笹木沢 鎧滝
笹木沢 鎧滝【宮城県 仙台市 青葉区】
東北の沢登りの名渓として、
名高い笹木沢。
その象徴が簾状の鎧滝。
滝めぐりの範疇で、
この滝を写真で収めた人は見たことがなく、
どのような空間なのか、
目で見て確かめたかった。
(Google Mapに位置が載っているが
誰もが気安く行くことはできない)
滝の記録
訪問日 2018年9月15~16日
活動の形態:3級下沢登り (単独) /レンタ
装備:8mm×50m, 沢タビ, 泊装備, 撮影機材
感動度:かなり~限りなく
①続行!
大倉川本流を降り切って、
ロープをしまい直して休憩した後、
笹木沢へ。
本来であれば、弘田さんも、
赤倉沢下流あたりで宿をとっているため、
すでに休んでも翌日の下山はできそうだが、
翌日の天気予報が出発前の段階だと、
午前11時ごろから雨に変わるということ。
そして、核心部を越えられる、
確かな実力がないので、
余力を持って臨みたいことから、
初日のうちにもう少し進んでおきます。
②小滝ときのこ
4m滝。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Okura_Sasagi_4m_A.jpg)
胸あたりまで
浸かっていけば簡単そうですが、
濡れるのを嫌がって、
左の狭い棚の間を通っていたら、
ザックが挟まったりして、すごく苦戦。
上から見て
![](../wp-content/uploads/2023/10/Okura_Sasagi_4m_B.jpg)
その後も滝が続いていく。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Okura_Sasagi_3m.jpg)
2段5~6mの滝を横から
![](../wp-content/uploads/2023/10/Okura_Sasagi_2dan5m_B.jpg)
生えていた謎のキノコ。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Okura_Sasagi_kinoko.jpg)
3mくの字ナメ滝
![](../wp-content/uploads/2023/10/Okura_Sasagi_3mkunojiname.jpg)
倒木が凄い量の、
2段8mぐらいの滝。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Okura_Sasagi_2dan8m_A.jpg)
③笹木のナメと滝
ここからはナメの絶景が始まる。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Okura_Sasagi_name_C.jpg)
今年、No. 1のナメ風景を堪能。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Okura_Sasagi_name_A.jpg)
気持ち良い
![](../wp-content/uploads/2023/10/Okura_Sasagi_name_B.jpg)
河原
![](../wp-content/uploads/2023/10/Okura_Sasagi_river.jpg)
2段4m滝
![](../wp-content/uploads/2023/10/Okura_Sasagi_2dan4m.jpg)
小滝を上から
![](../wp-content/uploads/2023/10/Okura_Sasagi_river_B.jpg)
3mハング滝
![](../wp-content/uploads/2023/10/Okura_Sasagi_3m_A.jpg)
時折振り返る
![](../wp-content/uploads/2023/10/Okura_Sasagi_river_C.jpg)
4m滝は右岸に巨大なスラブ滝がかかる。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Okura_Sasagi_4mslav_A.jpg)
④核心部前まで
3m幅広
![](../wp-content/uploads/2023/10/Okura_Sasagi_3mhabahiro.jpg)
5m幅広の滝はなかなかの見応え。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Okura_Sasagi_5m_A.jpg)
2年前の中津川の時は、
参考にした弘田さんの記録ペースに
全くついていけなかったが、
今回は、悪くなかった。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Okura_Sasagi_river_E.jpg)
1つには弘田さんも同行者によって、
当然ながらペースが違っていただろうということ。
(中津川はあのMoto.pさんと)
2つ目は僕のペースというよりも、
小滝を越えるのにかかる時間が
すごく短縮された気がする。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Okura_Sasagi_kotaki.jpg)
⑤幕営
時間的に、今日中に
核心部に入ってしまうか、
かなり悩ましいところ。
徐々に近づいてきているはず。
そんな中、
右岸に少し高い平らな場所を発見。
時間はもうすぐ16時。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Okura_Sasagi_tenba.jpg)
ここでの幕営を決意しました。
沢泊自体は今回が6回目。
単独は中津川以来。
実力不足により、
暖をとることはできなかった。
沢泊の良さは、
大自然で様々なリズムがよくなると同時に、
水の綺麗な音が聞こえ続けることだと思う。
特に今回、この沢音による
夜の癒し度は半端なかった。
50mロープ、テント、
4Lの水(明らかにミス!)、撮影機材
これらでぱんぱんになった荷物でよく歩いた、
1日が終了。
コースタイム
14:25 笹木沢遡行開始
14:50 2段8m倒木の滝
15:13 4mナメ滝
15:24 5m幅広滝
15:40 行動終了
⑥2日目
起床。
昨晩、一滴も雨は降らなかった模様。
なんだかんだ
片付けしてご飯食べていると、
出発までに90分くらいはかかってしまう。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Okura_Sasagi_river_F.jpg)
すぐに核心部かと思いきや、
すこーしだけ平流部もあって、
やがて右岸から支流が。
(トポの記載よりもはるかに小さかった。
小さくなってしまった?)
前衛の釜小滝と7m滝。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Okura_Sasagi_7m_B.jpg)
弘田さんは登っているが、
ここは躊躇なく右岸巻きに。
最短トラバースを嫌がって
少し上に上がってしまったが、
そこからのトラバースでも、
残置スリングが目印になってくれた。
傾斜は絶壁ではないが、
きつめであり、ここも懸垂で
落ち口に降りる。
⑦2段12m滝、そして7m滝
しばらく進むと、倒木も目立つ、
2段12m滝が。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Okura_Sasagi_2dan12m_A.jpg)
ここはいい感じの滝風景。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Okura_Sasagi_2dan12m_B.jpg)
撮影。
そして左手から登っていくが、
上段の最後のほうは突然悪くなり、
左の樹林帯に一瞬逃げて滝を越える。
核心部4本の滝の半分を終えるも、
トポには余裕と書いてあったこの滝。
不安は募っていく。
屈曲部に突如7m滝。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Okura_Sasagi_7mzenei_A.jpg)
弘田さんは左から。
右に関しては
「一筋縄ではいかなそう」
との記載。
高巻きはするとしたら、
わりと戻ってから
左岸を大きく行くのが考えられる。
うまくいけば30〜40分で、
越えられるのではないかというレベル。
(試してみないとわからない)
登るとするならば、
右側からしかありえないと判断。
左は1m分何もなさそうな場所があるが、
右なら細かく上部まで少しずつありそう。
下は深くはないが滝壺ということで、
右から取り付いてみた。
2m弱登ってからが核心部。
スタンスもホールドもどれも細かい。
足の親指だけでスタンスを捉え
三点支持を保ちながら、核心部を越える。
ゆるくなったらつないで滝上に。
(推測 登攀グレード III+~IV-)
⑧鎧滝
おお!
![](../wp-content/uploads/2023/10/Okura_Sasagi_Yoroi_F.jpg)
鎧滝。
そしてほぼ垂壁に見える落ち口。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Okura_Sasagi_7mzenei_ochi.jpg)
滝は影になっていた。
なので、しばらく光が
差し込むまで待ったりもした。
それでもそんなに
もともと待てる方ではない。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Okura_Sasagi_Yoroi_E.jpg)
予想通り美しかった。
鎧滝の正面にはわりと高い崖があって、
そこが鎧滝下部をこの時間影にしていた。
ある程度昼になれば、
光は入ってくるのではないかと思います。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Okura_Sasagi_Yoroi_B.jpg)
今回みたいに下山を急いで、
9月に朝の8時頃いると、
こんな明暗差の強い滝前になります。
それはそうとしても、
測光モードをミスしたのか、
あまりにも暗すぎて、補正しても暗いと、
写真的に反省点が多い内容になりました。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Okura_Sasagi_Yoroi_A.jpg)
全体で25m級の規模。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Okura_Sasagi_Yoroi_H.jpg)
想像よりも、後ろの滝が絶壁で、
簡単に抜け出せるような空間ではなく、
それでいて狭すぎず、滝の流れは美しく、
名瀑だと思います。
⑨鎧の登攀
鎧滝は左から登ります。
下から見ると上部は木々に
逃げられるのではないかと判断。
しかし、まず
最後の5mまでの登攀も、
極度に難しくはないですが、
何も考えずに余裕というレベルではなく、
緊張感はありました。
そして上部5mは、
岩場そのままは危険と判断。
1mほど、ほとんどの足場のない、
斜面を突破できれば、
灌木帯に入ることができる。
しかし、この足場の悪い斜面は
「かなり」悪いので、
岩場の登攀も、斜面トラバースともに
自信がない場合は行き詰まってしまうだろう。
灌木の中でうごめきながら、
落ち口へ移動し、鎧滝を突破。
落口
![](../wp-content/uploads/2023/10/Okura_Sasagi_Yoroi_ochi.jpg)
⑩平流部を詰める
9mナメ滝
![](../wp-content/uploads/2023/10/Okura_Sasagi_9mname_A.jpg)
4m滝は右から
(けっこうお腹までつかる)
![](../wp-content/uploads/2023/10/Okura_Sasagi_4m.jpg)
2段3mの滝
![](../wp-content/uploads/2023/10/Okura_Sasagi_2dan3m_A.jpg)
かなり平凡な地形が続いて、
時間があいて5mナメ滝。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Okura_Sasagi_5mname.jpg)
地形図で水線が消えても、
水はかなり続いていく。
どこかで急激に高度をあげるわけではなく、
緩いまま距離を詰めて行く。
上の方
![](../wp-content/uploads/2023/10/Okura_Sasagi_genryu_A.jpg)
最後の方
![](../wp-content/uploads/2023/10/Okura_Sasagi_genryu_B.jpg)
突如登山道に。
![](../wp-content/uploads/2023/10/Okura_Sasagi_tozando.jpg)
穏やかになってから、
詰めまでの距離は長めでした。
ここからは下山。
⑪下山とその後
途中、4匹の白い犬さんが現れて、
野犬か!!とビビるも、
犬さんたちも僕にびびっていて、
飼い主の方と仕事で来ているようだった。
来た時には僕一台だった駐車スペースも
車が大量にあって、
けっこうキノコが主体のよう。
とりあえず、着替えたのち、
関山大滝に向かって撮影後、
ドライブインで岩魚定食をいただいた。
この後鳳鳴四十八滝に行った後、
秋保公共浴場にて体を流す。
300円で同時に体が洗える人数が2人。
エバーブレスフォトンを
置き忘れてしまいましたが、
残っていて送っていただきました。
優しさに感謝。
また寄らせて頂きます。
コースタイム
4:45頃 起床
6:16 出発
6:31 核心部 最初の7m滝→右岸巻+懸垂
7:30 7m前衛滝突破
8:39 鎧滝上
9:47 5mナメ滝
10:23 登山道着
10:45 下山中犬さんに遭遇
11:00 下山
12:00 関山大滝→食事
13:12 鳳鳴四十八滝
⑫まとめ
今回の沢の総合グレードは3級下。
今回のようにスムーズにさくさく行けば、
1.5日で下山可能です。
(実力者は日帰りも可能)
登攀の核心は鎧滝前衛の7m滝で、
結果的に登れたから良かったものの、
なかなか難しく危険で、
慎重な行動が必要でした。
多くの箇所で沢登り特有の、
ムーブが必要になってきます。
大倉川本流のV字谷とゴルジュ、
笹木沢の美瀑と美しいナメ。
本当に遡行感度が高く、
やりたいこととやれることの
バランスが良くなってきました。
美瀑を起点とした静かな沢旅。
理想的な滝めぐりのイメージが、
徐々に固まりつつあります。