白川又川岩屋谷雄滝—【奈良県 吉野郡 上北山村 白川】—
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素晴らしい滝と素晴らしい関係性で、
必ずしも会えるとは限りません。
開発が進みすぎた観光滝、
人間の技術では接近できない滝、
滝壺まで行くと上段が見えなくなる段瀑
などなど。
岩屋谷雄滝・・・
この滝はそうした点にひっかからない、
日本頂点の滝の1本です。
滝の記録
訪問日 2014年6月6日
活動の形態:上級滝巡り(単独)/レンタカー
装備:軽登山靴・7mm30m
感動度:異次元&悪魔的
①岩屋谷に挑むか
今回の遠征は天気が悪く、
ずっとぐずついていて、
常に行先は天気を見つつ決定してました。
そんな中三日目。
実は行こうとさえ思ったらいけるぐらいの
準備はしていた(つもりの)岩屋谷雄滝。
予報は9時から12時ごろまで小雨。
あとは曇りでした。
沢沿いのアプローチなら増水して
危険性は高いですが、
基本的に山道のアプローチ。
多少の雨なら何とかなるだろうと判断。
あと最終日の四日目は
大阪に9時に帰らないといけないので
時間的にリスクが高すぎるので無理。
ということで朝4時50分に
ヘルメット雨具を装備した上、
水尻のバス停を出発しました。
②アプローチルート
山ルートと沢ルートがあるのですが、
沢ルートはグレードが「2級上」と、
中級沢登りになります。
一方の山ルートは小峠山に登って、
頂上から尾根沿いにつながる、
中峰・西峰を経た後下降地点に到着。
そこから壮絶な下降によって
滝壺を目指します。
下流にある雌滝も同時に目指します。
結論として、
【泳ぎ要素】と【クライミング要素】を除いた
滝めぐりの中でかなり困難な部類に入ります。
(僕の指標だと1級上)
ポイントは3点
①急傾斜かつ長いルートに対応できる体力
②不明瞭なルートを切り開く
ルートファインディング
③急斜面の登り降り・一部厳しめのトラバース
安易に行くと死ぬ可能性があります。
(近年より楽に到達できる、
第3のルートが開拓されたとのことです。)
③出発
こんな暗い道を進んでいきます。
とにかく急傾斜の登りです。
帰りの下りが不安になります。
途中から雨が強くなり始めます。
④時系列
5時28分:675M地点に到着。
6時ごろ:雨が強くなってうずくまって耐える
6時40分:小峠山山頂
7時35分ごろ:下降地点到達
という感じでした。
木の根の張り方が凄かったです。
しかし、おそらく中峰
と思われる場所の後、
道を外れてしまい、
尾根を横に見ながら移動していたら、
西峰を通らずに下降地点ぽい
赤テープの印がある地点にたどり着きました。
ここが下降地点かは
確信が持てなかったのですが、
降りていって滝の音が聞こえ始め、
ちょっと姿が見えた+
GPSがそれらしい場所にいることを
示してくれたので確信しました。
雨には苦戦しましたが、
スタートから約3時間での下降地点到達です。
(この景色は途中の所です。)
⑤雌滝へ
まずは雌滝を目指します。
下っていくと赤テープが続き、
これは雄滝への道と判断。
下に向かって右側に移動していくと、
かなりの急傾斜のルンゼに出合います。
(右側に移動して2つ目だったと思います。)
雌滝へはこの悪絶ルンゼを下ります。
途中フリーではきわどい個所も
いくつかあります。
なんとかかんとか下っていき、
雌滝を見下ろせる地点にたどり着きます。
かなり急傾斜もクリアし、もう滝は近い。
⑥ぐだぐだ
しかし………
最後の崖から安全に
降りれる地点が見つかりません。
一カ所だけ3〜4Mの崖があり、
ロープを出せば降りれるところがありました。
でもしかし、
・近くの支点がちょっと脆弱
・壁は垂直で濡れており降りれた後、
ロープが垂れてても足が滑って登れない気がする
・雨の強さが増し、
ロープワークを行う気力が失せる
↓↓↓
・もっと楽に降りれる地点を探そう
↓↓↓
・雌滝手前にそんなルンゼを発見。よし。
しかし近づけども近づけども、
逆に上へ巻いてしまったようでたどり着けない
雨は増し、虫はたかり、
体力気力はつきて、
さっきの地点でロープワークを行う気力0に。
と、いうようなぐだぐだな流れで、
雌滝の直下に行くことはあきらめました。
(もっとはっきり
見えてる地点もあったんですが、
結果的に写真に残ってたのはコレでした)
実力不足でした。
その後、
雌滝の近くの崖エリアから
脱出するのも迷い、
そうとう無駄な体力を使いました。
⑦雄滝へ
何とか戻って雄滝へ。
傾斜自体は先ほどより楽ですが、
かなりきわどいトラバースもあって、
道中は滑落の危険が多々あります。
道も分かりにくいです。
そんな中いよいよ滝に近づいて行きます。
⑧感無量!
時刻は10時30分。
雌滝上での圧倒的な時間ロスが
あったこともあり、
5時間40分かかりました。過去最長です。
そして目の前には……
いや、凄すぎました。
スケール感は北精進ヶ滝とほぼ互角。
一段の滝として日本頂点のスケールです。
それでありながら流れは優しく静か。
訪れたものを優しく迎えてくれます。
運がいいことに
滝壺に着いたときは、
雨は上がっていました。
右岸から見た時の
滝壺の描く弧線が美しすぎます。
本当に来てよかった。
そんな滝の一つになりました。
しかし体は雨で冷えてしまって、
なかなか苦しい状態で、40分ほどで
滝を後にすることになりました。
⑨迷う
必死にルートを見出して、
下降地点の尾根まで這い上がりました。
あとは尾根沿いに戻るだけ、
そう思ってました。
僕は今回中峰(おそらく)の後、
尾根道を外れ、西峰を通らず、
下降地点を訪れました。
なので帰りのルートはあくまで
予想ということになります。
ただGPSとしてみていた、
マピオンの線は小峠山の頂上に伸びており、
まあ、このままいけば大丈夫だと思いました。
しかし、尾根を伝っていくと、
20分くらいで通れない地点が来て
GPSを見ると稜線よりも
はるか南側に自分がいます。
なぜ??
一回元の位置に戻り
もう一度丁寧に尾根をたどっても
再び同じ結果に。。
3時間以上帰路にかかる地点で
帰りの方向が分からなければ遭難です。
次第に足の踏ん張る力が失せていき、
かなり危険な形で滑落したりしました。
必死に生きる道を考えました。
⑩答え
可能性は2つ。
・GPSが狂っているのか
・何か他に決定的な思いちがいをしているのか
そのとき、携帯で見れるようにしておいた
森本さんのサイトのルートを見てみました。
するとなんと下降地点近くの尾根は
東に向かうと次第に南にのびていっています。
マピオンの地図の線が
尾根と一致しているという痛恨のカン違い
によって、
東に行ってるつもりが、
途中から微妙にカーブして、
何度も南に行ってしまっていたのです。
その後頑張って
正しい所に戻ろうとしますが、
当然道はありません。
⑪命の小川
その途中、
南にのびる尾根の東の谷に
水が流れていました。
ここでなくなりそうだった
水を補給かつ食糧を食べ元気を取り戻します。
この命の小川に助けられて、
なんとか正しい尾根に戻り、西峰に到達。
その後は多少迷いつつも、
一歩一歩足を進ませ、
凄く時間はかかりましたが、
帰ってくることができました。
(時刻は午後4時55分です。)
最高の滝の凄さ、
アプローチの厳しさ、
雨天時の大変さ、
生きることへの執着心、
様々なものを体感し、
少しだけ強くなった気がします。
そんな岩屋谷に感謝して
上北山温泉に向かいました。
(翌日は蜻蛉の滝です。)
⑫まとめ
第三の新ルートが開拓された今、
このルートを使う人はもういない
かもしれませんが、
ポイントとしては、
必ず「地形図」を持っていくこと。
雌滝に行きたいなら
懸垂下降をできるように
しておくことになります。
ただ、滝めぐりの
クラシックルートとして、
今後もその存在だけは
残っていってほしいものです。
ちなみに…
命の小川で助かりましたが、
あの水を飲んでから若干
体調が悪くなりました。。。
コースタイム
4:50ごろ:出発
5:28:675M地点
6:40:小峠山山頂
7:35:下降地点
8:20:雌滝上の崖
9:10:雄滝遠望
10:25:雄滝滝壺
11:05:出発
<<凄く迷う>>
13:45:命の小川
14:39:西峰到達
14:54:小峠山山頂
16:20:675M地点
16:55:駐車スペース
アクセス
Step1 水尻バス停へ
Step2 小峠山登山道を進む
Step3 中峰西峰を越え下降地点へ
Step4 壮絶な下降の末滝壺へ
(雄滝のみを目指した場合片道約4〜5.5時間)