滝いろ|大丹波川 蝉沢左俣と寸庭川の滝

活動記録

訪問日 2025年2月22日

活動の形態:1級沢登り+α / 公共交通機関 / 2名

装備:沢靴(フェルト靴) / 8.0mm × 30m +お助け

感動度:まあまあ~けっこう(寸庭川前)

所在地:西多摩郡-奥多摩町-大丹波

① Project Semi

冬の活動を再開するべく、約1ヶ月ぶりに奥多摩方面へと向かった。この日は川井駅からスタートし、大丹波川沿いを進むルートを選択。青梅駅で乗り換えの際に電車を逃してしまったが、その間に川井駅・古里駅周辺の滝が紹介されたパンフレットを発見し、計画に組み入れることを決めた。

② スリラーパート

蝉沢方面へと進む林道は、徐々に高度を上げていく。

途中から気温が少し上がり、沢装備に着替えながらも、不安を覚えるほどの水量の少なさに気づいた。

だが、その不安を吹き飛ばすほどの光景が目の前に広がる。

山葵田が形成されているエリアには、まるでかかしのように子供の頭部のマネキンが吊るされていた。数も多く、不気味さを通り越して恐怖を感じさせるほど。

谷が少し急峻になると山葵田はなくなる

3段6m滝

一番滝らしかったのは2m滝

しかし、谷が平たくなると、人形が沢風景に戻ってくる。

何らかの理由で外部の侵入を防ごうとしているようにも感じた。単なる動物避けのカカシではなく、心理的な威圧を目的としたものである可能性が高い。

ここに長く滞在するべきではない、という直感を信じ、一刻も早くこの場を通過することにした。

③ 枯れ滝と渓流の狭間

山葵田を過ぎると、既に水がほとんど流れていない。

かろうじて沢らしさを残す屈曲点を抜けると、二俣地点に到達した。

右俣には2段7mほどの枯れ滝が現れる。

下段は比較的容易に登れるが、上段はスラブ状になっており、登攀の難易度が増す。

ロープワークのトレーニングには適しているポイントだと思う。

同行のもぐの体調が優れないこともあり、当初予定していた下降ルートの計画は取りやめ、左俣を進むことにした。

④ 左俣のボルダーと詰めパート

左俣の3段滝の最上部では、ボルダームーブを要求される局面があり、沢登りでの動きとしては良いトレーニングとなった。

クライミング的な動き(手に足)を沢で再現できる面白い課題かもしれない。

当初は沢を早めに抜ける予定だったが、思いのほか沢筋のルートがしっかりしており、そのまま遡行を続けることにした。しかし、終盤にかけて傾斜が急激に増していく。

最終盤には、2〜3mの崩れ気味の土斜面が待ち構えていた。

足場が不安定な中、無意識のうちに足を横向きに置いたり、バイルを使用して突破していたことをもぐに指摘され、自分の経験が活きていることを実感する。

適宜ロープを出しながら稜線に上がりきった。

⑤ 稜線越えと下山

稜線に出てからの下山は、一見穏やかに思えたが、ところどころ崩れて細くなっており、初心者には危険な道だった。慎重に足元を確認しながら進み、なんとか古里駅近くに下山。

しかし、消化不良感が残るため、青梅駅で見た寸又川の出会滝(下の滝・上の滝)を見に行くことにした。

⑥ 寸又川の滝

途中で「森のぱーん屋」を目撃し、そのインパクトに驚かされる。

こちらはベーカリープロデューサー・岸本氏の手がけた店舗の一つだった。

岸本氏は、パン屋のビジネスモデルを革新した人物として知られ、「機械化によるパン作りの簡略化」「高価格路線」「土産需要を意識したデザイン戦略」を駆使し、多くの人気店舗をプロデュースしてきた。しかし、ウクライナ危機(2021年3月~)による小麦価格の高騰などが影響し、流れが変化。僕が以前住んでいた街で時に愛用していた「歴史は変わる」も2022年末で閉店してしまっていて、物寂しさも感じる。。

しかし本店舗に関しては、店の外に大量に並ぶ人形たちが、まるでこちらを見つめているかのようであり、動物が踊るイラストも、一部シュールさも感じさせる。この光景を目の当たりにして、先ほど沢で見たマネキンとの共通点が脳裏をよぎった。近しい場所で二つの人形が示すことにどんな意味があるのか、そして実際の味が気になった(美味しそうである)

トイレ(小丹波駐車場観光トイレ)で体制を整えて、多摩川本流にかかる寸又橋を渡ると、多摩川沿いに遊歩道を発見。その道を辿ると、目的の滝へと到達した。

上の滝は少し道から降りることで接近可能で、水量は少ないものの、雰囲気のある滝だった。

続く下の滝は、懸垂下降が必要かと思いきや、もぐが道を発見し、容易に降りられることが判明。

ここは越沢本流の豊かな流れと緑に包まれた素晴らしい空間であり、本日訪れた滝の中でも特に満足度の高い場所となった。

調べてみると「明王の滝」という名称らしい。

⑦ 古里駅への帰還と食事

帰り道ではサウナ施設(Satologue)の横を通り、我々がこの施設を利用する可能性について話し合った。

清見の滝(半分堰堤)を眺めて、セブンイレブンへ移動。

※ 清見滝はあの入川谷の下流に当たる。

軽く補給し駅に向かったが、のんびり過ごしてたら、電車に乗り遅れ30-40分寒い古里駅に取り残される。時に乗り遅れてもなんとかなることが多いのが奥多摩の良さだ。

その後青梅へ移動。

夕食は「偕楽」という中華料理店で取ることに。ここでは優しい味わいの料理を楽しむことができ、一日の締めくくりとして満足のいく食事となった。

⑧ まとめ

今回の遡行は、異様な雰囲気から始まり、沢を進んで行ったがバリエーションとしてはハズレの側面が否めない。しかし左俣でのボルダームーブの実践やもぐの斜面トレなど、得るものあった活動だった。

遊歩道から明王の滝に至る流れは、計画にはなかったものの、満足度の高い発見となる。時間に追われることなく、ゆっくりとしたペースで進むことも大切だと改めて実感した。

もぐの記録はこちら

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