米子沢の滝
米子(こめこ)沢の滝—【新潟県 南魚沼市 清水】—
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今まで見たことのないタイプの
滝、谷、世界観、ストーリー。
どこまでも続いていく大ナメは、
一生忘れることはない最高の景観美でした。
滝の記録
訪問日 2016年9月3日
活動の形態:沢登り(単独) / レンタカー
装備:沢タビ, 8mm30m×1
感動度(Y字15m):けっこう~かなり
①新潟の沢へ
「滝」で考えたとき、
どの都道府県が凄いかは、
紀伊半島の「奈良」と「三重」が、
突出していると思いますが、
沢に限って見てみて、
日本百名谷に選ばれている谷の数が、
ダントツで多いのは、実は新潟県です。
それほど、新潟には、
到達が限りなく困難な、
秘瀑が多く存在しているとも言えます。
そんな新潟の谷の中でも入門コース、
『米子沢』に行ってきました。
入門コースと言っても、
本格的な沢登りになるため、
スラブのフリクション登攀や
高度感がある登攀経験が必要です。
②ストーリーとしての滝
最近は沢登りが中心の活動が増えています。
単独の滝ピストンであっても、
詰めて下山をしたとしても、
僕の最近のテーマは
「ストーリーとしての滝」です。
ある意味、映画のような物語を、
自分の一挙手一投足が紡ぎ出していく。
その目的の活動地はどんな、
ストーリーを体験させてくれるのか。
もちろん大前提としては、
滝空間の素晴らしさへの想いと、
感謝の念があります。
③米子沢の南の沢
南魚沼市の清水集落から、
駐車場を目指し二子沢川沿いに進んでいきます。
橋の周辺に大量の車がありました。
橋から見える堰堤を横から越えて、
進んでいきました。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Komeko_tonari_A.jpg)
しかし、沢の様子がトポと違ったので、
おかしいなと思い、
GPSを見たら米子沢の南にいました。
↓米子沢南の堰堤だらけの沢
![](../wp-content/uploads/2023/10/Komeko_tonari_B.jpg)
北に方向転換してしばらく進んでいったら、
警告が米子沢入渓点を示していました。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Komeko_keikoku.jpg)
④灼熱のゴーロ
![](../wp-content/uploads/2023/10/Komeko_go-ro.jpg)
入渓した米子沢はゴーロ帯で、
影がない開け、水もない谷沿いには、
容赦なく日差しが降り注ぎます。
上越の沢がよく、
夏ではなくて秋がオススメされているのは、
こーいうことかと1つ納得しました。
進んでいく中で徐々に水が流れてきて・・・
![](../wp-content/uploads/2023/10/Komeko_karyu.jpg)
小滝
![](../wp-content/uploads/2023/10/Komeko_kotaki.jpg)
このへんもまだ灼熱帯でした。
⑤序盤の滝
最初の滝は2段25m滝。
(左が下段 右が上段)
![](../wp-content/uploads/2023/10/Komeko_2dan25m_A.jpg)
![](../wp-content/uploads/2023/10/Komeko_2dan25m_B.jpg)
傾斜は緩めですが、
なかなか迫力がありました。
左手からナメ沢をウケるところで、
本流にはナメ滝がかかります。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Komeko_nametaki_A.jpg)
ここで少し休憩。
このナメ滝を登っていった先の、
左側のスラブは少し滑って厄介でした。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Komeko_nametaki_B.jpg)
沢筋が狭くなった所に7m滝がかかっています。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Komeko_7m_A.jpg)
ここから右岸高巻きが始まります。
米子沢の大滝、数段40m滝は
接近が難しく遠望になりましたが、
いい流れをしてました。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Komeko_Otaki_A.jpg)
この高巻きは踏み跡があるので迷いません。
再び沢におりてすすんでいきます。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Komeko_river_A.jpg)
⑥明るい衝撃
米子沢で特に良かった滝の1本が
次の5段35m滝です。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Komeko_5dan35m_A.jpg)
規模感も良く、あまり今まで
見たことないタイプの滝で感動しました。
3人パーティがザイルを出していました。
実際のところ左壁は階段状で、
特に問題なく越えました。
すると、さらに
この滝の深みにはまっていきます。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Komeko_5dan35m_B.jpg)
![](../wp-content/uploads/2023/10/Komeko_5dan35m_C.jpg)
中段の滝の流れと釜の美しさ。。。
じわじわっと感動がやってきます。
ただしかし、この滝上部のスラブは、
米子沢のスラブの中でも要注意帯で
滑りやすかったです。
越えていくと「くの字滝」があります。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Komeko_kunoji_A.jpg)
5m滝。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Komeko_5m_A.jpg)
幅広6m滝。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Komeko_habahiro6m_A.jpg)
この滝は右から越えましたが、
ザックに振られて少し緊張しました。
その先にも大きな滝の姿が・・・
![](../wp-content/uploads/2023/10/Komeko_3m_B.jpg)
![](../wp-content/uploads/2023/10/Komeko_3m_A.jpg)
その前に少し狭くなったところの
3m滝ですが、ぱっとみ高巻きは考えづらく、
突撃しました。
滝の左の溝に右足を突っ込んで、
右足のフリクションを信じ、
微妙なバランスで体重移動。
登攀的にはここが一番難所でした。
ここを越えると、
最高の景観が待っています。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Komeko_Pano_A.jpg)
真ん中が黒く潰れてしまっている写真ですが、
落差17mの左主瀑に対し、
右からも流れが加わっています。
ちょっと高くから見下ろすと・・・
![](../wp-content/uploads/2023/10/Komeko_Pano_C.jpg)
これまた素晴らしく、
![](../wp-content/uploads/2023/10/Komeko_Pano_E.jpg)
予想外の壺の綺麗さに癒やされました。
⑦米子ゴルジュをゆく
米子沢のパノラマ滝(仮称)を越えると、
カップルがお昼休憩をしていました。
徐々に幅が狭まっていきます。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Komeko_2jou5m_A.jpg)
この滝は右から落ち口トラバース。
さらに一本滝が続いて、
2段10mの滝がありました。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Komeko_2dan10m_A.jpg)
3人パーティが登攀中でした。
この滝は、左からいって途中で右に、
シャワーを浴びながら水流を横切る箇所が
ポイントで、右壁は階段状になっています。
この後、2本のチョックストーンがあり、
左の岩場から越えて、
次の2段8m滝につながります。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Komeko_2dan8m_B.jpg)
右から2本目の
チョックストーンを越えて…
![](../wp-content/uploads/2023/10/Komeko_2dan8m_E.jpg)
落差はそうないですが、
なかなか険しい地形にかかっていて、
雰囲気がよかったです。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Komeko_2dan8m_D.jpg)
右側から越えていきます。
するとけっこう険しいゴルジュになっていて、
そのまま左岸のバンドを伝いますが、
なかなか狭い場所もあって危険地帯です。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Komeko_Y_A.jpg)
このあたりで
沢床におりて滝を越えていきます。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Komeko_Y_B.jpg)
⑦青空の下で
辿り着いた15mのY字状の滝。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Komeko_Y_E.jpg)
写真だときれちゃってあれですが、
青空はこの上にずーーっとつながっています。
そんななか落ちるこの滝は
ほんとに素晴らしかったです。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Komeko_Y_F.jpg)
右を登りながら、米子ゴルジュを振り返る。
これもまた絶景。
そして・・・
![](../wp-content/uploads/2023/10/Komeko_2dan12m_A.jpg)
米子ゴルジュを越えた先に、
このような神がかった滝があったとは。
空間的にも適度な隔絶感とまとまりがありました。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Komeko_2dan12m_B.jpg)
この滝を見ることが出来てよかった。
そう、強く思えました。
多段15m滝。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Komeko_tadan15m_A.jpg)
この先は、天国の大ナメ。
感動しすぎてしまう、
ある意味危険な沢です。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Komeko_Oname_B.jpg)
続きます。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Komeko_Oname_D.jpg)
ひたすら癒やされました。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Komeko_Oname_E.jpg)
⑧穏やかな源流部
大ナメが終わってからは
水量が少なくなった源流部を歩きます。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Komeko_genryu_A.jpg)
![](../wp-content/uploads/2023/10/Komeko_genryu_B.jpg)
大ナメまでの興奮を鎮め、
再び日常の世界に戻っていくための、
一歩一歩。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Komeko_genryu_C.jpg)
右俣はロープが張られていて左俣へ。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Komeko_genryu_D.jpg)
このあたりで赤テープが見られるようになり、
途中右岸の踏み跡を辿っていったら
小屋にたどり着きました。
⑨下る
ここから駐車場までは2時間弱あります。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Komeko_yama.jpg)
9合目のニセ巻機山。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Nise_makihata.jpg)
⑩まとめ
開かれた大地に
幾つもの美瀑がかかり、
最後まで飽きることなく、
天空に突き抜けていく。
それが今回の米子沢の物語でした。
ザイルは一回も出しませんでしたが、
上述した、いくつかのスラブ滝。
そして、3m滝の突破と、階段状ながら
それぞれ高度感はある滝々の登りが核心です。
この日は夜に阿賀町まで移動し、
翌日は新潟県のお手軽滝巡りをしました。
アクセス
Step1 巻機山登山口(桜坂駐車場)を目指す
Step2 進む沢を間違えない
Step3 米子沢を登る