訪問日:2025年11月1日
活動の形態:中級滝めぐり+α / Car share / 単独
装備:フェルト足袋 (caravan)
感動度:限りなく (一条の滝)
所在地:新潟県 糸魚川市 小滝 → 根小屋 → 島道
① 糸魚川へ
新潟県は広く、3つに分かれるエリアのうち、
僕が訪れていたのは7割ほど中越地域、28%が下越地域、という感じで、
3つの市からなる上越地域には、妙高の百選滝(苗名滝+惣滝)周辺の訪問しかなかった。
訪れたい気持ちが沸々とあり、今回その機会を得た。
② 出動まで
前日に駅前の宿で休む。
(暗闇の駅前踏切がやけに印象に残った)
朝の7:00からレンタカー屋でバンを借りる。
この日は夜中雨が降っていて、
天気的にもこのぐらいで雨が弱まってたので、
スタート時刻としては辻褄も合っていた。
いくつかこなすべきミッションを経て、小滝川・ヒスイ峡エリアに車を進めた。
途中、紅葉含めたとてつもない絶景が現れて、車を停めて感じいる。

非常にわかりづらいが、実は写真中央左にわずかな滝があり、
これは雨後限定のものかもしれない。

左側の大岩壁は明星山で、あまりの荒々しさと立派な感じに驚いてしまった。
(いくつかの登山道で山頂に向かうこともできる)
僕は今回小滝川支流のマツオ沢の沢登りを企画していたので、発電所先の広い駐車スペースで入渓準備を進めた。
③ ハーネス忘れと小滝川
ここで、ハーネス忘れに気づく。
ハーネス忘れは過去に記憶がなく、マツオ沢は1パーティの撤退記録のみだったため、暗雲が立ち込める。
30mロープはあったので、全体的な脱出可能性を常に考慮する前提で、足を先に進めた。

この写真の真ん中より少し右がマツオ沢の切れ込み。

マツオ沢を対岸にみる

増水の小滝川本流
ここは小滝川を渡渉しないといけないのだが、渡渉点に弱点がなく、流水速度も非常に速く、重い。
上流に、下流に場所を探したが、安全な渡渉点はなく、上流側から泳いで流されながらなら、いけそうな感じ。
ただ、もともとハーネス忘れもしていて、ここで無理に泳ぎ限界渡渉をするような状況ではないと判断。マツオ沢は撤退となった。(出合の急傾瀑は上部に遠望でも直瀑につながっているところまで見れる)
周囲の自然を観察すると美しい実がぽつぽつと落ちていた。

なんとも言えぬ美しさ

野生のノブドウ
マツオ沢出合ではノブドウが見れてよかった。
④ サカサ沢の探索
すぐに敗退してしまったので、林道先のヨシオ滝かともよぎるも、先人の捉えたヨシオ滝の姿がどうもあまりしっくりこないことから、今回は戻ってゴルジュ地形があるサカサ沢を選定。
車に戻らず進んだが、サカサ沢の近くにも駐車スペースがあったので、ここは車で移動すればよかったと、後々反省。

本流対岸の岩

サカサ沢の流れ (9:42)
サカサ沢は入り口が並行して明星山登山道の小滝起点ルートになっているため、橋があり、このような増水でも接近できる。

森の中で始まる

大きな白チャート

これは蛇紋岩か?

森の中の風景
この沢はジオ的には見どころがすごくあり、地形面白いのだが、いかんせんのゴルジュ地形が全くゴルジュではなく、狭くごちゃごちゃとしていて、なんとも言えない時間が続く。

4mの急傾瀑

層状、緑色岩
途中、軽めのひっつき虫も出てきて、さらにテンションが下がっていく。
ただ、明星山のすぐ西から流れ出る沢なので、時折視界が開けると絶景viewが見える


これも緑色岩で、ニセヒスイ

2条インゼル5m滝 (10:49)
この2条滝がなければ、散策的にもかなり辛いものだったが、少しだけ開けた場の中で光もさして、心が晴れた瞬間だった。

インゼル左側の4m滝

これも蛇紋岩か?

これはヒスイかも?と思えたが…

ミニテーブル状
沢の中で標高は450mまで上がってきた。傾斜が強めだった下部を越えて、上部の景色はあまり期待できないだろう。登山道に向けて、脱渓トラバースを始めた。

脱渓直後の絶景…

サワフタギ

先週と連続のムラサキシキブか?
登山道(標高500m付近)に合流。

11:30
ここからは20分弱登山道を下ることで、出合まで戻り、橋を渡って車に戻り着いた。

なお、土倉沢出合には20m級の段瀑がある (が、増水で接近できず)
サカサ上部は、「まさかのあたり風景」がある可能性もゼロではないので、気になる方は探索されてみてください。
⑤ 今井不動滝
さて、午前中にサカサ沢が終わってしまったので、まだ余裕がある。
この地域の名瀑としてみておきたかった、今井不動滝へGo。
小滝エリアの南から向かったが、意外と道が長く、キャンプ場の駐車場を越えて、到達。この日この時間帯は一人だけの訪問だった。
まずは左の糸滝のデカさに驚き、そして右にもう一つある豪快な不動滝に圧倒される。
まずは糸滝 (50m)へ。

公園には巨樹が多くあり、滝前の雰囲気を整えている。

不動滝は思い返せば2段65mくらいだったかな〜と思って調べたら3段70mとのこと。
接近は基本的に下段のみだが、公園からの平坦かつ穏やかな場が全国の観光滝の中でも特に秀でている。かつ滝が凄い。

人の大きさと比べる

ダルメシアンのような白・紫マダラの小石多め
この石の紫っぽい部分はどうやらマンガン系の鉱物由来のようだ。

高速シャッターでも

公園には鳥居もある
マツオ沢にそのまま行っていたら、時間的にも寄れなかった可能性があり、トレードオフだったかもしれない。
⑥ 滝ノ内沢をゆく
まだ時間があったので、糸魚川の中でも東側の「能生(のう)」地域へ、高速で一つ隣のインターを目指す。滝人の源で予習してはいたのだが、残念ながらGPSを入れる前に電波がなくなってしまい、不十分なnavi状況でのトライとなった。
一部右の岩場から巻いたりしながら、堰堤が見えて、これは滝ノ内沢で間違いないと安堵。
とはいえ、3連堰堤を左側から早めに薪に入り過ぎたら、繁茂した植物の通過にかなり苦しみ、ここはギリギリまで水線をいくことをおすすめしたい。

堰堤を越えると大岩壁が見える。
穏やかな渓流の中で、滝までの距離を詰めていく。

ベトっとした岩場

2.5m滝

左岸の三日月状の滝を上流側から

ゴルジュ始まる

3m斜瀑

滝前の右岸の岩場
⑦ 一条の滝
堰堤前の草の塊に苦戦したものの、なんとか到達。

あまりの岩盤の凄さに圧倒される。

横倒しの柱状節理がこれでもかと迫ってくる。

紅葉も合わさって感じられたこの日、水量はやはり多かったようで、この水量だと滝の登攀もかなり大変そうだ。(この沢は6級沢登りに相当)

右岸には一本支からも流れが合流していた。
滝ノ内沢にはいつか目標を持っていれば、上部に行く機会もあるかもしれない。それでもこれだけ圧倒的な地形をまざまざと見せつけられると、やはり人間の小ささ、そして自分は(当然ではあるが)全ての滝に行くことはできない。その状態で死ぬ、だけれども、何か次の世代に伝えられることもまたあるのだろう、みたいな時空を超えた感覚を味わった。
何よりもこの滝は圧倒的によかった。(滝の右岸側は水飛沫少なく耐えられる)
改めて、訪れたい滝だと感じます。
⑧ 下山と帰路へ
ささささっとゴルジュを抜けて、平坦な部分も通り過ぎ、堰堤の下に。
そうすると、この沢にも今、ノブドウが咲いていて、ピーマン・瓜みたいな立派な身をつける植物も発見。

滝ノ内沢のノブドウ

オオウバユリ

清津の大栃沢の下山時にもみたコンペイトウグサ

3連の堰堤は帰りに捉えた
無事車に帰着。 地形図ログがlocalに読み込めてなかったが、繋げて戻って来れた。

いい感じの温泉があれば寄りたかったが、今回は見当たらず、また17:45ごろまでにレンタを返すと、駅までの無料送迎もいただけるとのことで、早期戻りを優先。
返却間に合って、駅まで送り届けていただいた。タイミングよく新幹線の時間もあったので、20:00過ぎには東京に帰着。糸魚川の旅を完結させることができた。
⑨ まとめ
様々な要素が絡み合って、当初企画してたマツオ沢の解明は全くならなかったものの、明星山の絶景紅葉風景や、小滝川周辺のジオと小滝、今井不動滝の安定、能生 滝ノ内沢の圧倒的な滝との出合…
あらかじめリサーチをしておいたからこそ、計画が崩れた際の動きも明瞭で、良い形にまとめられたように思います。
滝を通じて地域を知る。
身体感覚を信じて、今行くべき滝にアンテナを立てていきたいと感じます。
