鹿股川 スッカン沢と桜沢の滝
スッカン沢と桜沢の滝【栃木県 那須塩原市 塩原】
コメント
半日の遡下降で、色んな世界が味わえ、
残りの半日の使い方も発見した1日でした。
滝の記録
訪問日 2020年6月14日
活動の形態:1級~1級上 (単独) / 車
装備:7.5m×20mm×1, 沢タビ
感動度:かなり
①運動が必要
梅雨が始まった。
予定地域の容赦ない雨模様。
計画は中止になったが、
運動不足が度を過ぎる。
そのため、半日プランということで、
栃木県の那須地域を選定。
懸念材料は、栃木県全域の、
午前中濃霧注意報であった。
②オフライン再生の衝撃
運転の時間。
今回は新しい取り組みとして、
YOUTUBEのプレミアム会員となって、
勉強系コンテンツを大量に、
オフライン保存しておいた。
これは結果的に大正解。
YOUTUBEのオフライン保存は、
家のWiFi環境下で一瞬で保存されるし、
ポケットWiFiの容量が関係なくなるので、
凄まじい機能だと思う。
もちろん、
娯楽系コンテンツを見ても良いのだが、
それだと成長する時間がなくなってしまう。
道中、楽しく勉強ができた。
(もちろん運転中なので、
実際に動画を見るわけではなく、
あくまで音声のみを聞くことになる。)
③ シンプルルート
目的地に設定した、
スッカン沢と桜沢は、
弘田さんの記録だと、
少しややこしくなっているが、
それは、両沢の「遡行」に拘っているため。
僕はそれは重視してないので、
スッカン沢駐車場を拠点に、
スッカン沢下降、からの桜沢遡行。
最後は峠道の県道を歩いて、
車に戻ってくるプランを計画。
④走り屋
そうして深夜の3時ごろだったろうか、
峠道に入ったはいいが、
意外と長いことが判明。
桜沢の終了点から、
駐車場までこれは50分以上歩くのでは・・・
そんなことを考えていると、
いきなり目の前が明るくなって、
大きな音が聞こえてきた。
カーブの奥からは、
「ウウォーーーーん」と音を立てながら、
今にも底を擦りそうな車が、
ドリフトを見せながら、隊列をなして登場。。。
睡眠不足で眠かった時に、
あまりにも驚いて、
危うく衝突しそうになったが、
辛くも今際の際のハンドリングで、
よけることができた。
しばらくすると、
路肩には何台もの車高の低い車が並び、
あたりには時折、爆音が鳴り響いている。
駐車場にも車がよく集まっていて、
休憩中の走る男たちの、笑い声が響いている。
しれっと奥に車を泊めて睡眠を図るが、
「ぶおおおおおーーーーん!」という大きな音と、
と眩い光でなかなか寝付けない。
それでも1時間ぐらいは寝ることができて、
見ると車は半減している。
AM4時過ぎには滝準備を進めていくが、
車から出たらフルボッコにされないかが不安。
ハーネスとヘルメットで、
負けないように身を固めて準備。
結果、何ごともなくスタートすることができた。
僕には彼らの行為が、
法的にどうなのかはわからないし、
峠道ではイタチさんが撥ねられていて悲しく、
怖い思いもしたが、
経験としては、良いものをさせていただいた。
⑤大きな事故
駐車場はスッカン沢のそばなので、
遊歩道沿いから沢に降りていくが、
最後の箇所が急になっていた。
ここで僕は致命的なミスを犯してしまう。
目の覚めない足取りで、
不用意に崖のギリギリまで近づいていくと、
突如として、足場が崩れて、
前転を伴いながら体が落ち始めた。
何もすることができない。
そんな長いようで短い浮遊の果て、
頭、首、肩、背中、そして右腕と、
回るように強打して、沢に着地。
まず右手甲と肘・肩にジーンと痛みが走り、
首は寝違えたような状態になって、
上をむくのが困難になった。
かなり危険な事故り方でした。
⑥最小限装備
右手の握力が半減した状況で沢下降を開始。
ゴーロもしばらくは、
車の爆音が聞こえたまま。
砂岩、粘土岩系の堆積岩の岩質。
そうして2段5m滝は距離10m分の懸垂下降。
所持していた20mロープではギリギリだった。
まだまだ暗いが、
この沢の色合いには、
とても期待が持てそうな感じ。
2段4m滝
⑦ 廊下と素簾
この後、降っていくと、
ちょっとした「廊下」帯になるのだが、
ここがなかなか素晴らしい場所。
廊下を過ぎた辺り。
その後河原が広くなると、
右岸に多数の潜流瀑が見えてくる。
ちょっと過ぎ去るには、
惜しいレベルの流れだったので、接近。
これは素簾の滝という名前がついているらしい。
スッカン沢のアクセントとして機能している。
⑧JINZABU
小滝は左岸から巻き降りる。
1m滝と美しい壺
水の色はミルキーブルーで幻想的だ。
大きな滝が現れて、
20mロープでの直接懸垂は
ロープが足りないので、遊歩道から巻くことにする。
しかし、滝下には道がなく、
ここも懸垂で降りるが、
崖は急であり、ロープ長もちょうどだった。
仁三郎の滝
滝前の妖しく輝くダイスのような岩がいい感じ。
この滝の手前右岸の側壁も、
素晴らしいものがある。
⑨雄飛の滝
実はこの滝の割とすぐ下が、
雄飛の滝なのだが、またまたロープ長の問題から
遊歩道に這い上がる。
そこから小さめに降りることは、
崖が高いので、下降距離は25m以上必要だと思う。
うろうろした挙句、
橋まで下らざるを得なかった。
遊歩道は所々消滅していて、
沢沿いを通っていく。
雄飛の滝の前に行くためには、
濡れてもいい靴が必須。
スローシャッターが意外にも、撮れていた。
素晴らしい滝なので、
足元を整えて是非訪れてみてください。
⑩桜沢 咆哮霹靂の滝
ここから下流部は、二俣まで
滝はなくて、ささっと移動。
そうすると隣の桜沢は、
スッカン沢に比べて、
半分の水量であることがわかる。
鹿さんが逃げていった先を行くと、
霹靂の滝が見えた。
左の立派な滝が霹靂の滝。
右の「支流?」というような流れが、
咆哮の滝。
鳥も多くて、
特に霹靂滝の前は良い場所だと思う。
登攀ルートは見えたが、
今日は右手と首が良くないので、
無理はできない。
ライフに例えるならもう1であり、
次の滑落は命に関わる。
咆哮の滝の左側のチムニーに取り付いた。
⑪桜沢の見所
決して難しいような難易度ではないが、
右は異様に滑っていて、
左は乾いた粘土系の柔らかめの岩。
慎重に登っていく。
下段の上の方
上段も階段状で待っている。
…
すると、上部には大ナメが広がっていて、
中央の巨大な岩がこの大きな滝の下半分を、
霹靂と、咆哮の2つに分けてしまっているが、
この大ナメを含めて、この滝は、
「咆哮霹靂の滝」なのだということがわかる。
右岸 30m滝
その後はナメがあったりするが、
見所を見極めつつ、橋からは遊歩道を経由。
雷霆の滝に辿り着く。
ミニ、霧降の滝の下段といった感じで、
滝前は寛げるので、食事をとった。
直登も可能だが左から巻いた。
⑫おしらじ かれる
この滝の上には8~9m級のナメ滝はある。
次第に水が枯れてしまい、
めぼしい滝がなくなってしまう。
水が戻ってきてしばらくで美しい水色と、
水の滴る崖が見えたらそれが、おしらじの滝!
この滝のことは詳しくないが、
近くの黒磯では3日前に80mm降っていて、
前日も17mm降っていて枯れているということは、
滝を観れるのはなかなか厳しいのかもしれない。
僕は上流の流れが変わって、
伏流化してしまったのかと思ったが、
そういう情報は手に入らなかったので、
保留としておきます。
ここも鳥が素晴らしく、虫もちょいいましたが、
深い滝壺の色が終着点に相応しかったです。
ここからはもう沢を直進せず、
おしらじの滝のための遊歩道で県道へ。
⑬鳥の世界へ
途中から中遠望レンズに切り替えて、
鳥の撮影に備える。
時折、鳴き声を聞くのだが、
首が寝違えたように痛いので、
上を向くことがしんどくて、
粘ることができない。
間も無く、駐車場につくってタイミングで、
ついに鳥を発見!!
動画と静止画を撮っておいて、
後々振り返ったところ、
オオルリのオスとメスであることがわかった。
オオルリ オス (動画からの切り抜き)
オオルリ メス
今のレンズでは正直、力不足ではあるが、
今後は、鳥屋系滝屋として、
活動を深めていこうと思う。
明るくなると、
車はいなくなっていた。
時刻にして、11時前。
活動時間は、5時間49分。距離は8.6km。
しょっぱなに事故を起こしながらも、
やり切りました。
完!!
⑭その後
街に出たら、ドラッグストアに直行。
大量に湿布を買って、
いろんな場所に貼りまくる。
味噌ラーメン屋では、
僕と年の変わらないお母さんが、
息子の育児に疲れ果てていたが、
何かを手伝うことは出来なかった。
帰りはさすがに疲れたので、
教育系オフラインYOUTUBEはやめて、
音楽メインで運転。
意識が30-40分間、危ない時があったが、
こういうことはやっぱり良くないので、
適切に休んで対策を取っていきたい。
5時前には自宅に着くことができた。
⑮まとめ
あんな落ち方をしながら、
全体的に軽度打撲で済んだのは、
回転したことで力が分散されたのだろう。
そして運が良かったです。
たった半日の中で、
色んな出来事が立て続けに起きて、
密度の濃かったスッカン沢。
運動不足も解消できました。
フェルトはすこーし薄くなってきたので、
後2-3回かもしれません。
今回のルートでいえば、
仁三郎と雄飛を直接降って、
霹靂と雷霆を直登すれば充実しそうですが、
詰めがなくて体力的に楽チンなので、
1級上の領域を出ないと思います。
Youtubeのプレミアム会員登録からの、
オフライン再生は、凄まじいので、
道中の時間も有効活用していきましょう。
濃霧は全然問題なかったです。