訪問日 2025年6月7日
活動の形態:1級上沢登り / 車 / 4名
装備:フェルト足袋 / 8.0 mm × 30m + 8.0 mm × 20m
感動度:けっこう
所在地:神奈川県 相模原市 緑区 青根
① 久しぶりの神之川
今回は前週の水根沢で同行した葉っぱさんと、以前(2021年7月)南ア 早川支流の山吹沢(仮称)でも同行しているSKTさんの同行が決まり、合計4名でわいわいと開催が決まった。
神之川は2013年5月の伊勢沢以後は、2017年7月に下流部のエビラ沢遡行以来実に8年近く訪れておらず、土地勘が完全に消失。ナビで設定するときの山域すら混乱する始末だった。
立派なトイレがあるところから徒歩2分程度前の駐車スペースが拠点。

② 入渓まで
孫右衛門の滝が非常に立派で驚く。

曲ノ沢(わたのさわ)もそれなりの水量

桑の木沢の25m級の多段滝は近くで、檜皮沢支流の滝などを滝などを遠望出来た。
導かれるように沢沿いに近づいていき、支流の堰堤を渡って、対岸で下降。
広河原に降り立つ。

ここは広大な河川の河原の中で、ちょっと非日常な世界に来た感もあり嬉しいところ。

少し本流の河原を遡行し、岩水沢に入渓する。
③ 涼しい谷と蛇型の滝のぼり
早速小滝を登り、水を楽しんでゆく。




じきに8m蛇型の滝に至る。

基本的には簡単なのだが、落口を超える時に少しムーブを起こすので、そこがポイント。
もぐが積極的にリードを買って出たのは素晴らしかった。(途中でスイッチ)
滝上で横に倒れていた倒木を支点とした。



SKTさんはすぐ上の滝でもトライしていた。
④ 縞模様とクラック登り
この辺りは小滝が多く、癒されるところ。


縞模様がすごい、特徴的な岩。

縞模様を含んだ層状の岩が左岸に連なるナメ滝。

そうして岩間の格好良い10m滝に至る(9m+1m)

ここは滝としてはこの沢一番のポイントで記念写真を決めるなど楽しむ。

左岸のクラックからノーロープで越えていった。

⑤ 核心から左俣へ
そのすぐ上の上段(1m級)

すぐ上に5m滝がある。

左から巻くこともできそうだが、せっかくなのでリードして突破。

カムが取れる支点が見当たらないため、ハーケンで1枚とって、少し緊張する踏み込みがある。
※ 右手のホールドがスローパー気味でやや甘い

滝上ではビレイをし、ハンマーが1個だったため、その後回収に戻った。
その間、SKTさんがスラブ滝を突破し、女子の通過をロープで助けてくれている。

その少し上は再び2~3m級の小滝が連瀑となった場所を楽しんでいく


この辺りのどこかで僕はめちゃくちゃ眠気を催しており、3~4分睡眠して英気を養った。
二股に至る。
今回は左俣を選択し進んでいくと、取り付きが非常に悪い滝に至る。

ここで僕とSKTさんは左の泥からトラバースを決めて、鱗状に飛び出るガバを繋ぎながらこの滝を突破。(取り付きが悪く III +)

一方もぐと葉っぱさんは左側から悪めの巻きを決めてきていた。
⑥ スマホ騒ぎから脱渓まで
滝上でスマホを紛失していることに気づき、パーティに暗雲が立ち込めるも、巻き降りたら、この滝前の右岸にスマホが突き刺さっており早期発見。安堵して先に進んだ。
この後の3段9m級の滝も通過に問題ない


岩水沢の名前の由来となる 岩清水に至る。

水を口に含んだところ、なんとも言えない、違和感を感じたため、放出。
おそらく飲料にはあまり推奨できない気がする。
この先に三日月状の6m滝があり、ここはキラキラとしている

右岸に尾根につながりそうな地形を見つけたため、脱渓を開始。

そうするとここはほとんどが明瞭な尾根地形となっており(地形図状からはわからないほど)、

比較的苦労なく絵瀬尾根に辿り着くことができた。
⑦ Ese尾根にて
しばらくのんびりして、絵瀬尾根を下山していく。
芋虫との出会い

どうやら「ヒョウモンエダシャク」というチョウチョの幼虫のようだ。
僕はこの山行にて明らかに食料調達をミスっており、シャリバテ気味になり始めていた。
朝のお腹が空いていない感じ、難易度を鑑みた一人の時とパーティ全体の時の下山時刻のずれ、また3~4年活動の頻度が減っている間に、物価高によってコンビニの食料調達価格が大きく変わっており、1回1500円程度までなどの過去の金銭感覚の引きづりなど、さまざまな要素が複雑に絡み合っているというのは言い訳で、何度も似たようなことをやらかしている。
この尾根は途中までは普通なのだが、途中から地形図と実際の地形のずれが顕著になる。
GPSを頼りに尾根形を突き進むと必ず外れてしまう地点があり、尾根に戻り直すなど時間をくった。この点、もぐがyamareco、葉っぱさんがyamapの先人のこの尾根の足跡のGPSがあり、それがある種登山道的な役割をこの下山では果たした。
確かにシャリバテだったのか、判断力がやや落ちており、尾根筋を外れる箇所があって時に修正。

みなさんから余りの食料を分けてもらい、元気を取り戻す。
最終的には悪いトラバースの後、斜面を弧を描くように降りていき、伊勢沢の左岸出会付近に降り立つことができた!

干支が一周まわった12年ぶりの伊勢沢出合いは感慨深いものがあり、伊勢沢は僕にとっても初めて沢登りの本で滝を目指した記念すべき一本だった。

神之川本流では靴の汚れを落とし、最高の気分。
対岸に半分道があるので、それを辿って林道へ。行きに比べてだいぶ林道を戻ってきているのが救い。支流の滝は朝に比べて若干水量が減った感も感じたが、ギリギリ明るいうちに車へ帰還。

赤い箇所は明瞭に実際の尾根筋と地形図がずれていた。
⑧ その後
葉っぱさん提案で、焼肉を食べようとなって、相模湖インターの近くに、焼肉のいちばんさんを発見。
ここが店内が小綺麗だし、とにかくリーズナブルだしで最高の焼肉を決めた。
なお、今回の計画では参加した4名全員が分担して運転するという稀有な活動となったと思う。
そのような回は4名以上では記憶に残る限りない。
都心でそれぞれに降りてもらい、活動を終了させる。
⑨ まとめ
複数パーティでより確度の高い活動をする上では、先人の下山時のGPSを抑えておくことで、地形図が誤っていることを事前に確認できる。(未知のルートでは活用しにくく、地形図の誤りはかなり稀だが、時に重要な手順だと感じた)
食料問題もこの機に改善へ。またスマホを一回無くしたのもヒヤリハットもので、最近試しているGUのパーカーの胸ポケットの溝が少し浅く、割と油断すると放出されてしまうことがあるようで、確実に締める or 何かに繋げておくという対策が必要だろう。
今回もαがなかったが、そんな中でTGで風景はまとめられた。
神之川は豊かで、岩水沢は奥深い自然。少しクライミングも楽しめる。
何より新しく2名のメンバーが参加してくれ、我々の活動がより柔軟でしなやかさを持つ1日になったのが何よりも嬉しいことであった。今回同行した葉っぱさんの記録はこちら。
次の12年間をどう生きていくか、岩水沢での感覚を日々に活かしていきたい。