訪問日 2025年4月27日
活動の形態:1級上沢登り / 車 / 2名
装備:沢靴(サワートレッカー[フェルト沢靴]) / 8.0 mm × 30m、7.9mm × 10m
感動度:けっこう~かなり (沢全体)
所在地:山梨県 北都留郡 小菅村 橋立
① 穏やかな大木の谷へ
もぐの関心もあり、小菅川本谷を目的地に選定。
2014年4月と2016年12月に雄滝を訪れているものの、通常の本谷遡行ルートでは雄滝の上から入渓するのが一般的であることを今回知った。
入渓までの左岸トラバースでは、道幅が細い。

早朝のもぐはビビり散らかしていたが、無事に入渓。
さらに1つ堰堤を越えると、空気が変わってくる。

確かな森。

クリスタルブルーの水

新緑が眩しい!

先人の遡行記録だけでは伝わってこないその谷の空気感。

巨樹が点在する懐深い谷が、広がっている。シオジの大木・・?


巨大な木々に圧倒される。

3.5m滝
② 沢を味わう
3.5m滝を越えた先、左岸から端正な滝が姿を現す。

トリゴヤ沢の滝 (6~7m)

ちょっとしたコーディネーションのトレーニング
釣り師に追いついたのは4m滝。

左から越えさせていただき、挨拶を交わす。
続く2段8m滝は右からの直登が厳しい。

左のボルダールートも難しそうだったため、ささっと巻くことにした。
9m滝

前衛小滝も含め、雰囲気がよい。

ロープを出して登攀。ナッツとカムでランナーを構築。
ハーケン支点にムンターで確保を取り、セルフにはナッツを使用した。

もぐにもネイリングから回収までの流れを実践してもらった。

すぐ前の5〜6m滝

スラブ面の傾斜がやや悪く、初心者には確保が必要な箇所だと感じた。
③ 技術と判断の中盤戦
時間が押し気味になっていたため、支流詰めも検討したが、確かな記録がある本谷を継続する方針に。
2段7m滝の下段は右から行こうとしたものの、あと一歩が非常に悪い。

巻きか?と一瞬躊躇したが、もぐが左にひょいと回ったら簡単に越えらることができた。
10m滝は雰囲気があり、良い存在感。

直登はせず、右側から登攀を開始。
もぐがリーチ的に厳しそうだったため、カム2本を使って確保を取ってもらい、僕がホールドを探しつつ登り切った。
④ カモシカ
この先、対岸に立つカモシカと目が合う。

こちらが移動しても、体を一切動かさず、頭と目線だけが我々を追ってくる。
しばらくして、のっそのっそと渓谷を横切り、静かに去っていった。
カモシカは好奇心旺盛な生き物のようで、じっと人間を観察することがあるようだ。
また春という季節は新芽を求めて活動範囲が広がりやすく、また我々も沢に出かけ、そして木々の生い茂りがまだ少ないため、視界が開けていて見つけやすい… という点から春は遭遇率が少しだけ高い可能性もあると考えている。
前回の遭遇
2017.5.31 黒桂河内 二の右俣大滝前にて
⑤ 上部ゴーロと脱渓
2.5m狭まった滝

2条3m滝

そして石橋状の地形を通過。

階段状の10m級の滝は雰囲気の良いところ

この先、左岸方面への脱渓を模索。
標高差100m超を登っていくと、ほどなく横切る山道と交差し無事に脱渓完了。

導かれるように東へ進み、小菅方面へ下っていった。
(フルコンバにて小菅方面へ分岐)
⑥ モノレールとデスベアーロード
下山は1507m付近で尾根に乗り、モノレール沿いを下降。

やがて、熊の痕跡が連続して現れた。
1ヶ所に2~3 FUN があるポイントが続き、緊張感が続く (後にもぐにより、デスベアーロードと命名された)
笛を鳴らしつつ下降。斜面が急な箇所はモノレールを掴んでクライムダウン。
それでも登山道よりもずっと速く、安全に降り切ることができた。

⑦ 再訪の雄滝
下山後、時間がまだ残っていたため装備を軽くし、車で雄滝へ。
森の豊かさ、巨樹の存在感を感じる。
カルメクボの滝の静謐さ

13分ほどで雄滝の姿が見えた。

記憶にあるよりも遥かに大きく、どっしりとした存在感。
記憶の変容か、河床の低下による雄滝の巨大化なのか、それとも目の前の光景の美しさか。とにかく夕方の雄滝の体験はほっこりなものとなった。
8年半前にも滝前に苔むした倒木があったが、今回の目の前の倒木はそれが完全に苔剥がれた姿なのかもしれない。
もちろん日向沢の滝も撮影。

完!!!

小菅の道の駅で作戦会議をし、村の中華屋に向かうも満席。
中央道の渋滞を避け、奥多摩湖から青梅経由で帰路へ。このルートは思った以上に過酷で、疲労が溜まりすぎて二俣尾駅のセブンで力尽き、カップ焼きそばとラーメンでエネルギーを補給した。
もぐに一部運転を任せ、立川を過ぎて再び高速に乗りスムーズに帰路についた。
⑧ まとめ
春の小菅は、豊かな自然があり、沢の技術を試す場であり、そして記憶や感情を静かに呼び覚ます場所だった。
ムーブを実践し、記憶と照らし合わせ、生き物と対話し、踏み出していく。
次にここを訪れるとき、また新しい顔を見せてくれるだろう。
