玄倉川 鍋割沢の滝
鍋割沢の滝【神奈川県 足柄上郡 山北町 玄倉】
滝の記録
訪問日 2020年5月30日
活動の形態:2級 (2人) / 車
装備:8mm×30mm×2, 沢タビ
感動度:けっこう
①朝の試練
列島のコロナショックに、
一旦ではあるが、区切りがついたこの週。
マックでの一悶着があって、
あっきーさんは食事を済まされた。
② ザバーン
ラジオからは、パーソナリティの男性が、
ハイキングのお話を届けてくれる。
目的地もまだ決まっていないが、
走りながらの微妙な時間の中で、
一つずつ候補を絞っていった。
ラジオの男性は、今度は登山の話に移った。
累計200時間はラジオを聞いてきた僕が、
その違和感を尋ねると、FM横浜土曜日AMの
アウトドア特化型ラジオ「ザバーン」であることを伝えられる。
③ 歳に負けない
様々な候補の中から、鍋割沢が決まった。
玄倉林道が通行止めのため、
中津川 寄沢 沿いの雨山峠へ向かう道を選択。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Yadoriki_road.jpg)
林道が終わると登山道となり、
時に寄沢を対岸に徒渉したりしながら進む。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Yadoriki_goro_A.jpg)
それにしても、
エンジンのかかりの遅さというのは
近年感じ始めていて、
歩き始めてから1時間ぐらいするまでは、
体が重く疲れてペースが上がってこない。
しかし、あっきーさんがこれだけ動けるのだから、
僕がまだまだひよっていてはダメだろう。
きっと、冬の運動不足が原因なのだ。
④ 雨山峠
渓流の歌姫、ミソサザイが鳴いている。
ちっこくて可愛らしい鳥だ。
上りの道を続けていくと、次第に沢沿いになる。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Yadoriki_genryu_A.jpg)
と言っても、水はもうなくて、
ゆるやなか寄沢源流のU字谷を、
すこすこ歩いていけばいい。
雨山峠に至った。
ここから、鍋割沢にいくには、
西の林道に降りて林道を長く歩くコースと、
標高300mを登り、鍋割山を越えた後、
小丸から下降するコースが考えられた。
しかし、ここで標高差300mはナンセンス。
西の沢沿いに降り始めた。
⑤ 癒しの雨山沢
沢の右岸に設けられた道を辿る。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Ameyama_1.5m_A.jpg)
しかし、途中途中で、綺麗なナメ滝が見える。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Ameyama_kotaki_A.jpg)
水は少ないが、癒し系の沢。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Ameyama_kotaki_B.jpg)
思わぬ風景に感銘を覚えながら、林道に合流した。
⑥ 手拭いの女
林道歩きが始まる。
かつてはここまで自転車がこれたそうだ。
玄倉川には時折、支流が合流していくが、
どれも味わい深そうな様子を漂わせていた。
茅ノ木棚沢
![](../wp-content/uploads/2023/10/Kayanokitana_deai.jpg)
トンネル
![](../wp-content/uploads/2023/10/Kurokura_ana_A.jpg)
後ろから颯爽と、
北アルプスにいそうな健脚な単独女性が現れる。
頭の手拭いの結び方がとっても上手であった。
一度僕らが先をゆき、
鍋割沢の出会い付近のゴーロで、
入渓準備兼、お休みをしているときに、
再びお会いした。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Nabewari_go-ro.jpg)
⑦ 切り替わる世界
ゴーロを越えるとF1がある。
日が照りつけるゴーロから、
ちょうど陰の滝の世界へ切り替わっていくところ。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Nabewari_2j7m_A.jpg)
滝の向かって右側に、
大きな木が生命力豊かに根を伸ばしていたが、
あまりうまく撮れなかった。
さて、どうしようかというところで、
登れるんじゃないか?という見立て。
僕が先に取り付いてみるが、
めちゃくちゃぬめる。
フェルトなので、
ギリギリのところを攻めつつ
高度を上げるが、見た目よりも悪い。
上の方は有効なガバがなくて、
泥を落としながらのホールド探し。
足もやや微妙だったが、
冷静につないで切り抜けた(III+)。
ステルスソールのあっきーさんは、
ぬめりのため、左岸巻き。
ロープで降りて合流。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Nabewari_renbaku.jpg)
⑧ 8mF2
連瀑を越えると、
F2の8m滝が待っている。
弓を放つあっきーさん
![](../wp-content/uploads/2023/10/Nabewari_8m_B.jpg)
近づくと両サイドが迫力を増し見事。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Nabewari_8m_A.jpg)
この沢の見所の滝だ。
後藤さんのガイドでは左岸巻きで、
それが意外と悪いという。
しかし、右岸を見ると、
ガレルンゼが登れそうではないか?
とのことで、
間隔を空けて僕が挑戦してみる。
⑨ 鍋割の脆き壁
堆積した岩の塊のお山は問題なく登り、
ガレルンゼの真下に着く。
岩場は想像よりも立っていた。。。
そこから取り付いてみるが、
各ホールドスタンスが微妙に遠くて苦戦。
そうこうしていると、
突如、右足のスタンスが飛んだ。。。
他の二点支持でなんとか持ち堪えて、
さらに上へ。垂直パートが終わったら、
緩くなる斜面を登る。(IV + 以上)
有効な木々はなく、新しい僕の右手、
ロックテリクスの「ゴルジュハンマー」が音を立てる。
自宅の日々の最中、オンラインで注文し、
最初に握った時の重さには、絶句したものだが、
パワーは物凄くある。
ところが、ここの岩どこも脆く、
リスが打ち込まれるやいないや岩ごと崩れ去って、
しまう。。。
なんとか、2本隣合わせに打ち込んで、
確保に入るが、あっきーさんは少し登り始めている。
そこからは掴んできていただいたが、
僕が取り付く前にもう少し連携を、
確認すべき箇所であったと反省。
(この状況になったらこうしますなどのパターン)
![](../wp-content/uploads/2023/10/Nabewari_tora_A.jpg)
ここからは真横少し上のラインをトラバース。
無事あっきーさんにラインを張ってもらって、
僕は楽をさせていただいた。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Nabewari_tora_B.jpg)
ロープを回収
![](../wp-content/uploads/2023/10/Nabewari_tora_C.jpg)
⑩ 見所が連発
3m滝は左岸の張り出しが見事。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Nabewari_3m_A.jpg)
個人的に一番見応えがあったのが、F3。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Nabewari_2dan8m_B.jpg)
2段8m程度の落差だが、
段階的に張り出している岩が格好良すぎる。
一番の思い出の風景。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Nabewari_2dan8m_A.jpg)
次に待つ5m巨大CS滝は、
かなり巨大な岩でびっくりする。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Nabewari_5mCS_A.jpg)
黄緑が終始鮮やか。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Nabewari_5mCS_B.jpg)
そうこうしていると、
細い小滝の奥に2条の滝が見える。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Nabewari_2j9m_B.jpg)
9m級の滝で、上部に丸い岩があるのが特徴的。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Nabewari_2j9m_A.jpg)
露出がおかしくなってしまった一枚。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Nabewari_2j9m_C.jpg)
この区間は良い滝が続いた。
⑪ 『岩が俺を避けていった』
ここの右岸巻き。
斜面は良くない感じ。
登っている突然触った、
前斜面の岩が大きく崩れた。
僕の腹から首近くまでありそうな、
そんな大きいな直径の岩が突如崩れて、
ぶつかってきた!!!
破片がスネを打った。
衝撃でよくわからず、後ろをみると、
あっきーさんは無事だった。
「大丈夫。岩が俺を避けていった」
そう仰っていた。
あんなにでかい岩が触っただけで、
突如崩れるとは思わなかったし、
ぶつかったのにほぼ無傷なのは、
微妙にコースがそれてたんだろう。
2人とも無事で何より。すんませんでした。
⑫ テーブル岩とツツジ
落石の衝撃か、異常なペースで高巻きを掛け、
この沢床に復帰。
しばらく進んでいくと、
「テーブル岩」が目の前に。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Nabewari_Table_A.jpg)
今回僕らはここで尾根へと抜ける。
主要な滝場は終わり、
終盤は登れない赤土に阻まれるらしい。
尾根は最初登るまでが嫌らしかったが、
その後大体は平和。少し道を逸れて、
上部には美しいツツジの群生が!
![](../wp-content/uploads/2023/10/Nabewari_Tsutsuji_C.jpg)
もうしばらくで稜線に出た。
⑬ バリエーション下山
![](../wp-content/uploads/2023/10/Nabewari_gezan_A.jpg)
ここから最短で下山するだけであれば、
大倉尾根を降りておしまいであるが、
車が停まっている、寄沢の方まではかなり遠い。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Nabewari_gezan_B.jpg)
金冷し、大丸、小丸といって小丸で休憩。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Nabewari_gezan_C.jpg)
稜線は曇っていて、
時折幻想的な雰囲気が良い。
鍋割山は初登頂。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Nabewariyama_A.jpg)
この後、雨山峠までいっていては
ルート的にロスが大きい。
地形図を判断して中間尾根を使用して、
寄沢源流部をカットする
スーパーショートカットコースを実現させる。
⑭ 沢靴の崩壊
しかしここにて、
あっきーさんの沢靴、大峰が崩壊。
なんでも前の夏に、
屋外の物置で管理されていたそうで、
その高温さで接着がイカれてしまって、
寿命が早まった可能性があるのだとか。
何度かボンド修復を施して今回に至られていた。
日の長いこの時期でも、
すでにあたりは暗くなっています。
真っ暗闇のゴーロ帯。
片足が外れ、また、もう片足がだめになり、
さらには暗闇が近づくゴーロの中で片足が、
完全に靴下同然になってしまった。
ヘッドランプを装着した状態で、
スリングを巻きつけるなどして、補修を試みるが、
結局は取れてしまう。
そこで僕が、かつて、
島根の掛橋川の龍頭ヶ滝などで、
裸足のまま遊歩道を15分ぐらい歩いて、
苦労の果て、到達したお話などして、
元気を出していただこうとする。
あの頃は何かがおかしかった(苦笑)。
歩き始めて、もうしばらくで、
登山道が終了。
真っ暗な中、林道になってもう安心。
さくっと着替えて終了になりました。
(19.3km)
完!!
![](../wp-content/uploads/2023/10/Nabewari_GPS.png)
その後セブンで食料を補給して、
E駅まで載せていただく。
⑮ まとめ
たくさん歩きました。
まさか、丹沢で闇下山になるとは。
でも、玄倉の一端を味わえて、とても充実です。
沢靴に関しては、
仮に山のど真ん中で靴が崩壊した場合、
パーティ全員が遭難する可能性も出てくるので、
沢で靴を崩壊させないように、
準備することは肝に命じたいと思います。
また、落石にも気をつけます。
そして、流れを感じること。
次にいくべき、滝・沢は
常に毎日にヒントがあると思ってます。
今回の鍋割も、
無理してではなくて、強引でもなくて、
いろんな意味で、
自然と、流れに従って、
気づけば訪れてました。
そういう、流れを、
今後も大切にしていきたいです。