滝いろ|西丹沢 世附川 土沢の滝 (一+三)

活動記録

訪問日 2025年3月1日

活動の形態:1級沢登り / 公共交通機関+Car Share / 2名

装備:沢靴(フェルト靴) / 7.5mm × 20m +お助け

感動度:まあまあ~けっこう

所在地:足柄上郡-山北町-世附

天気予報で週末の気温が上がると知り、『丹沢の谷200』を参考に、土沢一ノ沢を下降し、林道を経由して三ノ沢を遡行する計画を立てた。

① 御殿場から三国峠へ

公共交通機関で御殿場へ移動。(川崎 → 国府津 → 御殿場へと移動)

駅前には汽車の展示。カーシェアを利用し三国峠へ。

② 土沢一ノ沢下降

峠道から林道から沢筋に入り、下降を開始。

もぐにとっては初めての沢下降となるが、尾根沿いの下降に関して、少しずつ慣れながら沢に向かって近づいてもらった。2段7mの滝は一部氷結していて、左岸からロープを下ろして懸垂下降。

この場所のすぐ左岸には支流の2段4m滝が氷瀑化している。

この後も堰堤が続いたが、明瞭な巻道は少なくロープ出しや微妙な移動が求められた。

3m滝周辺は土沢一ノ沢の中で最も場として整っている感じがあった。

緑色に見えた箇所

土沢のこの辺りは海洋プレート由来の玄武岩(新生代 新第三紀 中新世)であるが、玄武岩が沈み込み帯の影響を受けて低温高圧の変成作用を受けると、緑色の鉱物(緑泥石・アクチノ閃石・エピドートなど)が形成され、岩石が緑色になることがあるようだ。

③ 三ノ沢遡行

林道へ出た後にペース的には明神峠から車道を歩いて戻っても良かったが、「頑張りたい」というもぐのファイティングポーズを受けてスタスタと三ノ沢へ移動。スタート直後から一ノ沢より渓相の良さを感じる。

前半は小滝が続く。

4連の小滝連瀑

膝ぐらいまでの着水で超えられるところは入っていく。(そうでなければMaki)

2.5m滝に到着

この滝は足先掻き込みムーブを見せてもらい、同様に突破した。

ゴルジュ4m滝はいい感じだが左岸巻きとなる

ナメ滝奥に3mがある竜尾型の滝も良い感じ

接近して

ここは右岸巻きを選択した気がするが、確かここのトラバースとクライムダウンが少しいやらしい(III+~)で滝の中に入れたほうが簡単である。

5段ナメ滝の最中

卵型の岩も発見

2.5m滝

特にラストは30m級の長さの、気持ちの良い滝が展開。

最上部はちょっとしたマントル滝となっている… (少し難しい模様)

堰堤前には3m滝が見える。ここにて手前の尾根沿いを詰めて脱渓に入る。

もぐに途中でチェンスパ装着してもらったが劇的に、倍以上の快適さとなったようだ。どうやら体重が軽い場合足元を体重で固められないことで斜面での体のコントロールが難しくなるというロジックのようで非常に納得。

三国峠はなんだか不思議な場所で、後で調べてみたところかつては主要道ではなく、交通の要衝としては籠坂峠が利用されていたとのこと。2021年の東京五輪ロードレースでは世界トップの選手たちがここを走破。これを機にサイクリストの聖地としても注目を浴びるようになった。

ヒルクライムの難易度としては序盤から10%以上の勾配が続き、特に中腹にある「ドーナツ区間」では最大20%の急勾配が待ち受け、最後まで脚力を消耗させるタフなコースとのこと。Bicycle Clubの小俣さんの記事『峠の肖像』を参照したが、峠に対するサイクリストの深い思索に触れる機会を得た。

それまでは何か感情が動くことがなかった峠が、彼らにとっては「歴史」「風景」「達成感」など、様々な要素が織りなす特別な存在であることを知り、視点が広がった。

GPS

その後

下山後は『九良左衛門』で食事。柔らかいビーフシチューが名物で、自家製のお米や自家菜園の野菜を使用し、旬の野菜をスープや付け合わせを楽しんだ。帰路は松田で小田急に乗り換えて、帰路についていった。

もぐの記録はこちら

まとめ

近しい流域の一ノ沢と三ノ沢で、ナメの発達に差があることが気になった。

地質図を眺めていると、三ノ沢は2つの地層の境界線に近い領域であるように見受けられる。

  • 玄武岩(海洋起源)
    • 硬くスラブになりやすい。均一な岩質のため地形のバリエーションが少ない。
    • 土沢 一ノ沢
  • 火成岩(トーナル岩・花崗閃緑岩)
    • 硬度が高く割れ目が入りやすい。ブロック状に崩れ、多様な地形を生み出す。

土沢三ノ沢は2つの地層の境界にあることで美しい地形が形成されているように感じる。

一ノ沢の下降においては堰堤の存在が過剰ではないか気になった。

歴史的には、1923年の関東大震災や1972年の集中豪雨災害を受け、「二度と同じ被害を出さない」ために砂防堰堤の整備が進められたことがわかったが、長年満砂にならず植生が戻っているような箇所でも多数の堰堤が維持され、リスクに対して過剰な整備となっている可能性はある。

そもそもの土壌として丹沢山地は、地質の違いによって土砂流出のリスクが異なり、チャート質や硬質な岩盤では崩壊が少なく、泥岩や頁岩、風化の進んだ花崗岩質では崩壊のリスクが高い。世附川の支流でも、こうした地質差が顕著であり、本来土砂移動が穏やかな沢においても多数の堰堤が設置されている可能性がある ※ 参考:​『丹沢大山総合調査学術報告書』(2007年)この報告書は神奈川県の環境農政局に属する組織である自然環境保全センターと東京大学の学術的協力で成り立っている。

また、もぐの登場で、ペースを落としていたアウトドア活動に新たな彩りが加わっている。

特に、体の使い方を意識しながらの登攀は、感覚の回復にもつながる。まだ体重が増えている影響で本調子ではないが、少しずつ取り戻していきたい。

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