滝いろ|アシド沢 見返りの滝

活動記録



見返りの滝

アシド沢 見返りの滝—【新潟県 村上市 岩崩】—

滝の記録

訪問日 2017年8月13日
活動の形態:上級滝巡り / 車
装備:8mm30m×2, 沢タビ
感動度:かなり~限りなく

①最終日

遠征は最終日。

今日の最初は、BALさんが温めていた、
新潟 三面ダムに落ちるアシド沢の見返りの滝。

遠望地点に向かおうとするも、
間違えて最初ダムについてしまったが、
運よくダムカード2枚を入手。

滝は左に降りず、
トンネル前から遠望できます。

かなり高いところに見えるが、
そんなに簡単に行けるのだろうか?

この時点で、
いろはすの梨味が300mlしかないことは、
秘密にしたまま、ハーネス装備で
アシド沢へ入渓する。

②川の様子と左俣

なんか、僕の中の新潟らしくない沢風景。
東京近郊にもありそうな感じです。

難所はなく、
左側に滝が見えたらそこは二俣。
まずは左俣の30m弱のスラブ滝へ。

西丹沢の下棚
のような滝で美しかったです。

③大滝

今度は右俣に進んでしばらくすると、
立派な大滝が現れる。

落差は45mほどだろうか。

少しくの字の滝。

見返りの滝の下段かもしれないし、
別の滝なのかもしれない。

何れにしても今回目指したい、
本丸の滝は先にあります。

一抹の水不足を胸にしまい、
高巻きルートを探索。

④崖の中で

滝のすぐ左を登っていく、
直登にやや近いルートは、
最初の取り付きができずにアウト。

右岸か左岸の高巻きになります。

今回の高巻き、中級者~上級者だと、
一見優しそうな左岸で、
とんでもない時間を食われる、
そんな可能性が頭によぎる。

気づけばBALさんは右岸に取り付いていた。

ちょっとした溝を登り、
そこからは灌木と草付き急斜面を
ひたすら登りながら、途中で
滝方向に横移動していくルート。

傾斜の急さが半端ではなく、
過去の斜面でも、
トップクラスに危険なパートが続く。

まともに休憩できる箇所もなく、
一気に80m近く上に押し上げられてしまう。

上に来ても、
滝側へのトラバースは困難を極め、
これ以上は厳しすぎる+
右岸の崖にてすでに90分以上が経過。

降りることにしました。

細めの木々にザイルをダブルでかけると、
生えている方向の関係で動いてしまうので、
計2本スリングをフリクションノットで残置。

懸垂を2回、懸垂以外の下降を
1~2回と緊張の下降でした。

⑤お水

最後の下降前にて…

BALさん
『滝壺で休憩してから、左岸に挑戦かな ♪』

う、、、

右岸の危険すぎる崖に2時間弱いて、
割と精神が疲弊した中(+水不足が深刻)。

やはり業界を引っ張る、
一流の滝屋は気概が違いました。

江戸
『飲み水の量に不安があるので湧水汲まないと…』

即座に「いろはす梨水」はなくなり、
湧き水は見当たらなかったので、
45m滝直下の苔から滴り降りる水を
2~3分かけてペットボトルに貯留。

飲んだら普通に飲めましたが
実際に汲んでしまったら安心して
あんまり飲まないという不思議な原則。

左岸にアタックします。

⑥降り口はあるか

最初は緩めも岩盤にぶち当たり、
右から回り込むとグズグズ斜面に入り、
小尾根にとりつかなければならない。

微妙なバランスで小尾根に取り付いて、
ぐいぐい高度を上げていくと、
どうやら45m滝を越えて、
連瀑帯と奥に見返りの滝が見えて来たようだ。

しかし、
連瀑帯を越えていくのはありえないだろうと、
高巻きを継続。

本丸の前への直接下降できる道を探します。

上がれども上がれども、
左岸は絶壁が途絶えることなく続き、
降りられる箇所はなかった。

悲しみにくれながら今一度、
連瀑帯が見える部分に向かってみました。

そしたらギリギリ下降できることが判明!

ザイルを出して下降したら、
ちょうど45m滝の落ち口だった。

⑦前衛滝の君臨と挑戦

下降している最中に2本の滝が
見返りの滝前に君臨しているのを目視し、
絶望感に苛まれるが、それでも接近。

そしたら、
手前の2条4m滝は全く問題はなく、
7mトイ状の滝が実質的な前衛滝になっていた。

巻くのは不可能で、
直登以外に道はない。
取り付いてみました。

明確なスタンスと言える場所は多くなく、
完全なステミングというわけでもなく、
一挙手一投足に気をつけ、真ん中に到達。

ここで物凄い瀑水をくらう。

一瞬水を口に含み、
さらに直上しようとしたら、
1.5mほど落ちて、その釜に滑落。

まだメンタルが持ってくれて、
一回滝の流れに背を向け、
呼吸を落ち着かせる。

瀑水に近づきすぎては、突破は困難。

少し離れた状態で足を上げていく。

1~2箇所詰まる厳しいパートがあったが、
踏ん張って前進、自分を信じてさらに前進。

なんとかのっこすことに成功。。。
(水根沢とか今まで諸々の経験が活きた感じです)

深い釜になってたので、そこから
BALさんを30mザイルでビレイ。

セカンドとはいえ、
余裕で登ってこられていた。

あとは右壁を直上して滝前へ。

⑧大滝の直下

これは間違いなく、
トンネル手前で遠望した滝だ。

見えていたのは上部の3/5ぐらいだろうか。

この滝の落差は100mと言われている。

しかし、このように接近をしてみると、
この部分は50~60mで、他のパートとは、
別れた別の滝であることが判明した。

流芯は少しくの字。

遠望では物足りない水量も、
直下では問題がなく、
隔絶感も素晴らしい空間だった。

右岸の崖でも、左岸の崖でも、
前衛滝の下でも諦めかけた直下にいることが、
なんか不思議でふわふわした滝体験。

後ろは暗さが残るゴルジュです。

⑨帰路へ

しばらくして雨が降り、
僕は近くの木に支点をとって、
先ほどのトイ状を降り直すのを考えてましたが、
その手前の5m垂壁が懸垂ポイントとのこと。

この辺りは4月の岩トレが効いていて、
バックアップ付きの懸垂で
無事7m滝前に降りて記念撮影。

アブのいない場所まで行ってから、
着替えを行いましたが、
ヒルが足元に付着していることを発見。

お互い4匹前後つかれていて、
僕は1匹に吸われてました。

⑩まとめ

今回のアシド沢、
沢屋の方のWEB記録も見当たらず、
情報がなかったので手こずりましたが、
滝までの距離は短いです。

45m滝も、初めから左岸高巻きだと、
そしてだいたいの下降ポイントもわかれば、
大幅に困難さは下がります。

それでも最後の前衛 7m滝だけは
突っ込んでいく直登が必要になり、
水量が多いと困難になります。
(今回の水量でもまともにくらった時は、
跳ね返されそうでした。逆に渇水だと
少しは登りやすいかも)

30mザイルは2本必要です。
(1本は最初の大滝の落ち口に降りる際残置。
足りなかったらここをフリーで降りる)

WEBに記録はないですが、
さすがに人類初の直下到達ではないんじゃないかと思います。
(クライミング力に長けた沢屋じゃないと
見返りの滝を直登できないので、
わざわざ降りてまとめて巻くことになりそう)

時間も2時過ぎでお腹いっぱいだったので、
帰路へつきます。

車内で見させていただいた、
スティーブンキング監督脚本の
『ランゴリアーズ』が
なかなか恐ろしく、
最後まで引き締まった遠征でした。

某大滝にはまた来年以降、
アタックをしたいと思います。

滝に向き合い続けた3日間でした。

【コースタイム】
7:56 見返りの滝 遠望
8:22ごろ 車出発
8:37 左俣 30mスラブ滝
8:50 右俣 45m滝前
9:04 右岸取り付き開始
10:30ごろ 右岸撤退開始
11:26 左岸巻き開始
12:07 45m滝落ち口
〜前衛滝突破〜
12:29 見返りの滝 滝前
13:06 懸垂で降り立つ
車へ…

アクセス

Step1 三面ダムの近くへ
Step2 橋から徒歩1分の場所に駐車SPあり
Step3 橋から入渓
Step4 45m滝を左岸高巻き
Step5 前衛滝を突破

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