訪問日 2025年8月30-31日
活動の形態:4級下沢登り / 車2台 / 2名
装備:ラバー足袋 / 7.9 × 40m × 1
感動度:限りなく~異次元 (裏越のセン+その上)
所在地:群馬県 みなかみ町 相俣 → 藤原
① 中~上級沢登りへ
今回ポムよりお誘いをいただいた。先週の釜の沢でかなり疲れている中、のんびり過ごすことを検討していたが、今回は出陣を決断。ドウドウセンの直登にも備え、アブミを準備したり、中級沢に向けて装備の見直しなど進めた。
谷川岳のインフォメーションセンターに集合し、川古温泉に移動。
コンパスexから登山届を出すときに、毎回マイページを押してブラウザ経由で実施しているが、前回のルートが残ったままになっていて、消しますか?と出るのがとても操作性が悪くて困っている。

林道スタート

キク科 オオハンゴンソウ
歩き始めると、左前方の木に黒い生物が登っていて、小熊であることがわかる。近づきながらポムが手を叩いていくと、慌てて木から落ちてそのまま立ち去っていった…
また小さなモグラの仲間、ヒミズが息を引き取っていた。
笹穴沢がある金山沢を過ぎると、登山道となる。

雄滝と雌滝を眺める (水量少なし)

登山道は時に崩れていた
スタートから2時間ほど歩き続けて、河原に降り立つことができた。

カリガネソウ

ヒルはベルクロ裏に集中して4~5匹
② 赤谷川をゆく


入渓点にて奇跡のような緑色楕円球を発見。
これは、玄武岩が変成作用を受けた緑色岩と判定。ぜひ赤谷川に行く人は見つけてみてほしい。

エビス大黒沢 出合滝

綺麗な渓谷だ



大きな滝が見えてくる

越の滝沢のカッコ良い段瀑

淵が深くなる

マワット下のセンに到達
③ マワット下とマワット
この滝は滝めぐりであれば巻きであるが、今回は左側から接近して上部の10m弱をノーロープ登攀。

有効なホールドは下部にない

上から
ここは四点支持にならないので足と体のバランスで登るフリクション系の課題だが、落差があり滑ったら死にうるところで、ロープを出すことが望ましい。緊張しながらも登りきった。
すぐにマワットの滝に至る。
広々とした滝壺の滝で、居心地が良い。

右側から登っていくが、ヌメリがひどくなり、途中からポムリードでロープを出す。
だが、中途半端な崖でロープを出すことそのものが割と大変で、ハーケンはしっかり決まったものの、おそらくリードが落ちたら、支点的に2人とも滑落する展開で緊張した。ルートも先ほど同様に足中心の課題のため、足の現場力が非常に問われる。
赤谷川本谷はこれら、2つのマワットを滝近く進むと、上級よりの活動に近づく。
④ 圧倒的、巨岩帯

巨岩帯が始まる

圧倒的にカッコ良いところ (13m斜瀑部分)
ここの巨岩帯は先人の記録でも凄い、とだけは知っていたが本当に凄く、過去経験したことないほどの圧倒的巨岩が連続した。

巨岩の上に乗り込んだところ

トイ状滝、右岸に道が繋がる
上記のトイ状滝はポムロードが通され、4~5級沢のスラブ移動の常道的な感じかと思われるが、ここも動きに慣れず、どちらかというと強引に4点支持をつなげた。

振り返るポムロード

巨岩を縫うように


終盤、右から越える
両岩がくっついた面白い形状の滝
巨岩帯は体の動きも大きく疲れてきて、
脳が生存モードに走ったのか、正確な滝把握が終盤疎かになった。


さて、裏越のセンが近づいてきた…
⑤ 裏越のセン


前衛の段瀑も規模があり、1つ1つこなして滝に近づいていく。

到達した。
強烈な右岸壁の前にして、その奥に、美しい巨瀑が広い滝壺に落ちる。

これは個人的に大好きな滝であり、芯から感動した。

正面の大岸壁を仰ぐと青空

下流側を望む

超名瀑に名残惜しいが、先に進まなければならない。
右側から上段に向かって伸びている2ピッチのトラバース登攀ルートがある。


残置ハーケンがしっかりとある。(ここで後続2人組を視認)
ここは先のマワット周辺ような足捌きを求められず、一般的な沢登りの登攀範疇に収まっているが、2ピッチ目の終了点に至る直前のクライムダウンが少し嫌らしい。(久しぶりの中級沢登りが影響したか足が攣っていたので、終始フォローで続いた。大腿四頭筋のみならず、時に内転筋群にも攣りを感じた)

裏越のセンの上段

この真ん中部から下を眺める
この上段は登っているパーティもいるが、我々は左の灌木帯から巻いた。6~7分で上流に出れたように記憶している。
⑥ 深いところ

すぐ上の2段2条滝

全てを見下ろす
裏越のセンを完全に越えた場所は爽快そのもので、青空も相まってこの時間最高な雰囲気となっていた。

爽快な滝

右から越える

天国的なパート

6m滝 (おそらく左から越えた)
そうすると、ドウドウセンの前衛滝に至る。

この滝は7mだが非常に雰囲気がある一本で、流芯のすぐ右がステゴサウルスの背中のようになっているのが強烈。


多少高さが出て乗越のところで少し大胆なムーブもするが、個人的にはここは問題なかった。
⑦ DDS (ドウドウセン)
ドウドウセン最下部のG滝に到達した。

岩と岩の狭間をウネリを持って流れ続ける強いパワーを感じた。

足を投げ出してこの空間を感じる。
時に歩みを止めていた時期もあったが、真に奥深い、この場所に到達できてよかった。

左岸から小さく巻いていく。

ルンゼ状を登っていく

上部は高度感が出てくる
この高巻き中に後続2人組が再び現れるのを確認。

シモツケソウ (DDS 左岸)

オオカメノキ (DDS左岸)
灌木を経てG~F滝を登った時と同じ地点と思われる場所に至る。

F滝の上の部分

C滝?
ここからは巻きで高度を上げていくが時に歩きやすい踏み跡も形成されている。
上部にてA~B滝の前に降りれそうな箇所があったが、ロープ出すのが必要そうだったので、巻きを継続。上部にてチェンスパが必要なシーンがあったが、購入したLサイズチェンスパがモンベルのラバータビ(サイズ 25)には大きすぎて使えず、時にルートを工夫してなんとかした。
ゆるい河原に降りられて一安心。もう難所はない。

A滝の口無しの釜を見にいった。
⑧ 8m斜瀑と宿


近くに絶好のテンバはあったが時間が早すぎたのでもう少し進みたく、前に。


この斜瀑は(サイズの合った)チェンスパがないと左うえに斜上して抜けていくのが難しい。今回の活動では僕がロープを持っていたため、フリーで抜けられてもフリーで続かないと先に進めないという問題があった。
ここは極限まで右岸トラバースして、入水。
なかなか隅に這い上がれず苦しんだが、左奥側に突っ込んだ後は緩い傾斜を繋いでこの滝を突破した。
寝袋や枕、ダウンパンツのビシャ濡れは確実視された。


美しい渓相が続く中、15:00過ぎに本日の宿を決めて行動終了とした。
テンバでは主に整地を担当したが、石のどけ方とか基本が少し掴めた気がした。
持ってきてもらったタープが完璧に決まり、またビシャだった各種アイテムも寝るまでにはよくなって最高。飯もたんまり食べて眠りにつくことができた。
⑨ 2日目
朝、撤収中にガルダーヒッチについて学ぶ。

穏やかに始まる

2段の滝

滝壺

へつり決めた


気づけば200mゴルジュに突入している


確かにゴルジュではあるのだが、昨日のそれと比べると終始可愛く感じた。


そうして、ゴルジュも終わるとひたすら平和な感じで、ここで昨日も目にした2人組の1人目の方が前に。G登攀クラブに所属されているとのこと。この後2人目が現れるが、それがポムの知り合いのぶなの会の方だった。




美しい苔ナメ滝も続くが、実は2日目結露でミラーレス一眼が曇っていて使い物にならず、まさかのTGも一時的に曇っていて、撮影設定もミスりうまく景色を残せなかったのが残念。


4人組を右岸大地にて見送り、4人でこんな場所に??と思っていたら、後ほど先ほどの2人が混ざっており、この週末この場所に3パーティが集結していたことが判明する (1組は谷川本谷からコルを越えてこちらに)




どんどんと源流に近づいてくる。
最終的に右岸支流の緩いところを登った方が簡単にかつ早く脱渓できることが見えていたが、今回は4人とは分かれて、本流を直進した。


まだ滝がいくつか出てくる。


竹に覆われた謎エリアは雪渓のうえに竹が詰まっていた区間だった。


時に両岸を笹薮に覆われるエリアに至る。

ヘビイチゴ

たおやかで最高な景色



イワショウブ

最後の道だ
この辺り、休みなく続けたところ、結果的に4人とほとんど同じタイミングでオジカ沢ノ頭の避難小屋前に飛び出た。
⑩ 下山

オジカ沢ノ頭

風が気持ちよかった
谷川岳、トマの耳にも初めて寄って、頭頂を達成!
この後の下山ルートはポムが西黒尾根を選択するのに対し、僕は天神尾根からのロープウェイを選択した。(ロープウェイは上の天神平では現金のみの使用でクレジットカードが使えなかったが、下に降りてからの支払いでOKとなり、無事に乗れて安堵)

11:29 天神尾根を降る

12:07 天神平到着
ロープウェイの途中からは西黒沢の8m逆層のスラブ滝を視認(12:18)した。
その後チケットの支払いを終え、インフォメーションセンターには12:38に到着。

着替えや整理を全部終わらせ、爽快に三ツ矢サイダーを決めていた。ポムの到着までは29分間あったようだ。
川古温泉で車を回収し、猿ヶ京温泉の一角のラーメン屋にて600円ラーメンを食す。
舌バカになっていたのか、口コミほどではないと思ったが、24時間テレビのアクロバティック卓球には閉口絶句した。一度別れたのち、近くのファミマで再び調達中に会って、そこでお別れ。
帰りの高速では上里にて休憩、調達し練馬で降りて帰路に着いた。お疲れ様でした!
今回のジオ

特に写真真ん中の上の黒チャートが握り込みやすい形状で良い感じだ。
⑪ まとめ
2週連続の沢泊かつ、今回はグッと難易度が上がった赤谷川本谷。
ここは日本の谷風景の真髄の一本だったんだろうと思う。
マワットは巻くことで難易度は下がるものの、今回のようなルートで進むと4級に近いグレードになるものと思います。4級沢の経験が少ないのでひとまず4級下と位置付け。
今年は活動頻度は高いものの、歩行距離やシビアな場所でのメンタルなどは足りておらず、手がない場所の足捌きには大いに課題を感じた。
またこういう活動ができるように心技体を磨いていきたい。