川苔谷逆川の滝
川苔谷逆川の滝群—【東京都 西多摩郡 奥多摩町 氷川】—
コメント
奥多摩の5大人気沢
の1本には入ってくるはずの、
川苔谷支流、逆(さかさ)がわ。
ここは実力不足の者が、まして
寝不足の状態でやってきてはいけない、
気づいた時には死の間際まで追い込まれている、
そんな険しさを秘めていました。
川乗橋バス停↓↓
滝の記録
訪問日 2016年5月22日
活動の形態:沢登り(単独→2名)/電車+バス
装備:沢タビ, 8mm20m×1
感動度(10m大滝):まあまあ~けっこう
①聖滝
当日奥多摩駅から出る、
一番早いバスに乗って、
川乗橋まで向かう。
ここは百尋の滝の起点で、
日原の奥地に行く時には
バスや車で通過してきたが、
今回は5年ぶりにここにて下車。
林道は通常車両通行禁止なので
歩いていかななければならない。
まずは川苔谷本谷の聖滝を目指す。
しかし、この聖滝の、
下降地点の目印がわからず、
通りすぎて竜王橋まで行ってしまう。
引き返してもわからず、
逆川下降路で降りて、聖滝上場を探訪。
結局林道まで急登、
下降地点わからずさらに引き返して、
谷沿いに踏み跡を辿って、
到達することになりました。
朝の薄暗いゴルジュの中に落ちる、
特徴的な一本。
迷いすぎて聖滝までで、
1時間以上かかってしまう痛いミスでした。
急斜面を登ったら残置ロープがあり、
結局それは林道にあった大岩の裏まで
伸びていました。
林道に出ずに裏に回ると二条の滝が。
このあと進んでいくと、
お助け紐を出さざるを得ない地点があって、
そこを突破してしばらくの地点で
谷へおります。
ここで入渓準備をしました。
②カラオケ泊論
実は前日、去年の鷹の巣谷につづいて、
2度目の前日カラオケ泊を敢行しました。
とはいっても、今回は
基本的に寝る気まんまんで望んだんですが、、
結論:カラオケ店で安眠は不可能!
でした。
なんだかんだ、
自室の音源をゼロにして、
横になっていても
地鳴りのような音響が
ごうごうと鳴り響いてきて
実質1時間程度の浅い睡眠。
そのつけが、ここで現れます。
③こむらがえる
腰まで浸かるようななんでもない淵が現れ、
そこをただ進んでいる最中、
左足ふくらはぎが完全につってしまい悶絶。
2分強水の中から動き出せず、
出ても5分間は悶えていました。
もう一度、左足がつったら撤退、
そう言い聞かせて先へ。
すると2段10mの大きな滝が目の前に。
下段はあまり記憶になく、
気づいたら上段の前でした。
見た感じは悪絶でした。
しかし、東京起点120の、
登攀グレードがIIIになっていたこともあり、
2~3mだけでもと、とりついてみました。
右から取り付くと、ルートがあり、
登れそう、、どうするかと思っていたら、
後続で後ろから一人の方が現れました。
それもあって、
進んでみたら地上5m地点ぐらいまで到達。
しかしこのあたりで先ほどつったのとは逆の、
右足が半分つりました。
またやってしまった。。。
このルートは登れても、
引き返すことができない。
④臨界線
立ってるのがやっとの
ぎりぎりスペースで
支点工作をできるような余裕もなく、
後続の方の「トラバース!トラバース!」
という声に従って落ち口に近づいていくも
もう一歩足を動かしたら
いつ完全につってしまうかわからない
超恐怖との格闘。
さらにトラバースを終了すると、
ルートは消え、なんということか、
落ち口の緩いめちゃくちゃ滑りそうな
地上6~7mのナメを
たいした手がかりもなしに登って行くのが
右壁唯一のルートだそうです。
「高度感だけだ!難しくない!大丈夫!!」
ありがたい応援をたくさんいただくも、
この時の僕には、
つりそうな足の状態を差し置いても、
この場所に足を置くのは、
自分から京浜東北線に突っ込むのと
さして変わらない選択肢にしか思えず、
なお悶絶。
⑤お助け
結局後続の達人が
僕の登攀ルートよりも
滝側から一気に登って行き、
ロープをおろしてもらえました。
この滝の登攀グレードですが、
達人の感覚としてはIII+で
この谷の中で一番難しいそうです。
(奥多摩・高尾・大菩薩123では「IV」)
小草平以来の
危険状況に追い込まれました。
クワイエットルームのようにスペースがなく、
立ってるのが精一杯の場所でも、
支点を取ろうとする意識、
基本登り切るイメージとその技術、
お金をけちって寝不足で沢に行かないこと。
勉強になりました。
達人の方は「Yさん」といって、
この後、同行させていただくことになります。
⑥沢登り講習
この後逆川は小滝を随所にかけますが、
どれも普通に越えていくことができます。
少ゴルジュで左から越えていった滝。
Yさんには所々で、
斜面の傾斜に応じた体の向きや、
へつり時の足の移動、
クライミングの重心移動等を教わりました。
大岩を過ぎたところで少し休憩しました。
振り返った大岩↓
すぐにオオダワ沢の出合があって、
そこから約1時間で3段10mの滝があります。
上部の流れがなかなか美しいです。
ここはなかなか高度感があり、
すこし緊張しましたが、
ステミングで突破しました。
⑦2つの大滝と登攀
3段10mの滝から18分ほどで、
10m大滝にたどり着きました。
10mで大滝はちょっと低い気もしますが、
1段の滝としては二俣までで最大です。
写真的には逆光で悪いですが、
綾滝にもよく似ていて、美瀑でした。
ここはYさんに
上から確保してもらいながら、
右壁を登りました。
途中まで行ったらガバホールドが豊富で、
わりとあっさり上までつなげました。
その後8m滝も直登はなかなか怖く、
二俣後は3連のナメを越えて左俣の大滝に。
25mの高さを誇ります。
ここが最後の難関で、
また上から確保していただき挑みました。
中段のバンド帯までの傾斜がゆるくて悪く、
かつ高さもかなりあるので
自分がリードだったら無理でした。
今回のように、
まずは確保された状態で
滝登りに慣れる、
それが上達のコツのようです。
⑧詰めて百尋へ
この後、Yさんとはお別れしました。
僕自身がこの経験をムダにしないこと、
喉元を過ぎても熱さを忘れないこと、
それしかないなと思っています。
詰めは短くないです。
ただ、鷹ノ巣谷のほうがきつかったです。
川苔山には直接上がれず、
山頂はまた次回にします。
東へ進むと、川苔山の山頂も踏めて、
かつ、鳩ノ巣駅に行けるんですが、
5年ぶりに百尋の滝をみたかったこと、
沢靴を水場で洗いたかったことから西へ。
たぶん火打石谷支流横ガ谷の滝。
登山道到達から西へ20分後、
発見して接近しました。
ここから百尋の滝までは
25分くらいでした。
⑨まとめ
まだ生かされていたんだと、
そう思いました。
しっかりと実力をつけて、
経験をムダにしないこと。
頑張っていきたいと思います。
コースタイム
6:42 バス停降りる
<凄く迷う>
7:46 聖滝
7:54 上の滝
8:04 入渓点
8:19 遡行開始
8:23 逆川出合
8:30~37 腰まで浸かる淵で左足つる&悶絶
8:44 2段10m核心
<悶絶&Yさん登場>
9:14 先へ
10:48 大岩
10:53 オオダワ沢出合
11:54 3段10m
12:15 10m大滝 右壁直登
13:24 25m大滝
14:43 詰め終わり
15:29 百尋 <靴洗い&体制整え>
15:55 発
16:01 看板
16:20 直滝
バス停到着時刻不明
アクセス
Step1 奥多摩駅へ
Step2 川乗橋下車
Step3 踏み跡から下降して入渓