。。。

四連休の滝めぐりは終了。

完!!!

②切り返し

というわけにはいかず、

速攻で別の便を探したところ、
八重洲南口で予約していた便の、
約2倍の値段の便があった。

これのチケットを購入。
3分差で間に合って乗車。

無事、旅の出発を切ることに成功する。

③アルヴェとフォンテ

しかし、秋田についてからは時間を持て余す。

何故なら、バスアプローチで便が少なく、
7:10の次は10:10秋田駅西口発。

高速バスはたまに少し早めにつくことがあるので、
間に合う可能性も考慮したが、
東北道の工事のため、
渋滞があったそうで逆に少し遅延。

アルヴェのファミマで食料を調達して、
準備を進める。この場所は友人と8年近く前に来て、
仲直りをした懐かしい場所だ。

忘れ物は、沢泊時に着る
ちょっとしたトレーナー系。

無印は10時まで開かないとのことだったが、
フォンテAKITAのファッション店は9:30オープン予定。

優雅にコーヒータイムに浸る。

実際には駅の中央を突っ切れる。

「ニューライフ カネタ」にて、
激安の柄物黒パーカーを購入。

10:10に太平線のバスが動き始めた。

④登山口まで

太平線は秋田の市街地から大きく外に出ていく。

途中から水田ばかりの風景となり、
米どころの風景に感動を覚える。

終点まで行くと逆に遠くなるので、
「貯木場前」という場所で下車。
滝仲間に今から出発の宣言をして歩き始める。

この道を歩いていると、
無人の野菜販売スペースがあった。

全部の野菜が100円。

ここはミニトマトを購入し、
沢での栄養バランスUPを目論んだ。

岩谷山と青空

丸舞川沿いに入ると林道になるが、
車は問題なく通れる綺麗な道。

登山口の案内のところで、昼食をとり、装備。

既に時刻は13時を過ぎており、
遅すぎる入渓が確定する。

⑤馴染む

すぐに、丸舞川を二分する、
北ノ又沢と、南又沢の二俣。

支流の滝 (左岸 12m)

北ノ又沢沿いの道をさらなる二俣まで。

穏やかな渓相。

黄色

4m岩間の滝

何気ない渓相が良い。

低い位置から。

存在感のある大岩。

小滝

2段5m滝の上

大岩が良い感じ

⑥大滝

色んな滝が代わる代わる姿を見せる。

流れ

2段7m級の滝の上に接近

青いお花、
エゾアジサイはこの沢の色んな場所で見られた。
「日本海側のやや湿った林の中に生える落葉低木」だそうです。

石畳が始まると、
地形図上で滝マークとなっている
大滝に導かれる。

感動。

空間が素晴らしい。

トマトを食べたりして、
のんびりとした時間を過ごした。

巻きは左岸から。

⑦ネジレの滝まで

ひねり小滝

骸骨岩の滝

2条の滝

ネジレの滝

瀞の緑が大変美しい。。。

さて、「POCKET」に保存していた記事では、
どこかの山岳会の「児玉さん」という方がトライするも、
断念されていたということであった。
(下山後「本庄山岳会」さんだと確認。)

児玉さんが登れなかったんでは俺も・・・
と、はなから諦めてしまいそうになるが、
この地形は正直登れるなら登ってしまった方が楽。

それほど両岸は高いし、
滝は少しだけ隙を見せてくれている。

空身で挑戦することにした。

⑧ネジレの登攀

パートは3ステップ。

1ステップ目は右へのトラバース。

アンダーで掴むホールドがポイント。
そこから右への移動が極度に難しい。

少し遠い、平和なスタンスに足が届くか?
2回目で到達することができた。
(IV~IV+ ボルダー5~6級)

2ステップ目は、スラブの斜上。
良いホールドが少なく苦戦する(III+)。

その上はバンドになっているが、
落口に近づくと、外傾に変わる。

ここまでザックを引き上げるか迷ったが、
そもそもこの先が行けるかわからない。
行けたところで、中間支点を取ってしまえば、
回収のために戻ってくることになる。

どちらも嫌がり、最終の3ステップ目に入る。

ここは落口で大きく足を広げて、
ステミングに入れれば突破口が開そうだが、
その手前に至るところが嫌らしい。

何回か引き返しながら、微妙な姿勢のまま、
一歩を踏み出してその位置に到達。

ステミングのために、
足を動かす準備運動に入るも、
少しでも滝に近付いたり、
瞬間的な滝の流路変化で、
体が吹っ飛ばされそうになるぐらい水が強い。

そのため、ミスは許されない。
大きく足を上げて水流をくぐって、
突っ張り態勢に入り進む。

少し緩くなって、あと一歩。

というところで、足を取られてしまった!

ギリギリで踏ん張る中、息が苦しい。
右手はバンプしていて、水流で動かない。

なんとか、頭を上げて呼吸だけは確保。

ここで流されたら死亡率50%がよぎる。

まだ死ぬわけにはいかない。

足は踏ん張り、右手も動いてくれた!
3ステップ目突破(V)。

⑨非情な水

目の前にはハーケンとスリングの残置支点があり、
ここでセルフを取って、ロープ引き上げに入る。

ザックが滝に近付いてきたが、
途中から猛烈な圧に変わって、
全く引っ張り上げることができない!

ザックの重さで推定16~7kgはあり、
それが水を含んで重さアップ。

さらに、滝の凄まじい水圧がザックを押さえつけている。
手は登攀でパンプしている。。。

いくら防水対策していても、このままでは不安!

なんとかしないとと思っていると、

あああああ!!

ザックの上蓋に収納されていたはずの、
オレンジの防水パックと、ペットボトル2本が、
どんぶらこと、流されていくではないか!!!???

状況把握が追いつかない。

取り敢えず、ザックが滝に打たれ続けたら、
全アイテムが水没してしまうので、一刻も早く、
ロープの圧を溶いて、岸まで送らねばならない。

両岸高くて、きびしく、
ロープを掴みながら下降に入った。
この状況でも、飛び込みの恐怖癖が消えず、
左岸からしつこく巻いて、ギリギリ降り立った!!

ザックを岸に、引き上げたら、
流されたものの回収へダッシュ?!

1つ下の滝の前に、溜まり場があって、
オレンジ袋の医療系アイテムを回収。

しかし、その他は見つからず断念。

幸いザックの精密機器で水没の被害はない。
ないも、水を吸ってめちゃくちゃ重くなってしまった。。。

そして、上に行って
ロープとカラビナの回収が必要。
この荷で再登はありえず、左岸巻きに入る。

⑩巻きとロープ回収

入口は1箇所しかない。

せっかく難所を登れたのに、
ロープのスキル不足で大切な装備を失い、
荷物も重くなって、意気消沈。。

もう、滝なんて二度といくもんじゃない。
人生の優先順位を見極めろ。
などと、ネガティブモードに突入する。

巻きは通常時であれば、そこまでだと思うが、
今回はとにかく、しんどかった。。
そこから、ロープ回収に降りる。

その先の6m級の滝は登れないので、
  再び左岸から巻きへ。。

これが終わったところで、
すでに時刻は18時を越えている。

幕営準備を進めた。

⑪夜へ向かう

ここは圏外の世界。

山を越えた遡下降計画は完全に放棄。
スピードが遅すぎる。

さらには、学びが多すぎた。

今回は、初日の一件で十分すぎるほど。
これ以上は、吐き出さないと、
学びが体に入ってこない。

フォンテのニューカネタで買った、
激安パーカーが活躍する。

ツエルトもいい感じで張ることができた。

おむすびが水没してしまったのが悲しい。

焚火は毎回の如く失敗。
いつもうまい人に頼りすぎているのだ。

反省点が非常に多かったが、
ツエルト内は平坦で温かく、幸せ。
そう、もう一回ここからがんばればいいじゃないか。

⑫鎮痛な朝

睡眠はばっちし、4時には
もごもご動き出す。

なんだか、だいぶ夜降ったみたいで、
アイテムが、濡れている。

ただの湿った崖が支流化していたが、
本流の水位変化はそれほど感じられない。

出発が近づくにつれて、
雨が強くなってきて、やる気が出てこない。

また、アイフォンの容量が一杯になると、
ジオグラフィカのキャッシュが勝手に消える現象が発生。

⑬悪天遡行・連なる滝

最初の滝は左から越える。

白布の滝 (日本百名谷の記録より)

左岸を巻く。

幅広の9m滝

左から巻き気味に登る。

2段S字の滝

2段9m滝が右岸の支流と合わさって両門

近づくと迫力を増す!

この辺り、中規模の滝が連続して、
遡行感度の高いところ。

2条の滝

2段の滝

突発的に浮かぶ音楽も、
赤い衝撃、ヒラクヒラク秘密の扉、
グリーングリーン、WITH a little luckとポップな曲調が続く。

脳内で何かしら、その場のシーンと
繋がりを感じたシグナルなんだろう。
興味深いテーマだ。

⑭大きな段瀑

そしてここが段瀑の始まり。

取り付くと、胸までの水没が確定するので、
左岸を小さく巻く。

おお!

これは全体で6段の滝と見ることができる。

落差は計50m級か。

上の4段はそれぞれ10m前後ある規模感で、
体感することでより良さがわかる滝だった。

上から2~3段目

上から1~2段目

最上段

直登不可で左岸巻きとなるも、
ここがめちゃくちゃ悪く、
ルートを誤ったかもしれません。

⑮見逃した支流

2段5.5m滝

このあたりで三十三滝沢があるはずだったが、
全くわからず、完全に見逃してしまった。

普段であれば、GPSでちゃんと見るので、
そんなことはないはずだが、

今回はキャッシュが消えてしまってたため、
よくわからず戻る気にもならなかった。
(倒木で入口が埋まっているらしい。。。)

いくつかあまり特徴のない滝が続いた後、 4m滝。

ハの字の滝

2条4mCS滝

いちよう下から見ると、
空洞を落ちているが、綺麗さは微妙。

二俣

もう早く下山して、
バスに間に合うモードに変わっていたので、
方角的に倒木で埋まった滝方面に決定。

この沢、メイン滝が少なく、
段瀑も雨でほとんどTG-5の撮影だったが、
ここでは二俣を収めるために超広角のα君に頼んだ。

一見絶望的なCW滝も実は右から登れる。

上段も突破。

⑯藪尾根

またも分岐があるが、直進し、
そこは「ハの字」状の特殊な両門滝。

上に行って気づいたが、これは別々の沢。

左に入ってしばらくで、
ボサがひどくなってきたので、
中間尾根に這い上がる。

これでなんとかなったかと思ったら、
ここから稜線までの高度差200mがキツかった。

例のネジレ滝事件で、
チェーンスパイクが流されたので、
フェルトのまま、滑る滑る半分藪漕ぎ尾根登り。

登山道に到着し標高を上がるも、
期待していたピークはなく、そのまま広く、
トンボがたくさんいた場所で休憩。

ここから下山へと向かう。

⑰バスを目指せ

記憶していた、
「岩見三内」という太平線の終点の最終便は
14:37 / 14:47 のどちらかだった。

そこから下山場所の「登山口」には、
6分くらいはかかるので、
14:43-53がデットラインと判断。

時刻は11:00。
3時間半もあるので間に合うだろう。

標高差はとにかく最初のうちに降りる。

そしてキノコを撮影したりする。

350m地点に「不動滝」の連瀑がある。

一番上の10m滝

不動滝は近付いてみたが、
こじんまりとした美しい滝だった。

しかし今は、
登山道で5~6箇所渡渉地点があり、
その部分の案内も不明瞭なため、
今後も訪瀑されることは、
限りなく少ないだろう。

不動滝を出発時に13:00。

意外と時間が押してきている。

⑱水田風景

不動滝の下流部は特に、
不明瞭な渡渉点が多くて、
林道に出たのは13:30。

林道は長い。
後70分で間に合うか??

頑張って歩いた。

林道の鳴き声の主はヤブサメらしい。

そうして、林道が抜けると空が開ける。

そこには水田風景と遠くに青空が広がっていた。

日本の原風景。美しい稲穂!青空!!

大変なこともあった、
今回の旅だがこの風景で全てが報われた。

野田町内公民館

14:30ごろに車道に出て、
「登山口」バス停に落ち着いたのが14:33。

ここで時刻表を見たら、
なんと、最終バスの到着は14:36。
3分後だった。。。

もう何も着替えられないので、
ハーネスだけとって、
財布を出してバスに乗り込む。

仲間に下山のお知らせをしながら、
秋田駅に揺られていった。

ログ

⑲そよ風吹いて

駅で装備を解除した後、
はなまるうどんで普段の2倍くらいの量を食す。

予想通り、当日の夜便のバスに空きがあったので、取得。

再びのアルヴェでは
高い天井を見上げながら、
「グリーングリーン」を聴きまくる。

いろんなことをひっくるめて、
この曲の青い世界観を忘れてはいけないなと誓いました。

完!!! (本物)

⑳まとめ

POINT

① クラシックルートの篭滝沢は滝が多い2級上の沢(ネジレ直登除く)

② 引き上げシステムは装備を揃えて練習しよう

③ バスだと歩く距離が長くなり、まとめるのが難しくなる。

距離:24.6km / 累計標高差:3417m

篭滝沢は、本流遡行となってしまい、
継続遡行もできませんでしたが、
充実した秋田2日間でした。

知らない土地で、
自分なりのアプローチを組み立てて、
目の前の滝を全力で捉えて、全力で向き合う。

そのプロセスの中で、
自分の課題が多く見えてきて、
物語が生まれて、次への道が開けていく。

そのような中で、
滝中毒・滝依存にならないことも、
それはやはり必要。

そのためにも、全部紙に書き出して、
吐き出して課題を認識すること。

滝の改善と現実の改善。

どちらも、逃げずに取り組むことが、
この夏をアツくするために重要なテーマです。

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