阿武隈川 南沢の滝
阿武隈川 南沢大滝(2段30m)【福島県 西白河郡 西郷村 小田倉】
滝の記録
訪問日 2017年10月28日
活動の形態:2級沢登り (2人) / レンタ
装備:8mm30m, 沢タビ
感動度:けっこう
①迫る台風22号
台風の接近に伴いベストと思われる
首都圏近郊の場所は、新潟か福島。
今回は2年4ヶ月ぶりに
阿武隈川の源流地域に足を進めた。
前回は本谷の奥にある、
立派な滝々をめぐった。
同じ駐車スペースには、
今回も車はなく、懐かしさを感じる。
本谷の川底が見えてきてしまったので、
少し戻って道を探したら、右に伸びていて
そこを河原まで降りると、
一里滝沢、さらに南沢が見える。
とにかく本谷は、水量が多いと感じる。
②最初の滝
南沢に入って程なくで滝の姿が見えた。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Abukuma_Minami_F1_A.jpg)
これがF1。
写真で見ていたよりも圧倒的に多い水量。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Abukuma_Minami_F1_B.jpg)
左側から水流を右に
横切って越えて行くらしい。。。
少し登ってみたが、
トラバースの傾斜が結構急で、
水流に隠れてスタンスは見えない。
水流左の壁は、
角度が急すぎて危険と判断。
この滝を高巻くような、
クライミング力へっぽこパーティの記録は
見てなかったけれど、僕らは畑が違う。
限界ギリギリのザレ場を登り続ければ、
木が生えたエリアに到達。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Abukuma_Minami_F1_maki.jpg)
ここからは、
滝に近づくようにトラバースを開始。
結構な急斜面だったので、
30mロープを2~3回ピッチを切る。
最後は懸垂下降で沢床へ。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Abukuma_Minami_F1_D.jpg)
今回の活動にて相方は、
エイト環も安全環付きカラビナを忘れていた。
1個環ビナを貸して、
ムンターヒッチを覚えてもらう。
③F2をいかに
その先で珍しい岩石を発見。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Abukuma_Minami_Karichoseki.jpg)
この肌色?ピンクが混ざった岩石であるが、
帰宅後調べて見たら、どうやらこれは、
アルカリ長石で、全体的には花崗岩系。
ということは深成岩だが、
この辺りの深成岩は、
70万~170万年前のものとのことで、
60万年前に噴火を開始した、
那須火山群のものではないので、
不思議だなと思っていたら、
今は火山の寿命を終えて、
もうなくなってしまった、
「塔のへつりカルデラ群」
が生み出したものであることに行き着く。
しばらく進んでいけば、
「悪め」と噂を聞いていた、
F2 Y字状7Mが目の前に。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Abukuma_Minami_F2_A.jpg)
少し休憩し、あーだこーだ言っていたら、
Kくんは水流右の残置スリングまで、
下から直上して掴んでしまう。
その場所へ30Mザイルを投げたのだが、
意図が伝わらず、
30mザイルを残置スリングに結びつけ、
自身ににはつけずに、
そのまま直上しきってしまった。。。
お?い、お茶!
とりあえず残置スリング点まで直上して、
そこでスリングに自己確保。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Abukuma_Minami_F2_D.jpg)
降ろしてもらったお助け紐に
30Mを連結してロープを上げてもらう。
ザイルは水流をゆさゆさしながら
左から流れてきている。
そろそろ頃合いだろうと、
一歩ずつ直上して登ることができた。
しかし確保はまだ
されてない状態でした。。。
綿密な打ち合わせが、
必要だと痛感した1登でした。
④F3とF4
2段13mの滝!
![](../wp-content/uploads/2023/10/Abukuma_Minami_2dan13m_A.jpg)
紅葉が左上に見えて、いい感じの滝風景。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Abukuma_Minami_2dan13m_B.jpg)
上段の左側は赤茶けて、
ツルツルに削れているのがいい感じです。
この滝は左岸高巻き。
明瞭な踏み跡がありました。
落ち口からみる美しい滝下の眺め。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Abukuma_Minami_2dan13m_D.jpg)
そして続くが6m滝。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Abukuma_Minami_F4_A.jpg)
「登れるな!」
と断言するKの言葉を信じ、
フリーで取り付いてきました。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Abukuma_Minami_F4_B.jpg)
残置ハーケンに、
何本かスリングがかかっていて、
それを一切迷わずに掴む。
ハーケン自体もスタンスにしながらも、
上部はホールドが少なくて恐怖。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Abukuma_Minami_F4_D.jpg)
ここは気力だけで抜けきりました。
そしてすぐにザイルを準備し始めて、
下に投げたら、テンションがかかって、
Kもザイルを掴みながら登ってきた。
顔面蒼白の彼が言うに、
残置ハーケンが抜けたとのこと。。。
「ハーケンを横方向に引っ張ってしまい、
それで抜けて、危うく滑落するところだった」
(僕はそのハーケンなしでは多分登れず)
「なんとかバランスを立て直したその時に、
ザイルが降ってきて、掴んで直登した」
とのことだった。
ハーケンが抜けても滑落しないのは
やはり天才だなと思ったが、
さすがにショックを受けた模様。
慎重に先に進みます。
⑤大滝へ
そしたら小ゴルジュが現れて、
僕は腰まで浸かりながら突破。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Abukuma_Minami_gorge2m_A.jpg)
![](../wp-content/uploads/2023/10/Abukuma_Minami_2dan6m_A.jpg)
その先の2段6m滝は左から登るが、
スタンスが細かい!
わずかな距離だったが、
地味に恐怖の斜め登り。
12m 弓型階段状の滝
![](../wp-content/uploads/2023/10/Abukuma_Minami_12myumi_A.jpg)
12mの弓型の滝は階段状になっていて、
左岸から一歩ずつ登っていける。(III-)
![](../wp-content/uploads/2023/10/Abukuma_Minami_12myumi_D.jpg)
大常木谷の五間の滝に
少し似ていました。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Abukuma_Minami_12myumi_E.jpg)
真ん中の岩で別れ、
右側だけ水量の多い5m滝(III)
![](../wp-content/uploads/2023/10/Abukuma_Minami_5m2_A.jpg)
普段はおそらく左は流れてません。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Abukuma_Minami_5m2_B.jpg)
右に進むと2段7m滝があって、
これは普通に越えられます。
さらなる二俣を右に進むと
両岸が狭くなって、前衛滝と大滝!
![](../wp-content/uploads/2023/10/Abukuma_Minami_Otaki_A.jpg)
(写真には前衛滝は写っておらず)
⑥巻く
なかなか迫力がありましたが、
滝前にスペースがなくてしぶきが冷たい。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Abukuma_Minami_Otaki_B.jpg)
ここでのご飯休憩はあり得ず、
突破を開始します。
大滝は下段のザレ場を登った後、
滝側にトラバースして、
上段を直登する人が多いようですが、
このトラバース部分が
どう考えても危険に見えました。
一度決死の覚悟で渡りきってしまえば、
もう戻ってこれないような雰囲気があります。
僕はこの傾斜の高巻きは経験があったので、
高巻きを選択。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Abukuma_Minami_Otaki_D.jpg)
厳しめのザレ場で落石の危険性も高い。
しっかりした木まで到達してから、
ザイルを垂らして、登ってきてもらう。
さらに根っこを伝いながらの
斜面直上を続けたら、
緩い尾根に到達することができた。
問題はこの尾根が大滝上に、
簡単に続いていない可能性があることだったが、
尾根を進めば、
ドンピシャで大滝の上の右岸であった。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Abukuma_Minami_Otaki_ue.jpg)
ここも念のためザイルを出し、
斜め懸垂をして沢床へ。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Abukuma_Minami_Otaki_G.jpg)
⑦登山道へ
あとはこの先にもう一本、
クライミングが必要そうな滝の記載が。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Abukuma_Minami_6m_A.jpg)
6m滝。
これは容易に
右岸から巻くことが可能。
この先は最後、
右と左に沢が分かれるが、
レポでは右は最後スラブ壁に突入し、
少し面倒そうなことが書いてあった。
さらに水量も右が少なく、
滝も大した水量ではなさそうだったので左へ。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Abukuma_Minami_2matahidari.jpg)
これは凝灰角礫岩??
![](../wp-content/uploads/2023/10/Abukuma_Minami_Gyokaikakureki.jpg)
3mのナメ滝。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Abukuma_Minami_3mname.jpg)
水が枯れてしばらくのところで、
右側の尾根に乗りましたが、
これがちょっと早すぎました。
さらに詰めで
最後はかなり急な尾根へと変貌し、
藪漕ぎを強いられます。
結局沢を離れてから
30分弱はかかってようやく登山道に。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Abukuma_Minami_tozando.jpg)
アカミノイヌツゲ?
![](../wp-content/uploads/2023/10/Nasu_Akaminoinutsuge.jpg)
⑧下山
甲子山にて昼食。
前日夜にファミマで購入したおむすびは、
午前四時に賞味期限を迎えていて、
硬くて全滅でした。
下山路は歩きやすく、
距離もかなり短めです。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Abukuma_Minami_Gezan_A.jpg)
綺麗な紅葉
![](../wp-content/uploads/2023/10/Abukuma_Minami_Gezan_aka.jpg)
降りていって、建物も見えても
大黒屋への道は左だったのでそちらへ
すると「衣紋滝」
という滝への案内があって、
気になりましたが、所要時間を調べたら
大黒屋から片道30分とのこと。
なんか、違和感も感じたので、
今回はパス。
さらに戻ったら、
「白水滝」分岐があり、
これはあっさりと訪爆。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Abukuma_Shiramizu_A.jpg)
なかなかな地形ですが、
すぐ上に堰堤がある景観です。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Abukuma_Shiramizu_C.jpg)
このすぐ下流で、
二つの堰堤の形で阿武隈川本谷と、
白水滝のかかる沢がぶつかります。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Abukuma_Shiramizu_deai.jpg)
白水滝の沢は、
そのまま「白水沢」といって、
衣紋滝も白水沢の沢登りルートで
普通に見れることを後で知ります。
しばらくで大黒屋に到達!
2年前日帰り入浴に来ました。
車道を登ったら降りる坂道につきます。
活動終わりのストレッチを、
初めてマットの上でやりたかったですが、
ちょうど台風に追いつかれたか
雨が降ってきてできずに終わりました。
コースタイム
7:02 車発
7:27 F1
8:32 F1を巻き終わる
8:51 F2
9:14 F2を越える
9:25 F3(2段13m滝)
9:39 F4(6m滝)
9:54 小ゴルジュ
10:07 弓状
10:30 大滝真下
11:05 大滝落ち口
11:21 3mナメ
12:08 登山道に出る(すぐ甲子山)
12:53 下山開始
14:04 白水滝
14:09 大黒屋
14:20頃 車着
⑨甲子温泉
日帰り温泉時刻は3時までで、
2時30分までには温泉入口へ。
前回の内風呂(恵比須の湯)が
最高で、それを期待してたら、
なんと13~16時は内風呂が
清掃中では入れないとのこと。
(確かに前回は午前中で、
本谷を引き返して帰って来ていた)
温泉館内にしては割と歩いて、
さらには川にかかる橋まで渡ったら、
体を洗えない混浴の大岩風呂が待っていた。
なんでも150年の歴史があるそう。
かなり深いと思ったら最大水深は1.2m。
体をがっつり洗えないのは、
痛恨でしたが、天井も高く、
不思議な空間でした。
⑩まとめ
今回相棒の忘れ物は多く、
運転に必要なメガネもないとのことで、
行き帰り全運転となり、多少ハードでした。
水量が多かったことでF1は巻かざるを得ず、
若干グレードが上がった気がして、
登攀も初級者には時に厳しいです。
遡行だけなら、
中奥川 戸倉谷と同じくらいの
困難さを感じました(2級上)。
しかし、下山が楽チンであることから、
総合的なグレードは下がり、
また通常の水量であれば、
もう少し下がりで2級下レベルのようです。
クライミングに関しては、
今回を経てようやく真剣に学び始めました。