訪問日 2025年5月18日
活動の形態:上級滝めぐり / Car Share / 単独
装備:フェルト足袋 / 7.9 mm × 40m
感動度:かなり~限りなく (牛鬼滝)
所在地:和歌山県 田辺市 下川上
① 修験の滝
仕事でこちらの方面に行く機会を得て、南紀の安川流域を目指した。
紀伊田辺を拠点にしたが、安川の出合いあたりからかなり山奥になっていき、河川も大きく増水している風景が確認できる。
和歌山県道を進んでいくと、時折運転にかなり危険な落石や倒木が散見されたので、2~3回車外に降りて掃除含めて先に進んで行った。
事前リサーチでいくつかの滝の存在を確認していたが、まずは宗小屋谷の修験の滝を目指す。
駐車スペースすぐ先に滝が目視できるが、実は滝前(滝下)へのいわゆる道はない。
左岸を巻き降りる形になるのだが、沢装備に着替える前で、new eraのベージュパンツを履いており、かつ斜面が雨後でぬかるんいた & 溝に流水が流れており、慎重な下降が求められた。

滝下で見る修験の滝は壮観な風景。インゼル形式で元々1つの滝の流れが分かれて表現されて見える。
② 牛鬼滝へ
いきなり凄い滝をみて戻って、今度は安川の本流の牛鬼滝を目指す。
さらに先まで車を進めたが、ここは非常に日本国の中でも奥地だと思う。
駐車スペースに至る途中にて、足が痒くなり、これはヒルの存在を確信。車外に出て昼を叩き落としたが、再びヒルの車内への侵入を防ぐべく焦ったところ運転席のドアに左目の真横側をガンっとぶつけて、かなりの衝撃を受ける… これは少しの間、軽いたんこぶ化してしまった。
牛鬼滝の明瞭な案内が見当たらなかったため、誤って上流側の散策を一部したが、下流へ戻って看板を視認。ただ、ルートが明らかに急だったため、もうここは沢装備を決めてからいくことに変更。整えて、道を本流に降り立つ。

そうすると、牛鬼滝はかなりの名瀑で感動。

何より雰囲気が良いし、後ろも渓谷が続いていて、閉ざされた感もある。

黄色いお花が咲いていて、水量も豊富で神秘的な感じ。(コモチマンネングサ??)
かなり癒されたが、この日目指す黒木谷の遡行のために車道まで戻ると結構な距離だし、まず本流で行けるところまで行くのが筋ではないかと判断。下っていく。
③ 安川本流の世界

そうするとやがて狭まった箇所にいたり、泳ぎか… と覚悟を決めるも、腰上までの渡渉で通過可能だった。

その先はさらに胸まで浸かって、その場所を通過する。
このようなゴルジュの中での腰以上の着水はいつ以来だろうか…?
神童子谷で一瞬浸かって以来?海沢?日原本流?池郷? とにかく不思議な感覚に包まれた。

イモリを水中で確認。

本当に水が綺麗で、自然が豊か。
左岸から支流の流れを受ける箇所で、1m級の滝がホワイトウォーターを形成

ここは直接降りるのは危険と判断。
左岸から巻き気味にここは通過できた。0.5m級のところもうまく通過。

水中を捉える

苔大地
1.5m級の2条の滝は横から通過したのち、少し近づいて撮影した。


この先で流れは勢いを増し、高巻きをしない流れの中で、右岸側にうまく渡る。
④ 2mひょんぐりの淵
そこから這い上がって、回り込むと2mのひょんぐり滝前に到達した。

凄い勢いで、滝前は渦を巻くようなホワイトウォーター。

撮影後しばし考える。
滝壺に吸い込まれたら助からないだろう。
一方で、少し先まで流されれば、95%ぐらい足がつきそうな場所が見える。
そして、体を少しだけ中に預けると右岸側の岸に対してはむしろ岸側に押し付けてくる流れを確認。そのため、一部へへつりながら途中からちょい泳ぎに移行して、この箇所を通過できた…

ここから先もうまくかわしていくと、左岸から黒木谷の合流を確認。

ただ、ゴルジュの真ん中であり、容易に林道に脱出できそうには見えなくて、帰りのことを考えて困惑。ただ、よくよく地形を確認すると、ジグザグにたにを抜け出せるルートが確認できたため、安心して黒木谷に進んで行った…
⑤ 黒木谷の下部
出合から見える3m滝

森の中に進むと深い森に至った雰囲気が良いところ

やがて8m級の滝が見えて、一息。

簡単な巻き道はなく、水流右から直登の可能性を感じる

ただしいざ取りついてみると水量が多く、けっこう被ってきて、しんどい感じ。滑るし単独では厳しく断念。
⑥ 右岸巻きと水没
右岸から大きく巻いていくことにした。30m弱は高度をあげ、どこに降りるんだろうか、と思っていたら、目の前に細々とした水流が。
これは支流の水量だと判断し、尾根沿いに高度を下げて、途中から支流に入って最後はクライムダウンしたら、さっきの滝の落口に降りれた。(ここの支流下降含めて少し悪い)

ちょっとした滝広場となっている
その後2段4m滝

8mナメ滝

ここで三脚出して撮影しようとしたとき
色々と丁寧さを怠り、首にカメラを下げず三脚への固定が甘かったことから、αが滝前の水たまりに水没してしまった… 急ぎ取り出すもディスプレイがバグっていて使用できず。
電源を取り出して放置し、以後TG-6のみの運用となった。
紀伊のカエルに出会う

⑦ 大滝に至る
8mナメを左から越えると連瀑帯(3段11m級)になっている

そこも右岸から支流滝を受ける構成。

最後の段の3-4mは左から直登するが、この日は水量多く水を被り気味でスローパーを抑えて体を上げる一手に集中が必要だった。
大滝は一直線な感じで、不動大滝感を感じさせた。

いくつかの印象的な木があり、後ろから眺めることでも雰囲気が出ることを感じる一本。

ただ、滝前の場所そのものはザレを中心に荒れた印象で、そこまで整った場ではなかった。

増水で力強い流れをいっぱいに受けて、引き返す。
⑧ 降って、雨乞いへ
3段の上部はロープ出してごぼうで降り、8m滝は左岸から懸垂下降で降りる。

出会いまで戻ると、対岸へ戻るのがやや難しかったが、少し飛び込んで上がったのち、明瞭な道がつながっており、尾根へ。あとは林道を歩いて、駐車スペースまで戻った。

その後、安川渓谷 の駐車場に移動し、雨乞いの滝へハイキングへ向かう。
安川本流が屈曲している箇所の中間に近い場所に雨乞いの滝があり、県道はそこをショートカットしている構成。そのため上流側から下流の雨乞いの滝に向かって遊歩道が伸びている (一部登山道化している)

3mのすり鉢状の構成で非常に整って美しい流れ。ずっとみていられる。
沢靴のままだったので、接近して岩の上で足をプカプカさせていた。
αが故障していたのが残念。
戻って、多少移動後に装備解除して終了へ。

⑨ その後、まとめ
帰りに立ち寄ったLAWSONでは、ローカルヤンキー・ライダーたちが集まり、125 cc スクーターのマフラーを交換して、「ぶおんぶおん」と音をたて、とてもやんちゃくれていた。
黒木谷付近までは田辺拠点だと48kmほどの運転で到達できるが、地理的にかなり遠く、行きづらい場所だ。水は恐ろしく綺麗で、両生類が躍動しており、美しい場所。普段はもっと水量が少ないことが予想されるが、この日の本流下降はなかなか痺れる展開となる。
一方で今回はヒルに吸われ、目元を軽く打撲し、そしてα6500が水没した。
αを即修理見積もりに出したが、後日、返ってきた診断は「全損・修理不能」。内部の腐食が広がっていたようだ。7年という歳月、滝のしぶきにまみれながら、十分すぎる活躍を見せてくれた。
増水した本流で、イモリが泳ぎ、黄色い花が揺れるその渓の中で、自然は変わらず凛としてあった。喪失を抱えてもなお、足元には確かな感触が残っている。