玄倉川 鍋割沢の滝
鍋割沢の滝【神奈川県 足柄上郡 山北町 玄倉】
滝の記録
訪問日 2020年5月30日
活動の形態:2級 (2人) / 車
装備:8mm×30mm×2, 沢タビ
感動度:けっこう
①朝の試練
列島のコロナショックに、
一旦ではあるが、区切りがついたこの週。
マックでの一悶着があって、
あっきーさんは食事を済まされた。
② ザバーン
ラジオからは、パーソナリティの男性が、
ハイキングのお話を届けてくれる。
目的地もまだ決まっていないが、
走りながらの微妙な時間の中で、
一つずつ候補を絞っていった。
ラジオの男性は、今度は登山の話に移った。
累計200時間はラジオを聞いてきた僕が、
その違和感を尋ねると、FM横浜土曜日AMの
アウトドア特化型ラジオ「ザバーン」であることを伝えられる。
③ 歳に負けない
様々な候補の中から、鍋割沢が決まった。
玄倉林道が通行止めのため、
中津川 寄沢 沿いの雨山峠へ向かう道を選択。
林道が終わると登山道となり、
時に寄沢を対岸に徒渉したりしながら進む。
それにしても、
エンジンのかかりの遅さというのは
近年感じ始めていて、
歩き始めてから1時間ぐらいするまでは、
体が重く疲れてペースが上がってこない。
しかし、あっきーさんがこれだけ動けるのだから、
僕がまだまだひよっていてはダメだろう。
きっと、冬の運動不足が原因なのだ。
④ 雨山峠
渓流の歌姫、ミソサザイが鳴いている。
ちっこくて可愛らしい鳥だ。
上りの道を続けていくと、次第に沢沿いになる。
と言っても、水はもうなくて、
ゆるやなか寄沢源流のU字谷を、
すこすこ歩いていけばいい。
雨山峠に至った。
ここから、鍋割沢にいくには、
西の林道に降りて林道を長く歩くコースと、
標高300mを登り、鍋割山を越えた後、
小丸から下降するコースが考えられた。
しかし、ここで標高差300mはナンセンス。
西の沢沿いに降り始めた。
⑤ 癒しの雨山沢
沢の右岸に設けられた道を辿る。
しかし、途中途中で、綺麗なナメ滝が見える。
水は少ないが、癒し系の沢。
思わぬ風景に感銘を覚えながら、林道に合流した。
⑥ 手拭いの女
林道歩きが始まる。
かつてはここまで自転車がこれたそうだ。
玄倉川には時折、支流が合流していくが、
どれも味わい深そうな様子を漂わせていた。
茅ノ木棚沢
トンネル
後ろから颯爽と、
北アルプスにいそうな健脚な単独女性が現れる。
頭の手拭いの結び方がとっても上手であった。
一度僕らが先をゆき、
鍋割沢の出会い付近のゴーロで、
入渓準備兼、お休みをしているときに、
再びお会いした。
⑦ 切り替わる世界
ゴーロを越えるとF1がある。
日が照りつけるゴーロから、
ちょうど陰の滝の世界へ切り替わっていくところ。
滝の向かって右側に、
大きな木が生命力豊かに根を伸ばしていたが、
あまりうまく撮れなかった。
さて、どうしようかというところで、
登れるんじゃないか?という見立て。
僕が先に取り付いてみるが、
めちゃくちゃぬめる。
フェルトなので、
ギリギリのところを攻めつつ
高度を上げるが、見た目よりも悪い。
上の方は有効なガバがなくて、
泥を落としながらのホールド探し。
足もやや微妙だったが、
冷静につないで切り抜けた(III+)。
ステルスソールのあっきーさんは、
ぬめりのため、左岸巻き。
ロープで降りて合流。
⑧ 8mF2
連瀑を越えると、
F2の8m滝が待っている。
弓を放つあっきーさん
近づくと両サイドが迫力を増し見事。
この沢の見所の滝だ。
後藤さんのガイドでは左岸巻きで、
それが意外と悪いという。
しかし、右岸を見ると、
ガレルンゼが登れそうではないか?
とのことで、
間隔を空けて僕が挑戦してみる。
⑨ 鍋割の脆き壁
堆積した岩の塊のお山は問題なく登り、
ガレルンゼの真下に着く。
岩場は想像よりも立っていた。。。
そこから取り付いてみるが、
各ホールドスタンスが微妙に遠くて苦戦。
そうこうしていると、
突如、右足のスタンスが飛んだ。。。
他の二点支持でなんとか持ち堪えて、
さらに上へ。垂直パートが終わったら、
緩くなる斜面を登る。(IV + 以上)
有効な木々はなく、新しい僕の右手、
ロックテリクスの「ゴルジュハンマー」が音を立てる。
自宅の日々の最中、オンラインで注文し、
最初に握った時の重さには、絶句したものだが、
パワーは物凄くある。
ところが、ここの岩どこも脆く、
リスが打ち込まれるやいないや岩ごと崩れ去って、
しまう。。。
なんとか、2本隣合わせに打ち込んで、
確保に入るが、あっきーさんは少し登り始めている。
そこからは掴んできていただいたが、
僕が取り付く前にもう少し連携を、
確認すべき箇所であったと反省。
(この状況になったらこうしますなどのパターン)
ここからは真横少し上のラインをトラバース。
無事あっきーさんにラインを張ってもらって、
僕は楽をさせていただいた。
ロープを回収
⑩ 見所が連発
3m滝は左岸の張り出しが見事。
個人的に一番見応えがあったのが、F3。
2段8m程度の落差だが、
段階的に張り出している岩が格好良すぎる。
一番の思い出の風景。
次に待つ5m巨大CS滝は、
かなり巨大な岩でびっくりする。
黄緑が終始鮮やか。
そうこうしていると、
細い小滝の奥に2条の滝が見える。
9m級の滝で、上部に丸い岩があるのが特徴的。
露出がおかしくなってしまった一枚。
この区間は良い滝が続いた。
⑪ 『岩が俺を避けていった』
ここの右岸巻き。
斜面は良くない感じ。
登っている突然触った、
前斜面の岩が大きく崩れた。
僕の腹から首近くまでありそうな、
そんな大きいな直径の岩が突如崩れて、
ぶつかってきた!!!
破片がスネを打った。
衝撃でよくわからず、後ろをみると、
あっきーさんは無事だった。
「大丈夫。岩が俺を避けていった」
そう仰っていた。
あんなにでかい岩が触っただけで、
突如崩れるとは思わなかったし、
ぶつかったのにほぼ無傷なのは、
微妙にコースがそれてたんだろう。
2人とも無事で何より。すんませんでした。
⑫ テーブル岩とツツジ
落石の衝撃か、異常なペースで高巻きを掛け、
この沢床に復帰。
しばらく進んでいくと、
「テーブル岩」が目の前に。
今回僕らはここで尾根へと抜ける。
主要な滝場は終わり、
終盤は登れない赤土に阻まれるらしい。
尾根は最初登るまでが嫌らしかったが、
その後大体は平和。少し道を逸れて、
上部には美しいツツジの群生が!
もうしばらくで稜線に出た。
⑬ バリエーション下山
ここから最短で下山するだけであれば、
大倉尾根を降りておしまいであるが、
車が停まっている、寄沢の方まではかなり遠い。
金冷し、大丸、小丸といって小丸で休憩。
稜線は曇っていて、
時折幻想的な雰囲気が良い。
鍋割山は初登頂。
この後、雨山峠までいっていては
ルート的にロスが大きい。
地形図を判断して中間尾根を使用して、
寄沢源流部をカットする
スーパーショートカットコースを実現させる。
⑭ 沢靴の崩壊
しかしここにて、
あっきーさんの沢靴、大峰が崩壊。
なんでも前の夏に、
屋外の物置で管理されていたそうで、
その高温さで接着がイカれてしまって、
寿命が早まった可能性があるのだとか。
何度かボンド修復を施して今回に至られていた。
日の長いこの時期でも、
すでにあたりは暗くなっています。
真っ暗闇のゴーロ帯。
片足が外れ、また、もう片足がだめになり、
さらには暗闇が近づくゴーロの中で片足が、
完全に靴下同然になってしまった。
ヘッドランプを装着した状態で、
スリングを巻きつけるなどして、補修を試みるが、
結局は取れてしまう。
そこで僕が、かつて、
島根の掛橋川の龍頭ヶ滝などで、
裸足のまま遊歩道を15分ぐらい歩いて、
苦労の果て、到達したお話などして、
元気を出していただこうとする。
あの頃は何かがおかしかった(苦笑)。
歩き始めて、もうしばらくで、
登山道が終了。
真っ暗な中、林道になってもう安心。
さくっと着替えて終了になりました。
(19.3km)
完!!
その後セブンで食料を補給して、
E駅まで載せていただく。
⑮ まとめ
たくさん歩きました。
まさか、丹沢で闇下山になるとは。
でも、玄倉の一端を味わえて、とても充実です。
沢靴に関しては、
仮に山のど真ん中で靴が崩壊した場合、
パーティ全員が遭難する可能性も出てくるので、
沢で靴を崩壊させないように、
準備することは肝に命じたいと思います。
また、落石にも気をつけます。
そして、流れを感じること。
次にいくべき、滝・沢は
常に毎日にヒントがあると思ってます。
今回の鍋割も、
無理してではなくて、強引でもなくて、
いろんな意味で、
自然と、流れに従って、
気づけば訪れてました。
そういう、流れを、
今後も大切にしていきたいです。