滝いろ|船形 大倉川 笹木沢 鎧滝

活動記録



笹木沢 鎧滝

笹木沢 鎧滝【宮城県 仙台市 青葉区】

東北の沢登りの名渓として、
名高い笹木沢。

その象徴が簾状の鎧滝。

滝めぐりの範疇で、
この滝を写真で収めた人は見たことがなく、
どのような空間なのか、
目で見て確かめたかった。

(Google Mapに位置が載っているが
誰もが気安く行くことはできない)

滝の記録

訪問日 2018年9月15~16日
活動の形態:3級下沢登り (単独) /レンタ
装備:8mm×50m, 沢タビ, 泊装備, 撮影機材
感動度:かなり~限りなく

①続行!

大倉川本流を降り切って、
ロープをしまい直して休憩した後、
笹木沢へ。

本来であれば、弘田さんも、
赤倉沢下流あたりで宿をとっているため、
すでに休んでも翌日の下山はできそうだが、

翌日の天気予報が出発前の段階だと、
午前11時ごろから雨に変わるということ。

そして、核心部を越えられる、
確かな実力がないので、
余力を持って臨みたいことから、
初日のうちにもう少し進んでおきます。

②小滝ときのこ

4m滝。

胸あたりまで
浸かっていけば簡単そうですが、
濡れるのを嫌がって、
左の狭い棚の間を通っていたら、
ザックが挟まったりして、すごく苦戦。

上から見て

その後も滝が続いていく。

2段5~6mの滝を横から

生えていた謎のキノコ。

3mくの字ナメ滝

倒木が凄い量の、
2段8mぐらいの滝。

③笹木のナメと滝

ここからはナメの絶景が始まる。

今年、No. 1のナメ風景を堪能。

気持ち良い

河原

2段4m滝

小滝を上から

3mハング滝

時折振り返る

4m滝は右岸に巨大なスラブ滝がかかる。

④核心部前まで

3m幅広

5m幅広の滝はなかなかの見応え。

2年前の中津川の時は、
参考にした弘田さんの記録ペースに
全くついていけなかったが、
今回は、悪くなかった。

1つには弘田さんも同行者によって、
当然ながらペースが違っていただろうということ。
(中津川はあのMoto.pさんと)

2つ目は僕のペースというよりも、
小滝を越えるのにかかる時間が
すごく短縮された気がする。

⑤幕営

時間的に、今日中に
核心部に入ってしまうか、
かなり悩ましいところ。

徐々に近づいてきているはず。

そんな中、
右岸に少し高い平らな場所を発見。
時間はもうすぐ16時。

ここでの幕営を決意しました。

沢泊自体は今回が6回目。
単独は中津川以来。

実力不足により、
暖をとることはできなかった。

沢泊の良さは、
大自然で様々なリズムがよくなると同時に、
水の綺麗な音が聞こえ続けることだと思う。

特に今回、この沢音による
夜の癒し度は半端なかった。

50mロープ、テント、
4Lの水(明らかにミス!)、撮影機材
これらでぱんぱんになった荷物でよく歩いた、
1日が終了。

コースタイム

14:25 笹木沢遡行開始
14:50 2段8m倒木の滝
15:13 4mナメ滝
15:24 5m幅広滝
15:40 行動終了

⑥2日目

起床。

昨晩、一滴も雨は降らなかった模様。

なんだかんだ
片付けしてご飯食べていると、
出発までに90分くらいはかかってしまう。

すぐに核心部かと思いきや、
すこーしだけ平流部もあって、
やがて右岸から支流が。
(トポの記載よりもはるかに小さかった。
小さくなってしまった?)

前衛の釜小滝と7m滝。

弘田さんは登っているが、
ここは躊躇なく右岸巻きに。

最短トラバースを嫌がって
少し上に上がってしまったが、
そこからのトラバースでも、
残置スリングが目印になってくれた。

傾斜は絶壁ではないが、
きつめであり、ここも懸垂で
落ち口に降りる。

⑦2段12m滝、そして7m滝

しばらく進むと、倒木も目立つ、
2段12m滝が。

ここはいい感じの滝風景。

撮影。

そして左手から登っていくが、
上段の最後のほうは突然悪くなり、
左の樹林帯に一瞬逃げて滝を越える。

核心部4本の滝の半分を終えるも、
トポには余裕と書いてあったこの滝。
不安は募っていく。

屈曲部に突如7m滝。

弘田さんは左から。

右に関しては
「一筋縄ではいかなそう」
との記載。

高巻きはするとしたら、
わりと戻ってから
左岸を大きく行くのが考えられる。

うまくいけば30〜40分で、
越えられるのではないかというレベル。
(試してみないとわからない)

登るとするならば、
右側からしかありえないと判断。

左は1m分何もなさそうな場所があるが、
右なら細かく上部まで少しずつありそう。

下は深くはないが滝壺ということで、
右から取り付いてみた。

2m弱登ってからが核心部。

スタンスもホールドもどれも細かい。

足の親指だけでスタンスを捉え
三点支持を保ちながら、核心部を越える。

ゆるくなったらつないで滝上に。
(推測 登攀グレード III+~IV-)

⑧鎧滝

おお!

鎧滝。

そしてほぼ垂壁に見える落ち口。

滝は影になっていた。

なので、しばらく光が
差し込むまで待ったりもした。

それでもそんなに
もともと待てる方ではない。

予想通り美しかった。

鎧滝の正面にはわりと高い崖があって、
そこが鎧滝下部をこの時間影にしていた。

ある程度昼になれば、
光は入ってくるのではないかと思います。

今回みたいに下山を急いで、
9月に朝の8時頃いると、
こんな明暗差の強い滝前になります。

それはそうとしても、
測光モードをミスしたのか、
あまりにも暗すぎて、補正しても暗いと、
写真的に反省点が多い内容になりました。

全体で25m級の規模。

想像よりも、後ろの滝が絶壁で、
簡単に抜け出せるような空間ではなく、
それでいて狭すぎず、滝の流れは美しく、
名瀑だと思います。

⑨鎧の登攀

鎧滝は左から登ります。

下から見ると上部は木々に
逃げられるのではないかと判断。

しかし、まず
最後の5mまでの登攀も、
極度に難しくはないですが、
何も考えずに余裕というレベルではなく、
緊張感はありました。

そして上部5mは、
岩場そのままは危険と判断。

1mほど、ほとんどの足場のない、
斜面を突破できれば、
灌木帯に入ることができる。

しかし、この足場の悪い斜面は
「かなり」悪いので、
岩場の登攀も、斜面トラバースともに
自信がない場合は行き詰まってしまうだろう。

灌木の中でうごめきながら、
落ち口へ移動し、鎧滝を突破。

落口

⑩平流部を詰める

9mナメ滝

4m滝は右から
(けっこうお腹までつかる)

2段3mの滝

かなり平凡な地形が続いて、
時間があいて5mナメ滝。

地形図で水線が消えても、
水はかなり続いていく。

どこかで急激に高度をあげるわけではなく、
緩いまま距離を詰めて行く。

上の方

最後の方

突如登山道に。

穏やかになってから、
詰めまでの距離は長めでした。

ここからは下山。

⑪下山とその後

途中、4匹の白い犬さんが現れて、
野犬か!!とビビるも、

犬さんたちも僕にびびっていて、
飼い主の方と仕事で来ているようだった。

来た時には僕一台だった駐車スペースも
車が大量にあって、
けっこうキノコが主体のよう。

とりあえず、着替えたのち、
関山大滝に向かって撮影後、
ドライブインで岩魚定食をいただいた。

この後鳳鳴四十八滝に行った後、
秋保公共浴場にて体を流す。

300円で同時に体が洗える人数が2人。

エバーブレスフォトンを
置き忘れてしまいましたが、
残っていて送っていただきました。

優しさに感謝。
また寄らせて頂きます。

コースタイム
4:45頃 起床
6:16 出発
6:31 核心部 最初の7m滝→右岸巻+懸垂
7:30 7m前衛滝突破
8:39 鎧滝上
9:47 5mナメ滝
10:23 登山道着
10:45 下山中犬さんに遭遇
11:00 下山
12:00 関山大滝→食事
13:12 鳳鳴四十八滝

⑫まとめ

今回の沢の総合グレードは3級下。

今回のようにスムーズにさくさく行けば、
1.5日で下山可能です。
(実力者は日帰りも可能)

登攀の核心は鎧滝前衛の7m滝で、
結果的に登れたから良かったものの、
なかなか難しく危険で、
慎重な行動が必要でした。

多くの箇所で沢登り特有の、
ムーブが必要になってきます。

大倉川本流のV字谷とゴルジュ、
笹木沢の美瀑と美しいナメ。

本当に遡行感度が高く、
やりたいこととやれることの
バランスが良くなってきました。

美瀑を起点とした静かな沢旅。

理想的な滝めぐりのイメージが、
徐々に固まりつつあります。

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