滝いろ|奥多摩 水根沢の滝 (2nd)

活動記録

訪問日 2025年5月31日

活動の形態:2級下沢登り / 車 × 3 / 10名

装備:フェルト足袋 / 8.0 mm × 20m × 2

感動度:けっこう

所在地:東京都 西多摩郡 奥多摩町 水根

※ ゴルジュストロングスタイル かつ悪天候のため難易度が少しupしている

① 空会

今回は空会の活動として、水根沢へ。

おおよそ8年10カ月 ぶりの水根沢再訪であり、僕自身の活動も長期にわたっていることを再認識する。

ちなみに、前回は初めての祝日として山の日が制定された年の2016年の山の日 8.11に単独で訪問している。当時は滝屋として、水根や小川谷廊下への訪問自体が稀であり、前月の中津川の衝撃から時間をかけて、また挑戦の意欲が湧いてきた頃だったと記憶している。

記憶はだいぶ薄れていたが、わいわいと訪問。(天気はbad)

② 2連の滝、上段

入渓してしばらく

顕著な2連滝に至って上段へ。

3m滝は過去写真を見返しても変わらない姿

泳がずにあえて、右岸に支点を決めてトラバースで接近後、滝の流芯へ登っていくスタイルを設定。

僕は奥の本体はロープのごぼうでささっと越え、後続のボディビレイを担当した。

ここは水圧も強いため、早めに対岸に足を張り、上げていく必要があるが、流されることも多く、その時の適切なリリースが重要であった。(基本張り気味だが、いざ落ちたらリリースし釜に落ちてもらう ※ボディビレイの場合はそうしないと自分も引きづり込まれる & 水圧激しい場所に留めてしまう)

③ 2条3m滝

かつて残置を掴んで超えた右側(左岸)は残置なしでも若草レベルで簡単に超えられたのは変化。

一方右岸は岩のマントル越えがかなり悪く、ここだけなら紫くらいある。

この滝の右岸側の移動にて、もぐが左手中指を負傷してしまった。

左手ガバが鋭利な部分があった可能性あり。

その場では絆創膏とHNDさんの指サックで応急処置を行う。

⑤ シャワーとへつり

1.5mCS (2条)は写真のルートではなくて、超えられる。

次の3m滝は過去は左側からあっさりと登ってた

今回は滝の裏に入ってそこから這い上がるルートにトライ、メンバーでは2名成功していたが、これはかなり難しい。滝裏に入ると空気が少なくなって呼吸が浅くなるし、水から出ようとする瞬間が非常に難しい。

反対側に手を出して足を張って越えたくなるが、シンプルに残置スリングを掴むことに集中すると良いようだ。僕も2回落ちたので断念した。

2m斜瀑 の横にはちょっとした層状の岩があり、これは水根沢ミルフィーユと命名。

横のスラブ登りがトレーニングになる。

トイ状4m滝では右岸ホールドのトラバース移動をトレーニング

この場は少し滝上も開けていて、全体的に集まれる場所でいい感じだった。

⑥ 崩壊地と豪雨

そして崩落が起きた2段8m滝に至る。

下部の4m滝は復活してきたようで、僕が訪れた2016年よりはだいぶ浅かったが、同じく突っ張りで通過可能。

振り返って…

上部は倒木が積み木のように複雑に折り重なっている

少し上に抜けると右岸のずり落ちた斜面がしっかりと視認できる。

過去の水根沢の記録や気象条件を確認するに、2023年6月の頭、梅雨前線が本州南岸に停滞し、台風第2号の接近・通過に伴い、前線が非常に活発化していた中、小河内で6.2 140mm、6.3 47.5mmの雨量が観測されていたが、おそらくは2023年6月2日(もしくはその直後)に崩落したものと思われる

18日の記録(kazuto2999さん)ではまだ緑の葉っぱがついた倒木が記録で確認できる。

滝上で少し食事休憩を行った

⑦ 豪雨の中

1ヶ月前の記録でシカの亡くなってすぐの亡骸の記録(オカピさん)を拝見したが、おそらくその場所で骨と一部の毛が確認できる箇所があり、ちょうど1ヶ月でこのくらいに変化する… という時間軸に関して少し学ぶことができた。腐敗感はゼロだった。

3m級のスライダーができる滝では、2~3名が豪快にslider(前回は滝認識していなかった)

時にスリップを体験するメンバーも

この辺りになると、かなり激しい雨が降ってくる。

2mナメ滝

滝のすぐ横のスラブ面はなかなか足場が細かいシーンだ

この辺りは前後で2~3滝認定が際どい滝もある

この時1時間の雨量が12mmに達していたようで、かなり激しい雨と濁る沢、そして時に雷鳴がなって沢は不気味な様相となっていた…

⑧ 半円の滝にて

半円の滝

この滝は過去は特に苦労せず、ブリッジも使用したのかもしれないが、サクッとのぼれてしまった記憶があり、むしろトイ状のゴルジュ滝が難しかった。

ただ、今回は水量が非常に多く、全体的にみんな苦戦をしていた…

圧倒的にかっこよく登る最年少メンバー

僕も確保ありながらも足の置き場に困る。

特に左足がなかなか動かせず、3分近くかかりながらも、ギリギリ抜けられた。

滝上ではENDさんよりプロテクションの講習会・レクチャーが実施

もう少しだけ進んで、巨大倒木が流れを少し堰き止めているすぐ上の右岸から脱渓。

前回とほとんど同じ沢の中のルートとはなったが、無事に登山道に出て、ちょっとだけエスケープ的な先人の道を通って奥多摩湖の水根駐車場に帰還。

この場に着くと次第に雨が上がっていき、着替え終わって移動が近づくと完全に晴れ上がって快適な感じとなっていく。

⑨ もえぎとなかい

リニューアルされたもえぎの湯では、この日の奥多摩の天候の悪さからか入浴客も少なくかなり快適なお風呂場となる。支払い自動マシーンが導入され、湯船などの内装が新しくなったようだ。露天風呂ではいい感じの時間が過ごせた。(過去の激混み & 汚れ…というネガティブなイメージが少し払拭)

その後、大丹波川沿いの 釜飯なかいに向かう。

山菜釜飯セットと、奥のテーブルではしもふり茸焼きをオーダー。非常に美味で深い味で、上品な時間となった。

奥多摩にもIT化の流れが押し寄せている。

  • 2019年11月:QRコード決済「PayPay」導入
  • 2021年7月:釜めしのテイクアウト受付を開始
  • 2022年10月末:InstagramとTwitterの公式アカウントを開設
  • 2023年4月:店内にセルフオーダー用タブレットと自動精算機導入

テレビとしては以下のような番組で取り上げられたようだ。

  • 2020.8.15 『出没!アド街ック天国』
  • 2022.5.7『ぶらぶらサタデー(タカトシ温水の路線バスで!)』

⑩ その後、まとめ

HND号で高井戸ICで降りた後、京王線の八幡山駅で下ろしていただき解散。

久しぶりの水根沢は前回と全く違うラインを登って行ったため、同じ場所ではあるがかなり違う体験となった。また一昨年の崩落による沢の変化や、今回の雨天や気温の低さという条件の違いもまた前回との大きな違いとなり、とても印象深かった。

最高気温が沢の中にいるときは14度で終始小雨以上が降っていたが、ドライレイヤーに、セパレートの3mmのウェットスーツを着て、一番上にはマムートのハードシェルを着たところ、基本的な寒さには対応できた。このアイテムでもう少し沢の選択肢やアクティビティ内容も変わってくるだろう。

先人の記録を参考にすると、水根沢は半円の滝前の右岸から合流する藤巻沢で2003年に大崩落が起きて釜が土砂で埋まってしまう現象が起きていたようだが、2012年の時点ではかなり復活したとの記述もあり、2016年に僕の初回訪問、2023年に大規模崩落と、ダイナミックに崩壊と再生を繰り返している歴史もうかがえる。

なかなかゴルジュ内の倒木は時間がかかりそうだが、また今よりも美しい姿に近づいていくのではないかと感じている。

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