訪問日:2026年10月31日
活動の形態:2級上~3級下+α沢登り×探鳥 / 公共交通 × カーシェア / 単独
装備:ラバー沢足袋, 30m×7.8mm, Sony (超広角), Nikon(望遠)
感動度:滲み出る感動
所在地:長野県 木曽郡 南木曽町 読書 / 田立
木曽川支流、山口ダムの約170m上流で右岸に合流する、約2.4kmの沢。地理院地図に名前はなし。花崗岩の巨岩と美しい水の下流部から、8~9m弱の滝が3つ続く核心。
伊勢山周辺は去年の大洞に続いて2回目となるが、険しさは大洞をはるかに上回っていた…
沢の名前:境の沢
この沢は、地理院地図にも河川コード台帳にも名前が載っていない。手がかりになったのは、遡行の途中で見つけた、赤白の標柱。土地の側から調べ直すと、長野県の森林簿にある小字「サカイノサワ」の区画を、この沢が通っていた。両岸は読書と田立、2つの大字の区画が交互に並び、この沢は2つの大字の境を流れている。名前が「境」と合うことから、滝いろでは「境の沢」と呼ぶ。
① 入渓まで
東京から、あずさで松本へ入り、松本で借りたカーシェアで国道19号を南木曽へ向かう。
大桑の道の駅でフラットにならない車内の中マットと寝袋でうづくまるようにうづくまるように休息を取った。
朝、近くまで移動するも、木曽川と山口ダムからその沢に至るまでの間に、JRの中央本線あって、また正式な道がない状況。そのため、どういうふうにアプローチをしていくのかというのは、現地に着いてみないと明確なところが見えない状況だった。
なので、沢装備に着替えた後に、ちょっとしばらくその辺りを見回ったところ、1本の沢筋がトンネルをくぐって、流れ出ていることが分かったので、そのトンネルをくぐって向こう側に行って、その向こう側の斜面を経由して入境点に向かういくつか沢を越えてですね、行くルートを選択。

イカルの飛翔

森の横を通過 (踏み跡はある)

トンネルをくぐる

中央本線を上から
(この辺の車道からもこの道に入れた)

通過する沢の1つ (三の沢?)

森が鬱蒼としている
② 境の沢の下流~中流部
実は歩きやすい道に導かれて本当の下流部(350m区間ぐらい)は今回飛ばしてしまった。
ぜひ、次に向かわれる方はこの下流部も歩いてみてほしい。

ここから入渓


美しい3m幅広斜瀑

水場

左岸の蛤岩の小連瀑(3m)

ヤマメいた (濃かった)

5m複瀑

1m岩間小滝

赤白の標柱 「庚1支白」との記載に読める

ヤマガラ 口を開けた一瞬

近くにはシジュウカラもいた

巨岩ゴロゴロを少し超えたところ

4mのゆる滑斜瀑
この辺りはまでは地形図上も両岸が立ってなく、穏やかなフィールドだった。
③ 境の沢 巨岩ランド
ここからはまず左岸が崖マークに変わる。

箱岩ある造形美に優れた小段瀑

微妙なところでもルートにミスると上がれない

ごろご〜ろ


危険な香りが少しずつ

ごつご〜つ

縫うように進む

一歩先の世界
④ 境の沢 ゴルジュ
ここからは両岸がぶったった世界

2m岩間滝は写真から見ると左側から簡単に上がれそうだが、現地判断では倒木の奥含めて実はそうではなく、右の大岩も絶望的で、水流沿いを。
写真で見える滝真ん中の岩に左足をおいてその先を迷ってて、テイスティングしてたところ、なんと左足をおいていた中規模のこの岩が音を立てて落ちて、クライムダウン不能に…
落ちたら怪我は必至なのと、Nikonのカメラを左胸に固定しており、水流に突っ込んでいくムーブの場合水没含めてリスクがあった。ここは頑丈だというNikonを信じて固定を外し、滝の左上に投げた。
ちょっと、力足りず、まさかの落ちてくるかな… とヒヤッとしたが絶妙に固定。
たわしでスタンスを磨いて、絶妙な2手を重ねて突破。(IV+)

滝上はこんな感じの面白い斜め岩になっていた。

すぐ上には左岸支流が滝となって加わる

7~10mほどの段瀑で奥に20m滝が見える
⑤ 境の沢 一枚岩の滝
本流奥には遠目には絶望的な滝が見えて、近づいていく中カワガラスを視認。
ただし、本当に警戒心が強く、滝前で2~3回移動しカメラを構えようとするときにはさらなる全力逃避で下流部に行ってしまった… (もう一羽も同様に逃す)

振り向いた空が美しい

到達した…

この滝は右岸の一枚岩が圧巻。
滝は左側の一筋に加えて積み重なったCSの右側にも細い筋がカーテンのように注ぎ込む独特の景観だった。途中からスロー設定したあたりでAF→MFになってピントが崩壊していた…
直登に関しては、上級者がエイド含めていけるのかなという感じで、通常は巻きになるだろう。

先ほどの左岸支流から巻く

小さく巻こうと思ったが、道は繋がらず、一段階大きく巻くことになった
⑥ 境の沢の核心

巻き終えたところ (のはず)

2段5m滝
縫うように進んでいくが、登れない箇所が出てくる。

確かここかこの途中で左岸巻きへ

2段7m滝の真ん中に降りて撮影



サワラかヒノキの巨木に圧倒された。
そして、地形は狭まり、逃げ場なしの8m滝に行き着く。

マニュアルフォーカスの悲劇

格好良い滝だった
ぱっと見の直登は無理。右岸のバンドに乗ってそのまま岩棚を直登するのはスタンス、ホールドともに沢としてはアウトな部類と判断。少し戻った右岸側の支流近くもみたが、これはノーロープではかなり緊張する20m強のクライミングを決める必要があり、撤退も脳裏によぎる。
ただし、写真では残っていないのだが、左岸の上にもバンドがあり、そこからそのまま落口には行けないものの、滝に向かって右側中腹部におり立てるルートを見出した。
取り付きも問題なく進む。

ロープ出して中腹部に降り立ったたが、近づいたら必ずしも不要ではあった。
⑦ 絶望の2条8mCS
核心と思った場所を越えた先には、絶望の光景が。圧倒的地形にかかる2条8mCS。

両岸はぶったっており、登攀ルートは見出せない。
念の為近づいて中を抜ける内面登攀的な穴がないか見てみたが、なかった。
ここで、MF→AFの物理スイッチを切り替えて、なんとか写真にはなった。
だいぶ生存が怪しくなってきたが、全力で脱出を図る他ない。
地形を見ると右岸から先ほど下から登ろうとした候補の支流20m弱付近にわずかな隙間を見た。

この右岸のこの辺りには安定したバンドがあるのだがこの上はかなりの傾斜ある危険な斜面の連続。
超ハイステップの木登り、土斜面での中~上級者スキルがないと突破することはできない。

右の流れは岩を割りながら、本流筋となる右の谷筋から来ていることがわかる。
巻きを完遂した。

ゴルジュ上から俯瞰。

写真では伝えきれないが、圧巻の場所だった。
なお、地形図上穏やかなすぐ上とは別の支流的に見える方が現頭部で、同様のゴルジュ地形を持っているので、もう一つこんなものがあるのだろうと推察している。
⑧ 下山へ

穏やかな上流部

堆積岩。1067m峰を目指す

尾根筋の到達

針葉が落ちていた

この山域は尾根上の巨岩がとても多い

桃がパッカリわれた岩
そのまま尾根沿いにほぼ行きのルートに合流できそうだったが、少し余裕があったので一ノ沢(仮)方面の林道へ出て、そこから戻ってきた。お花畑ではブレたが、初めてのジョウビタキ(♂)の飛翔。



完…
⑨ その後、まとめ
当日のあずさで帰るためには、温泉を諦めざるをえず、一方で長野県のスーパー ツルヤでドライフルーツやコーヒー豆、ジャムを買って帰路へ。
あずさではツルヤで買ったネギトロ巻を食べながら現像を重ねた。
南木曽、そして伊勢山周辺はやっぱり面白いなというのがまず一つ。
ただ、大洞に比べて、こちらは難易度が数段高く、全ての直登や、さらなる源頭部のゴルジュを含めたら相当登りごたえのある沢になるだろう。
中盤以降は終始緊張状態に置かれたため、探鳥的な余力が削がれてしまった。カワガラスの飛翔を逃したり、狙っていた沢筋の猛禽類(ツミやハイタカ)も見つけられず、厳しい結果となる。Nikon投げの影響によるカメラへの不具合は確認されてないものの、もうやらないように危険シーンでの岩の確認やバッグへの収納含めて改善をしていきたい。
sonyの10-20mmのレンズは厳しいアウトドア環境の中、物理的なAF-MFスイッチが何かの拍子に切り替わっていて、なぜかピントが合わないなボケてる気がするな… という状態になることがある。
とはいえ、厳しい活動の最中ではそれがフォーカスモードの物理的な変更であることに頭の中で繋がることが難しいことがあり、貴重な撮影機会を棒にするひどい側面があることは否めない(北海道 白老滝でも発生)。これだけボケてるなら、TGで撮っておいた方がはるかにマシだったシーンもあり、対策を考えていきます。
