裏巻機 下ノ滝沢の滝
裏巻機 下ノ滝沢の滝【新潟県 南魚沼市 永松】
滝の記録
訪問日 2022年10月1~2日
活動の形態:3級上沢登り+α (3名)/ 公共交通+車2台
装備:8mm×30(2本), 泊装備, ミラーレス一眼(広角), ラバー足袋, チェンスパ
感動度:限りなく~異次元
① 再会
9月前半の緊急出張で仙台へ飛び、そこでポムチム氏と名前を変えた滝ペーさんとお会いする。
弥七沢以来の再会で盛り上がり、沢活動でのコラボを誓い合った。
その後下ノ滝沢の打診があり、準備を進めていくことになる。
② 準備
とはいえ、既にアルパインライフから、引退したと言っても過言ではなく、ちょっと2~3回滝に行ったからと行って、体力・筋力・現場感を戻すのは厳しい。
なので、多角的な視点から事態の打開に努めた。
栄養学の勉強やNew アイテムを導入。
特に コンパクトでスタイリッシュなザックを求めた結果、Mountain Head Wearの「スクランブラー35」を入手。
圧倒的にシンプルで美しいシルエットに、荷物をコンパクトに収納していく。
さらにはNew エアマットや、下山用のトレランシューズなど爆買いを進めて、当日を迎えたのであった。
③ 合流
浦佐まで新幹線でいき、ホテル泊。
これだと、滝直前まで仕事に打ち込むことができる。
ホテル前にポムチム氏が迎えに来てくれた。
今日はサワグルイケーシさんも同行。
家まで迎えにいくとのことで、「既に親友の関係か??」と思うも、まだ親友には至っていないとのこと。
周囲が絶景のセブンで調達し、3人で五十沢キャンプ場を目指す。
ゲートも開けてもらっていて、進めるところまで車で進めた。
④ トレンド把握と五十沢の滝
僕が沢に行っていない間に起きた諸々のトレンド感の把握に努める。
・沢水は気にせずがぶ飲み
・チェンスパはハーネスラックに直付け
… などなど細かいトレンドがあるようだ。
そうこうしてるうちに、不動滝の分岐があったので、滝へ!
これは素晴らしい滝。
落差は25m前後だろうが、場の力は秋保大滝や苗名滝に近いものがある。
満足。
戻って先へいくと夫婦滝は、遠望だが大変美しい姿を見せた。
すぐ上の50m 右岸支流滝も良い。(これはおそらく東中尾沢…)
⑤ 本流と巻道
渓谷も緑色の水で美しい。
取水場はジャンプせず降りてから越える。
中部ゴルジュ入り口を偵察
2段3m滝
ケーシさんは過去に突破済みで、中部ゴルジュで一番難しいらしい
裏巻機渓谷の登山道に入る。
僕は元々高巻きの心つもりでいたので、平常心を保つことができた。
とにかく登らされて、時にスラブトラバースがある。
結果として「大高巻き度合い」は、今回の道中で最も大きなものとなった。
⑥ のんびりして入渓
突破すると五十沢川
寄り道して上流の50cm 小滝プールへ
やや下流へ行っていく。
下ノ滝沢へ入渓
小滝がいくつもある
取り付く滝
2段25m滝
広い場でなかなかな滝
撮影させてもらって、右岸巻きに入った。
越えると上からは連瀑が望める
⑦ 下ノ滝沢 world
その後は美しいナメ滝が続いて、楽しく進んでいく。
2条の滝
もっさり滝
振り返ると…
スラブ
一回左岸巻きとなった時に、ロープを出したい非常に危険な傾斜のスラブトラバースがあった。
弘田さんたちが匍匐前進された滝
ラバー靴であれば右側から登れる
3.5mトイ丈の滝 (ジャンプあり)
巨岩帯に入るとしばらくは高度を稼ぐ感じ。
進むと「岩畳」に到着した!
(振り返って…)
ここは過去の記録では既に2日目のエリアになっているものも多く、進むか悩むところだが、時間が早すぎたので進展決定。
⑧ 大滝の巻きへ
6mCS滝
ここから一気に右岸巻きで大滝越えを目指していく
谷の風景は気になるところだが、ガシガシ進んでいくと、遠目に大滝が確認できた。
さらに近づいて
ルート的に安全な右岸巻きで、大滝には最接近せずに継続。
すぐ上のナメ滝の前に下降できたが、ここの降りるポムチム氏のルーファイは見事だったと思う。
⑨ ナメ滝を越えて…
このナメ滝だけでもかなり見事
フェルトではあり得ない傾斜だが、左岸のスラブリッジをノーロープで通過することに。
僕も死なずに登り切ることができた笑
ここからしばらく先で本日の宿!
岩の上を裸足で歩けるような素晴らしい河原。
1日目のログ
早々に着替えて、充実した時間が流れる。
⑩ 満ち足りた寒き夜
うどんやソーセージをふんだんに食すことができた。
徐々に寒くなる沢!
二人はモンベルの♯3という秋用のシュラフだったが、僕は♯5で夏用で、夜が不安視される。
夜は満天の星空!
1枚だけ撮影に成功することができた!!(18mm, 30秒, F値:4, ISO:1000)
睡眠中に、チェンスパの刃がエアマットに襲い掛かったのか、穴が空いて機能不全に。
風も強くなり、寒さに震えたが最終的にツェルトを被るとだいぶ軽減。
不安な2ヶ所ほどに湿布もはり、翌日の筋肉痛軽減に努めた。
⑪ 日当たりを待つ
起床。
清々しい朝。
素晴らしい1日が始まる。
日が当たるまで待とうとゆっくりと準備。
記念撮影もし、取り付いていく。
⑫ 絶景の大ナメ
少し登ると…
スラブはどこも楽しく登っていけ、徐々に圧倒的な場所に到達する。
開けたすりばりの中を優雅に散歩。
圧倒的絶景である。
ここから奥のスタジアム滝に至るのだが…
スタジアム滝は下段を右側に有しており、近づくことでその姿が明らかになる。
⑬ 至福のスタジアム
真正面に至る…
左岸から写したスタジアム滝は、日本の滝風景の頂点に近いものを感じた。
僕は一人左岸から滝を上部で横断し、右岸でみなさんに合流。
右岸巻きとなるが、取り付きの岩場が滑っており、かなり丁寧な動きが要求される。(III + ~ IV-)
その後は藪に入るが、すぐに流れに入ると、ヌメヌメゴルジュに突入し、ラバーでは難儀を極める。
滑ると先ほどのスタジアム滝から放出されるため、一度藪に入って上部で降り直した。
一箇所テクニカルなクライムダウンを要求される(III +)。
⑭ 緩やかな詰めとダメージ
この後はひたすら平和!
さらに上部
だったのだが、上部にて登攀が微妙な箇所をジャンプしたら、傾斜で跳ね返されて、左足親指から着地。やや痛めてしまった。
藪漕ぎなきナメ
登山道に至る!
⑮ 山の世界と下山
この後、巻機山山頂を踏んで、 下山へと進む。
ハイペースな下山であったが、なんとかついていき、桜坂駐車場へ!
その後、初日の車場に戻ってケーシさんとお別れ。
我々は五十沢温泉 → インター近くの中華屋で食事。
浦佐駅まで送っていただきポムチムさんと別れた。
上越新幹線で東京へ戻る。
完!!!
2日目のログ (全員途中までとり忘れる)
⑯ まとめ
このレベルの中級沢登りを実践するには、本来であれば、杵柄+ここ1ヶ月の付け焼き刃ではなく、継続的なアルパインライフが必要。
ここ1~2年それを実践せずに、あの大地を体験・享受できたことは、二人の天才的プレイヤーのおかげであり、いやこの上ない至福、僥倖である。
ただ僕としては、そのあり得ない世界の実現可能性を追求していきたい。
また今回のようなアプローチは、短期的には出費が大きく見えるかもしれないが、
そこで余らすエネルギーと時間を用いて、仕事で成果を出し、より稼げることが、実はまるで高巻きのルートのように、明瞭に見えるようになってきている。