大常木谷の滝
五間の滝 千苦の滝—【山梨県 甲州市 塩山一之瀬 高橋】—
コメント
中央道で西へ向かう最中、
2年前に話したことのある知人が
沢で命を落としたことを伝え聞く。
悲しみと恐れを胸に、
この谷へ、足どりを進めた。
滝の記録
訪問日 2016年6月4日
活動の形態:沢登り(2名)
装備:沢タビ, 8m20m
感動度(千苦):けっこう
①出合へ
大常木谷は、
昨年訪れた竜喰谷の隣の谷で、
アプローチ拠点も同じ林道沿いになります。
下降地点隣の駐車スペースにつけます。
急な尾根を下っていくと、
竜喰谷よりも下流地点の一之瀬川に。
ここからは本流を20分程度下ります。
しばらくすると左手に谷が合わさります。
②引き締まる谷
最初の滝は5mのナメ滝。
真正面から眺めるには腰まで浸かります。
ここは右壁を登って先へ。
この先、谷は素晴らしい狭まり方を見せ、
そこに身を奥だけで気が引き締まりました。
ここを過ぎると、次の滝が。
【五間の滝 8m】
小さな滝ではあるんですが、
周囲の雰囲気が素晴らしく良く、
僕はこの谷で一番好きな空間です。
先へ進むのに右側から淵をわたって、
滝を直登するんですが、難しくはなく、
それも含めて印象深かったです。
③谷の主
しばらく進むとついに、
落差25mの千苦の滝が姿を現します。
近づくとやけに小さく見えます。
ここで少し休憩しました。
滝壺周辺の縮こまった感じは
エネルギーが凝縮されている感がしました。
千苦の滝は左岸を高巻きします。
高巻き最中の千苦の滝は
上段含めて見応えがあり、
一番好印象でした。
撮影的には光が逆で、
ぱっとしませんでした。
死亡事故が起きている
という高巻きルートでしたが、
今回はフィックスロープが十分にあり、
やや緊張する程度で抜けられました。
④泳ぎデビュー
この谷には泳ぎの箇所があって、
それが山女魚淵です。
左にロープもありましたが、
かなり急な崖で、基本的には泳ぎます。
意を決して僕も続きましたが、
あわあわしてしまって、また、
微妙にぎりぎり足がついたりで
泳ぎ練習としては微妙でした笑。
別の沢でもっと鍛えようと思います。
この後もしばらくはゴルジュ帯が続きますが、
泳がなくても突破できます。まずは下の滝。
そしてへつりを要する箇所。
このへつりがこの谷で最難でした。
最後は早川淵
ここは左から越えました。
⑤不動滝を経て
後は大きめの滝は不動滝のみです。
緑色の淵を越えていき、
チョックストーンの滝の先に進むと、
モミジ沢の10m滝がありました。
(下は3mCS)
そして不動滝。
上下合わせて12mほどあり、
なかなか立派です。
下段は右壁を登り、
上段は左から巻きました。
しばらく小滝はありますが、
徐々にゴーロ帯に突入し、
気づけば終了点に。
これは日帰りコースで、
もっと上まで詰める方法もあります。
⑥竜喰へ。そして下降
大常木林道を50分ほど西へ進むと、
コルに到達します。
途中の立派な木↓↓
竜喰谷へ下降する場合はもう少し進み、
支流の下駄小屋沢を下降します。
最後のほうで3段10m滝、
さらに竜喰谷に出合う2段10m滝を下降すると
そこは去年右を登った曲り滝が!
去年の写真を見返したら水量はほぼ同じで、
平水かやや水は少なめでしょうか。
弥惣小屋ノ滝のところでだけ
懸垂下降で下へ。
あとはしばらくで一之瀬川。
出合滝は砂浜状で美しいです。
少し戻って渡渉して、
少し崖を登ったらもう林道が。
後は左側へ20分ほど(?)
歩いたら駐車スペースでした。
⑦まとめ
大常木谷は水量が多くなかったことも有り、
とりわけ難しい箇所はありませんでした。
登攀グレードはIII-〜IIIぐらいで、
今回のコースなら十分日帰りできます。
(あくまでこのぐらいの水量なら)
五間の滝周辺の美しさは
他にはあまりない要素があり、
竜喰谷を下降したことで少し
「繋がった感じ」を味わえました。
滝をベースにした沢登りは
沢のチョイスが非常に大切かつ難しいです。
自分は何ができて何は苦手なのか、
どこまでならできるのか?
そうした技術的な側面で細かく自分を知って、
またひとつ先へ。
丁寧にそれを繰り返していきたいです。
アクセス
Step1 甲州市塩山一之瀬へ
Step2 出合より北側に駐車
Step3 本流へ下降
Step4 出合まで下降し大常木谷へ