SUMMARY
気力を奮い立たせて向かった越後国では、日向が続き、沢が干上がっていた。
しかし、色々なものに目を向けることで、活動の意味を見出し、次に繋げることができた。
滝の記録
訪問日 2020年8月22日
活動の形態:1級上沢登り(4人) / 車
装備:8mm×30m (2本), 8mm20m(1本), ミラーレス一眼(広角), 三脚, 沢タビ(フェルト)
感動度:かなり(虹の滝)
所在地:新潟県 南魚沼市 清水瀬
① 出発と集合
週末は疲労も溜まっていたが、今回は思い切って新潟へ。東京駅でアンさんと合流し、浦佐で下車。前日から入っていたはんぺんさん・あっきーさんと合流する。前日入りしていたお二人は守門岳近くで猛烈なアブに襲われ、相当苦労したという。
② 準備と計画変更
前泊地は「さくり親水公園」。芝生にテントを張り、心地よい夜を過ごした。ただし、諸事情により日向沢の後に予定していた下降計画は中止とした。
余滴
移動中はボルダリング漫画「壁ドン!」を読み進めたが、展開が急すぎて頭が追いつかない。主人公が日本代表に選ばれ、物語は5巻で唐突に終わってしまった。4〜5級で苦戦している自分にとっては、どこかモヤモヤするものだった。
③ 黒又沢をゆく
起床
小雨が降ったりしながら、コンビニで補充。
十字峡に向かう。
駐車場に停めて、目の前の登山道を5m上がったところから、黒又沢にトラバース道がある。
やや藪がかぶった箇所があるが、道の終わりがそのまま河原。
アブが多少いて、4名に分散する。
僕は防虫ネットをかぶった。

黒又川の河原は綺麗で磨かれた石の宝庫で、採集が大変楽しめる。

数度の渡渉を経て、日向沢の出会い。
④ 渇水
全くもってガレている。

ガレをこなしていく途中、細すぎる水線は戻ってこない。
最初の滝が現れたが、水が少なすぎて転進したくなってしまう。

しかし、この流域の全沢が、ここより難易度が高く、既に50分は歩いているので厳しい。
初っ端から現頭部のような水量に、膝から崩れ落ちそうになるも、遡行スタート。

振り返る

ちょっとしたV字

CS滝

この出会いのガレ・崩落について、いつからか過去の記録を照合すると、2013.7.28時点のみちくさブログでは特に言及なし。2013.10.17 トマの風にて出合はゴーロ状で美しさなしの記述、2014.9.14 岳樺アルパインクラブにて同じく出会のガレ、2015.8.23常吉の酔いどれ日記には巨大な崩落帯の記載があり、2013年夏〜2015年夏のあいだに地形変化が進行したと考えられる。
※ その間の雨量を日付ベースで確認したが、2013.8.1の中越豪雨(十日町 87.5mm)と2013.9.16の台風18号による大雨(十日町 117.5mm 江戸はその日庵座の滝で増水体感)が雨量としては大きく、その際に崩れて訪問者によって崩壊への感じ方が異なったことから表現が違う、もしくは2015年に些細な雨で崩落したかの2択かなというところ。
⑤ 屈曲部の滝
2段15mの滝

既にここがハイライトになる可能性すら感じ、撮影。

水がこの5倍くらいあれば・・・
ロープを出して登ります。
2往復のビレイ合図方式の確認。
2名ではない中間者がいるときに、アンカードビレイをどのタイミングで構築するかについて、はんぺんさんと認識をすり合わすことができた。
やはり、最初がいいと思う。
⑥ ラバー論
この後、特に問題となる箇所はなく、越後の初級沢登は続く。

今回は、モンベルさんの、ラバーサンダルをカモシカの沢タビに装着してみたが、
右足はめちゃめちゃ横にずれて、左足はかかと側にずれてしまった。
途中から右足は外して、ミックス体制に移行する。

ぬめる沢なのでフェルトがおすすめ。
フェルトとラバー靴は、性質の違いから、歩き方そのものを変える必要がある。
岩の頂点を踏んで歩くような方法は、フェルトでは普通に行うが、ラバー靴では厳禁。僕はそれで阿武隈川白水谷で左肋骨にヒビを入れた。
(ということを、パンダさんに教えて頂いた)

しかし、一旦フェルト的な歩き方に慣れると、どうしてもそれを頭では分かっていても、沢登りではどうしても「無意識で歩く時間」が生まれる。
その無意識で歩いている、難所とは程遠い時間の瞬間に、岩の頂点に乗ってしまいスコーンと滑る
それを避けるのは、困難なんじゃないだろうか。
事実今回も、一回スコーンと滑ったが、阿武隈川ほど致命的な滑りではないので、怪我はしなかった。
上記はフェルト派からラバーに挑戦するときの、絶望的課題だと思う。
これの克服には、フェルトで遡行中も、「無意識では岩の頂点に足を乗せない」レベルにまで、自分を矯正しないと厳しいような気がする。
ただ、足そのものが強くなるのは、フェルトだと思う。
⑦ 大滝とシステム
大滝

パカーんと開けていて、なかなか面白い空間であったが、水が少なすぎて、滝壺にも淀みがあった。。

スローシャッターを用い、滝にも接近したりして、少しでも印象をよくなるように操作。

この滝をUPしたら、「むしろフォロワーが減る」とまで、酷評された渇水。(もちろん冗談)
皆さんの貴重な時間に対して、申し訳ない気持ちでいっぱい。
【カリガネソウとマルハナバチ】

お花とハチの組み合わせが良かった。
さて、左から登るも30mでは怪しいので、8m弱登ったテラスでピッチを切り、全員集合。
このような場合に全員がセルフを取るためには、長いスリングがあった方が良いが、それ(240)は上で使用したかったので、ここは60cmを使用。
中間のテラス用に、180あたりを買おうと決意。
ここから登り、真ん中よりやや上でハーケン支点を確保。
滝を登り切る手前あたりで、ロープがいっぱいになってしまった。
良い支点が取りづらい場所。
灌木を4~5本束にしたのを2束。

そしてハーケン1枚と計3カ所から支点を取って、構築するのに10分ちょいかかってしまって、時間をかけすぎてしまう。

今回は、滝の撮影的な良さはないので、トレーニングとしていろいろやってみるのに、絶好の機会。しっかりと練習できました。
⑧ TSUMEトレ
この後はひたすらの登り。

特にめちゃんこ滑りやすくなる。

先週からボルダリングを再開したのもあって、小滝を越えるムーブには余力を感じた。

日向山は遠い。

右俣に入る。

稜線まで谷状に詰めると相当な標高差があるが、ここは途中からトラバースを開始。
根曲りのブナ!!!

最後に40m弱登ることで、登山道に這い上がることができた。
⑨ 下山と負傷
登山道は極めて歩きやすい。途中一部の鎖場は急。
途中見たすごいスラブ(日向沢の右岸スラブ※通称「蛇ノ沢スラブ」と呼ばれているようだ)

後ろのはんぺんさんと、アンさんが、全然やってこないので、一体何が?!と思っていたら、
はんぺんさんが、半月板を痛めた足に痛みが再発してしまっていた。
そのため、3名で荷物を分けて、負担を楽にしていただく。

歩きやすい道だったので、予定よりもかなり早く下山することができた。
ログ

⑩ 取り返す
この後、看板に書いてある虹の滝を目指す。
あっきーさんは越後沢右俣大滝の道中で既に見ているとのことで、残り三名で訪瀑する。
2条4m滝

この2条4m滝自体が、日向沢の全滝を超越している。
本日の渇水具合から最悪の事態も想定したが、潜流瀑なのでしっかりと流れていた。

少し撮った後、河原に接近すると、あまりの場の良さに驚嘆する。

・今日はここに来る予定だったんだよね?
・あれは前座だったね!

と、日向沢とのギャップが凄すぎて言いたい放題。
ポートレート

萌気園さくり温泉 健康館で風呂。
⑪ 風呂→ラーメン→帰路
はんぺんさんの膝は、今後は減量や下半身強化などの対策が必要そうだ。
下山後は六日町インター近くのラーメン屋「無尽蔵」で腹を満たし、荻窪方面へ帰路についた。
終電には余裕で間に合ったものの、スーツ忘れや乗り換えミスなど小さなトラブルが重なり、最後はキャリーを引きながら自宅まで歩く羽目に。
それでも、充実した一日の余韻を抱えつつの幕引きとなった。
観察メモ(地質・暫定)

三国川の石は非常に良いものが採れた。
特に蛇紋岩と思しきものと、凝灰岩は美しすぎる。
バラエティもあり、素晴らしきジオフィールド!